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離職を止める、今から始められるリテンション強化~離職は“偶然”ではなく“構造”で起きる~ (全4記事)

ムダな1on1やメンター制度では人材流出は防げない 働き方の変化に見る“離職の構造” [2/2]

働く理由から見えてくる人間の欲求

後藤:うん、そうですね。じゃあ今日のセミナーは、従業員の離職行動を左右する欲求みたいなものをまず理解して、それに影響を与える会社の制度やチームのマネジメント、使えるツールとか、運用の仕組みみたいなものを学んでいく感じですかね。

:そうですね。セミナーの時間は限られてますが、まずはキーワードが4つあると思っています。

短期的視点と長期的視点。個人と組織の両面で見ていく。離職の構造的な背景をきちんと捉える。そして離職行動と個人の欲求の4つになるかと思います。じゃあ後藤さん、ちょっと唐突な質問ですけど、後藤さんはなぜ働いていますかというのと、働くことに何を求めていますか。

後藤:なぜ働いているのか。働いている理由は、まずは生活のためですね。家族もいますし、生きていくためにお金も必要っていう感じですね。

あと単純ですが、仕事のやりがいみたいなものもあると思います。我々の仕事だとお客さんの経営状態を良くするとか、働いてる人の顔が明るくなってきたとか。あとプロジェクトで「後藤さんのおかげで、最近は働くのが楽しくなってきました」とか言っていただいた時にはすごくやりがいを感じますね。

お金や成長など、仕事に求めるものはさまざま

後藤:あと、こういったセミナーもそうですけど、張さんとかとお客さん(の状態)を良くするための戦略を議論している時も個人的にはすごく楽しいので、そういう意味ではやりがいとか楽しさとか。あと、同僚とかお客さんとの関係性みたいなものも、労働に求めているかもしれないですね。

:じゃあ、成長とかではどうです? ここ1年で成長したこととか、ありますか。

後藤:あぁ、そうですね。成長もめちゃくちゃありますね。もちろんお客さまのために勉強するとか、寝る間も惜しんで戦略を考えることもありますけど。

成長としては以前は考えられなかったような、お客さんの売上が伸びそうなマーケティング戦略とか営業のアプローチとかを考えたり。本当に、それらをお客さんと一緒に進められるようになったかなぁと思いますね。

:いいですね。働くためはなぜかというと生きるためとか関係性とか成長などのキーワードが出ましたけど。これらはどうして必要なんですか。

後藤:なぜ必要か。うーん。そう考えたら生きるって言いましたけど、人との関係性とか、あと成長とかもですけど、本当に自分が生きていくために必要だから重要だと思いましたね。社内外との関係性もそうですし、10年後の自分が生きていくために成長もできるだけしたいなと思っています。

ちょっと生物学みたいな話になってきますけど、人間という生き物である限りは、本能的に生存確率が高まるようなことを望むような気がしていますね。それがどの会社に所属するかとか「10年後、自分はこの会社で大丈夫だろうか」とか「給料が低すぎるんじゃないか」っていう感情につながっている気もしますね。

データで見るコロナ後の採用・離職の動向

:いろいろと考察ありがとうございます。今の話にも出たさまざまな欲求ですね。そういったものが離職の行動に大きな影響を与えていると考えています。最初に話しすぎるとネタバレになってしまいますので、従業員の欲求という観点を持っていただきながら、さっそくは、まず基本的なデータからおさらいしていきたいと思います。

後藤:はい。よろしくお願いします。

:(スライドを示して)まずはこちらですね。データとしては入職と離職率、そして転職の入職率になります。人材流動性が高まっていると言われていましたが、2020年にコロナショックで雇用が抑えられて、同時に転職控えが発生しました。ただ、そこから2023年にかけてコロナ前の水準まで人材流動性が高まっています。

後藤:なるほど。これ、2024年のデータが最新ですけど、昨年はまた、離職と入職のどちらも減っているんですね。

:そうですね。後ほどお話ししますが、転職のトレンドもけっこう激しく変わってきています。

後藤:なるほど。右側のグラフは世代別、転職での入職率と書いてありますけど、これはどのようなデータですか。

:こちらが示しているのは20代の男女が共に転職が多くて、30歳を超えると水準が下がっていくということです。あと60代以降の男性に関しては転職が多くなっているということもわかります。

IT化が進んでも人手不足は解決していない

後藤:これら2つのデータから立つ仮説は、どんなものになりますでしょうか。

:まず注目すべきは、離職者よりも入職者が多い。辞める人よりも入る人が多いということです。この背景にある仮説としては、ポジションとか席が空いたわけでもないのに、新しい人を入れる企業の動きがあるということです。あとは単純に辞める人が減っているということですね。そして入る人が増えているということです。

人を増やしている企業というのはどういう状態が想定できますかね? 

後藤:人を増やす必要があるということは事業が大きくなっているとか、それに伴って人も増やしているっていう感じですかね。

:そうですね。ただ、今ですといろいろなITツールとかAIとかが普及して、最近は生成AI(の影響)で人員がカットされているという報道もけっこうあるかと思います。しかし、現実には技術進歩による生産性向上が、今の企業の成長とか業績の伸びに対して追いついていないということが示唆されます。

なので、多くの企業でDX化やIT化が謳われていますが、一方で、人はぜんぜん足りていないという状況があるかと思います。

労働価値観の多様化とベースアップの影響

後藤:なるほど。辞める人が減ったとか、入る人が増えたことについてはどうでしょう。

:そうですね。これまで人手不足と言われている中で人材獲得競争の激化で、やはり大企業を中心に賃金のベースアップが強化されたと思います。また人的資本経営のトレンドもあって、研修などの人材基盤への投資を増やしている企業も多くあります。

働いてる人にとってはいいことで、待遇が充実してきたので、今いる会社を辞めないでいようという選択肢を取る人が増えたとも言えるかと思います。

ただ一方で、やはり中小企業はベースアップする体力がないことも多いのが実情です。また、中小企業で働く方々も他に条件が良いところへの転職は簡単ではない状況もまだあるかと思います。入る人が増えたのは、労働価値観の多様化と、働き方の選択余地が増えたことも影響していると思っております。

よく3つの柔軟性と言われる「働く場所」「働く時間」「働く制度」ですね。これが選びやすくなったというか、選べるようにしないと人が採れないという状況もあるかと思います。働く人も、田舎でスローライフを送りながらリモートで働きたいとか、短時間で効率的に働きたいということがあるかと思います。

実際に短時間で働くことができる「タイミー」とかが話題になっていますが、労働者の価値観もコロナ禍での働き方の変化を含めて、ここ数年ですごく変わってきたと思います。

また、20代の世代は転職市場でもすごくニーズが高いですし、独り身であれば生活環境の変化にも対応しやすいという特性もあります。20代から30代を中心に、労働の価値観の振れ幅が大きくなっていることは、コンサルティングや研修を通じてすごく実感しています。

例えば、働き方に関して、今は昔よりも残業を絶対にしたくないという価値観の人もいれば、残業してでもスキルを高めたいという人の差が大きくなっているような気がします。

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