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世界の先端組織から見る トップダウン以外に うまくいく組織はあるのか(全5記事)

日本企業が「ピラミッド型」でうまくいっていた時代から何が変わった? 閉塞感のある組織から脱却するヒント [2/2]


日本のハイアールの会社はどうなっている?

どうしましょう。ここまで、すごくハイアールの話をしていますが、いったんご質問ある方いますか?

(会場挙手)

参加者2:日本のハイアールの社員にも同じ思想が共有されているんでしょうか。

山田:いい質問ですね(笑)。(従業員が)600人ぐらいいるんです。その中で、旧三洋電機の方が当初はすごくマジョリティを占めていました。まず、マイクロエンタープライズという単語を日本のハイアールの社員はほとんど知らないらしいです。

人単合一というフレームは知っていて、それをもうちょっと「人」、従業員と、「単」、ユーザーのバリュー。それを自分の追うべきハイターゲット、目標みたいなこととして、一人ひとりが自分の置かれている目標に対して強くコミットして、背伸びをしながら共に邁進することに読み替えています。

中には一部、セールスに近い方とかは本当にハイアール本国みたいに個別の契約になっています。それが達成できたらボーナスがもらえる方もいるんですが、どちらかというと、わりと中は旧来的な日本っぽいものを踏襲しています。

ただ、この杜さんという方といろいろおしゃべりすると、最初社長になった時に社員が200人ぐらいいて、メンバーに話を聞きに行くと、「いや、部長を通してください」と言われていたところから始まり。

ハイアールの思想で言うと、活躍した人に多くお金を払いたいんですよ。それでいくと、「ボーナスをパフォーマンスベースに変えたいです」という話をしたら、役員全員に大反対されて。「いや、年功序列ですよ」みたいなことになり、「それだと思想が通らん」と言って1年かけて役員を説得し、ボーナスをちゃんとパフォーマンスベースにしました。

「部長を通してください」と言っている若手がいたので……すごくチャーミングな方なんですけど、2年間社員と飲み歩いて、とにかく仲良くなって、「まずは社長の俺の話を聞いてくれるようになった」みたいなことをやりながら、めちゃくちゃ地道に変えてきて。今は600人でもそれに近いことをやっています。ということでいくと、思想的には近いです。

ただ、マイクロエンタープライズではないし、そこまでドラスティックではない中で、人単合一の思想の体現はしていますという感じに今なっているそうです。こんなところでいいですか? 他にありますか?

社員の提案をどこまでコントロールしているのか

(会場挙手)

参加者3:先ほど、ブランドの管理は非常に厳格に行っているという話をされたと思うんですけど、最初にお話をうかがった時に、ハイアールブランドの冷蔵庫が年に100種類出てくることにはならないですよね?

山田:はい、はい。

参加者3:ということは、やはり必ずどこかでコントロールはしているんですよね?

山田:はい、ブランドのコントロールはしています。

参加者3:そのブランドのコントロールをするということは、「じゃあ、誰が冷蔵庫を作っていいんだ?」というのもある程度コントロールしないと、やはり冷蔵庫が100種類出てくるじゃないですか。要は「俺は起業家だ」、「俺は冷蔵庫を作りたいんだ」という人が100人いたとして、それは全部(商品が)出ているわけではないですよね?

山田:そうですね。

参加者3:そういった意味でのコントロールは、やはりどこかに存在しているんですか?

山田:できないんだと思います。レギュレーションがあって、「俺が作りたい」と言っても、それに賛同する人がいてくれないと結局作れないんですね。製造してくれて、デザインしてくれて、調達してくれてという方々と合意をしないと、「俺が作りたい」だけでは作れないんですね。

そのレギュレーションがある中で、「いや、俺は超良いデザインを思いついたが誰も喜ばん」みたいなことは……。何回も出てくるのが「顧客との距離をゼロにする」なんですね。「それで顧客は買うの?」というところがないと、メカニズムとして賛同が得られないんですよ。

「俺が作りたい」を「やる」と言っても、それを買って喜ぶ人が本当にいるのかという話が守られていないと作られないので、コントロールしていると言えばしているんですが、何ていうのかな……。

「私はあなたたちの上司ではない」会長が貫く姿勢

参加者3:俺が作りたい冷蔵庫を買う人間は1人もいないか、いるかというのは、誰が決めているんですか?

