【3行要約】
・多くの企業が採用活動で成果を出せない背景には、採用市場の現状認識が不足している問題が存在しています。
・内藤貴皓氏は著書『138の事例から導き出された「採用の勝ちパターン」を実現する方法 採用大全』での事例分析から、採用は「点」ではなく「面」で課題解決すべきだと提唱しています。
・人材獲得競争が激化する中、市場を正しく理解し、包括的な施策で臨み、採用活動に関わる全員が成果に真剣に向き合うことが重要になります。
『採用大全』著者が語る採用成功の鍵
内藤貴皓氏:では、さっそく、ウェビナーを開始させていただきます。
まず、講師紹介ということで、本日、講師・進行を務めさせていただきますRECRUIT BOOSTER代表取締役の内藤貴皓と申します。
簡単に経歴を紹介させていただきます。1988年生まれで、37歳です。静岡県出身で、最初は出版社に入社して、広告の営業や雑誌の編集をやらせていただいておりました。そこで新卒採用やアルバイト採用を担う、いわゆる人事のキャリアをスタートしました。
2016年2月に、ヘルスケアを開発しているFiNC Technologiesという会社に入社いたしました。YouTubeや動画制作の界隈で話題になっている溝口勇児さんという方が創業者です。そこで人事戦略や、溝口さんの秘書として資本業務提携の仕事をさせていただきました。

このRECRUIT BOOSTERという会社を立ち上げたのが2020年10月ですね。最初は「組織と個人のいろんな人生にケミストリーを起こすぞ!」という目標でCHEMI(ケミ)という名前を付けていたんです。
が、初めましての人から「チェミ」や「チーミ」と言われたりしたんです。「社名が読みづらいので、サービス内容や、やっていることがわかりやすい社名にしよう」と、2025年10月からRECRUIT BOOSTERという社名に変更させていただきました。
独立してからはさまざまな企業の採用支援に携わってまいりました。自分自身がFiNCというヘルスケアのスタートアップ、いわゆるITベンチャーにおりましたので、独立したての頃はITベンチャー中心にお仕事をいただくことが多かったんです。
(スライドを示して)が、(現在は)そこにロゴがあるような、九州でテーマパークやホテルを運営しているハウステンボスさんや、最近ですと上野・御徒町にあるとんかつやさんの採用支援をさせていただいたりして、本当に幅広い企業さまの採用支援に携わらせていただいております。
幅広い採用支援の実績から138の事例を収集
今回、
『138の事例から導き出された「採用の勝ちパターン」を実現する方法 採用大全』という書籍を10月に出版させていただいたこともあって、いろんなメディアさまに取り上げていただきました。
(スライドを示して)こういったクラウドファンディングも実施していました。これは(2025年)11月末までやっていたんですが、目標金額100万円でプロジェクトを推進して、見事250万円集まり、達成率250パーセント以上でプロジェクトを終えることができました。

今お話に上がりました、この書籍の内容についてお話しします。もしかしたら今日ご参加いただいているみなさんの中にもご購入いただいた方がいらっしゃるかと思います。『採用大全』という名前で、分厚くて430ページぐらいありまして、文字数でいうと14、15万字ぐらい書き上げました。
もともとは、この本を出していただいた総合法令出版さんという出版社の編集者さんが、初めて書籍を出したい方に向けた企画の勉強会をSNSで募集していたんです。当時、僕は東京の日本橋に住んでいたんですが、その総合法令出版さんも日本橋にあって、「近所だし行ってみよう」というひょんなきっかけから参加しました。
600人ぐらいの応募があったんですが、最初に企画が通過して、最終的に書籍の商業出版を実現したのがこの『採用大全』だったというストーリーが裏側にあります。15万字ぐらい書き上げるのは本当に大変でした。
「点」ではなく「面」で採用課題を捉える視点
世の中の採用活動や採用における情報って「点」で展開されていることが多いなと日頃から思っていたんですね。
「点」で展開されているというのは具体的には、例えば「スカウトの返信率が3倍になりました」とか「母集団が5倍になりました」とかです。その様なキャッチーな「点」での数字をもとにいろんなサービス提供者さんや企業さまが、成功事例や課題解決を提示しています。
が、もうずっと11年、12年以上、採用の現場にいた自分の感覚として、「点」で解決できることって、なくはないんですが、少ないなと。
みなさんもご存じのとおり、少子高齢化と労働人口の減少が加速しているので、それだけ日本の採用市場では(人材の獲得が)本当に難しいです。その様な中で、何か1つの「点」だけクリアしただけでその課題が解決されることは絶対にないなと自分は思っています。採用におけるいろんな企業さまの課題を「点」じゃなくて「面」で解決していきたいなという思いでこの本を書かせていただきました。
「面」というのは「点」の集合体です。この書籍には138の事例を書かせていただいていますが、結局、企業さまによって課題感や事情は違います。、企業とか採用活動って生き物だと思っているので、それぞれ個別で違うというのと、半年、1年経つとまた違う課題と向き合わなければいけません。
その様な中で、採用をうまく成功させたいと思われている企業さまや担当者さまは多いです。なので、「面」でフォローすることによって確実な採用成功に導いていきたいなと思って、採用活動における赤本のつもりでこの本を書かせていただきました。
なので今日は、「『採用大全』の出版記念」という名目ではありますが、本当に実践編というか、この本に書いてある内容をおさらいできます。
相手以上に、相手の成果に本気になる
自己紹介のパートの最後の部分です。今日は、休日で、しかも12月というみなさんもお忙しい中で、朝の時間にこのウェビナーに参加していただいたことにすごく感謝をまず申し上げたいです。
同時にみなさんは、それだけ自社の採用課題や採用活動に対してすごく真摯に向き合われている方なんだなということに、尊敬というかリスペクトを贈れるかなと考えております。本当にありがとうございます。
これは、もともとFiNCにいた時に創業者の溝口さんから教わったことなんですが、何か仕事をする上では、「相手以上に、相手の成果に本気になる。」という、自分が採用支援をする上でのテーマがあります。
この相手というのはその都度変わるんですね。自分が採用支援の会社をしていれば顧客やクライアントですし、会社の中に存在していれば、それが時には部下だったり自分の上司だったりします。
仕事で関わる相手以上にその成果に本気になっていきたいなと思っています。感謝と尊敬の気持ちを送るだけではなくて、90分終わった後に「本当に参加してよかったな」と思っていただけるように自分も向き合っていきたいなと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
採用戦略に立ちはだかる「認識の穴」
さっそく講義パートに入ります。『採用大全』は全部で第1部から第4部までの構成になっておりまして、ここではその(全)4部の内容をケーススタディとともに30分でおさらいをしていく時間になっております。
まず、第1部「採用に対する心構え」ですね。これは「心構え」という名前なんですが、(ここに存在する)大きな穴を「認識の穴」と呼ばせていただいています。