山田:お客さんに聞きます。買い手がいるかどうかをもっと試されます。

参加者3:冷蔵庫だと中段に冷凍庫があるやつはあるけど、下段に冷凍庫があるやつがないから、下段に冷凍庫があるやつを作っちゃうとか。これならニーズがあるからという感じで、もう製品ラインナップをボコボコ、起業家になっている人らが矢継ぎ早に出していくということですか?

山田:出て、「プロトタイプを作る投資が集まりますか?」ということが、まず起業家として試されるじゃないですか。試されて、それがボコボコ市場にたくさん出ますかというと、それが実証されて、誰かが追加でお金を出してくれないと、さらに作ることができないので。

100台は売れるかもしれないけれども、それをさらに生産するかは、事業部長みたいな人が、「これに投資しますか?」と決めているんじゃなくて、「100台のプロトタイプを作って100台売れましたか?」ということを試されるので。

結果的に小さい意味では作っているかもしれないですが、市場にすごく出ることにはなっていないですね。お客さんと共に作ることをひたすらやっていますね。

吉田:なので、わりと純粋な市場原理に近いということですよね。例えば日本だと、冷蔵庫が売れていたとしても、冷蔵庫のメーカーが一気に100個できるかというとそんなことはなくて。

一定のところで、冷蔵庫にいくよりも他のところをやっていったほうがうまくいきそうみたいなことが入っていくので、冷蔵庫の市場がある程度もう寡占化されているとか。これ以上掘っても難しいかもしれないみたいなことになってくると、たぶん出てくるのが減っていきますし。

そこにゼロ距離でまた新しいものを見つけたとなったら、新しいものが出てくるかもしれないけれども。大量に50台、いきなりそんな穴が見つかるわけではないみたいな感じなので。それでいくと、市場原理そのままがハイアールの中でも働いているという捉え方もあるのかなと思います。

山田:そうです。本当にマーケットメカニズムで、GEアプライアンスというアメリカの会社を買った時に、買った直後に会長が親会社としてあいさつに伺うわけですよ。

という時に、みんな不安なんですよ。アメリカの会社が中国企業に買われたので、「えっ、私たちは何か変えられるんですか?」みたいに不安だった時に、会長がとにかく第一声で言ったのは、「私はあなたたちの上司ではありません」と。「あなたたちは、お客さんの言うことを聞いてください」ということだけをひたすら言ったんです。

その姿勢はたぶん本当にずっと続いていて、「お客さんは本当にそれを求めているんですか?」と。それが製品を作る人だったら市場のお客さんだし、間接部門だったら製品を作る社内の人たちがお客さんになる。「『あなたのお客さんは誰で、その人は何を求めているの?』ということだけを見てくれ」とひたすら言っているので、それによって全体ができていますという感じですね。

吉田:質問いかがですかね?

参加者3:中国は新しいものができた時……例えば電気自動車ができると、電気自動車を作る会社が山のようにできて、山のように作って、山のように潰れる。それでやはりちゃんとしたのが最後には残っているというモデルだと思っています。

ハイアールの中でもそういうことをやっているのかなと、お話を聞いていて思ったんですが。ただちょっと違うのは今のお話だと、要するにプロトタイプまでは作るけど、そこで市場性を証明できなければ投資が集まらないから、そこはそこで潰れるよという原理になっているという理解でよろしいですか?

山田:そうですね。それですべてを説明し切れてはいないんですが、その面がたぶん強いなという理解をしていただくと合っていると思います。

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