では、具体の内容に入っていきたいと思います。(スライドを示して)こういった内容ですね。求人票での条件や待遇を自分たちなりに改善したんですが、なかなか応募者が集まらないですよと。あとは、せっかく内定を出しても辞退されてしまう。よくありますよね。

採用の目標は未達なんですけど、原因が不明のまま。結局何をやっていいのかわからないとか、何から着手していいかわからないというかたちで、時間が刻一刻と過ぎ去っていく。
これらの原因と言われているのが、採用市場の現状や競合を含めた他社がどういう取り組みをやられているのかを正しくまず認識できていないといったところです。『採用大全』では「認知・認識の穴」と定義させていただいています。
そのまま採用活動を続けると、自社基準ではやったつもりでも、市場では努力不足になってしまうことがあります。なので、「認知の穴・認識の穴」を埋めないと、自分たちでは採用活動をやっているつもりで、そこに人もリソースもコストもかけているのになぜかうまくいかないという空回りが続いてしまいます。
エンジニア採用での悲惨な結末
ケーススタディということなので、ぜひ参加者のみなさんも一緒にこの企業の課題や陥った穴がどういったものなのかを一緒に考えていっていただきたいなと思います。
市場基準と自社基準に相違が生じてしまった例。ある中堅IT企業の話です。事業拡大を目指す同社は、大型案件の受注に向け、年間10名のエンジニア採用という高い目標を掲げていました。昨今エンジニア不足ということがすごく言われているので、この会社にとって年間10名は高い目標でした。
なかなかうまくいっていなかったので、「まず、求人票を変えましょう」となりました。言語とかはいったん置いておいて、もともとの「開発実務経験が5年(以上)の経験者が欲しい」という条件を「3年」に緩和し、基本給も25万円から27万円へと増額しました。若手とか、新卒・第二新卒向けですね。
必須条件にしていた5年という経験値の条件を緩和し、基本給も渋り過ぎというところは多少ありますけど、その会社にとっては増額というか、給与のベースアップをすることは大きな決断でした。求人媒体に掲載していた条件の変更を行ったということで、人は集まるだろうと思っていました。
応募者も集まらず、既存社員も退職する結果に
ただ、そこで複数の求人媒体に出したので、他のスカウトとかSNSの情報発信とか採用ピッチ資料の作成などの、コストがかかる系のやつは不要と判断しました。採用専任者もおらず、現場の管理職の方が、開発業務などの業務とは別に片手間で応募を待つだけの体制を取っていました。
明らかにうまくいかないだろうというケースなんですが、これは実際にあったケースです。みなさんの中でもどういう課題があるのかって、今ジャストアイデアでもいくつか挙げられるとは思うんですが、後ほどお伝えします。
このケースは結果的にどうなったかというと、半年掲載して、応募者数0人。この応募者数というのは有効応募なので、いわゆる箸にも棒にもかからないという方からの応募はあったんですが、有効応募は0名でしたと。

そもそも開発は機械系のエンジニアであろうが、Webアプリやネイティブアプリのエンジニアさんだろうが、ものづくりです。結局、事業計画はどうなったかというと、ものづくりのために10名採らなきゃいけない計画を立てたにもかかわらず。それが採れなかったということは、事業計画は頓挫しちゃいますよね。
そういうかたちで大型案件が社内からなくなったりしていって、もともといた優秀なエンジニアに工数の負担がかかって、退職してしまうといったことも起きてしまいました。