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世界の先端組織から見る トップダウン以外に うまくいく組織はあるのか(全5記事)

1万2千人の中間管理職に突きつけた「起業家になるか、会社を去るか」 潰れかけの工場から大企業になった「ハイアール」の組織改革 [2/2]


具体的な実践方法は?

(会場挙手)

山田:あっ、どうぞ。

参加者1:例えばエコシステムの中で、ハイアールグループの中で立ち上げた人同士が商売しているのか。生産ラインを作れるとか、R&Dも別にハイアールの中に良いのがなかったら外から持ってくればいいじゃんとか。どういうエコシステムかを教えていただきたいです。

山田:今のお話でいくと、各々の判断としてはハイアールグループの中だろうがどっちでもいいです。(例えば)自分が作りたい冷蔵庫があります。それをデザインできる人がハイアールグループにいなかったら外に頼む。製造ラインが自社内になかったら外に頼むとか、自分が会社の社長として一番儲けられる方法を考える。

冒頭に戻ってきて、顧客との距離をゼロにするという話が一貫しているのは、「一番儲けられるのはお客さんとの距離をゼロにして、何が喜ばれるかを起業家として一緒に見ることである。なので顧客との距離をゼロにする」と。「それにさえ従えば一番良い選択をしていい」と言い続けているんですね。なので、論理的に言えば、ハイアールグループかどうかはどっちでもいいということになります。

一方で(従業員が)13万人いて、40年以上の歴史があり、アセットがたくさんあり、データもめちゃくちゃ溜まっているので、中で頼んだほうが効率が良く、良いことが多いので結果的に中になりがちですが。それにこだわれということではないんですね。

参加者1:ブランドも共有しているんですか?

山田:そうなんです。

参加者1:品質はそれぞれに任せている?

山田:はい。グローバルに使うブランドは7個と決めるとか、ブランドの管理はすごくちゃんとしています。日本は「Haier」と「AQUA」という三洋電機だったもののブランドを2つに分けてどっちもやっているんですけど、そこはすごく慎重にやっています。

ただそれはハイアールグループの傘下というか、その中で事業をするためにはそのレギュレーションに従うという制約条件の下、起業家が経営をすることになるので。そのレギュレーションはすごくちゃんと持っています。法律をちゃんと守るみたいな感じだよね。

山田:というのがハイアールのすごくざっくりした説明です。英語で恐縮なんですが、具体の話で、さっきちょっとだけ言った、タレントプールはどうなっているか。(スライドの)一番左が市場にいる人たちですね。採用市場にいる方々で、タレントプールというのがハイアールの中のタレントのプールです。

さっき吉田さんがおっしゃっていた、HRファンクションをやる会社の仕事は、この人たちが市場からタレントプールに人を採ってくる。タレントプールにいる人を社内のどっかの会社が雇ってくれたら、その人たちに紹介できるという仕事になるので、それをここで回しています。

タレントプールの仕組み

山田:細かいことは今日は飛ばすとして、さっき言ったようにこのタレントプールに入った人がこの4,000社ある中のどこかの会社に、「この給料で、その目標を自分がやりたい」というのを提案して、お互い合意したら契約される。その契約が履行できたら報酬がもらえる。契約が守れなかったらクビになるみたいなことが、会社と個人の間で起こります。

それでクビになった場合には、このタレントプールに戻ってくるんだそうです。ここにいて、他のどの会社も3ヶ間拾ってくれなかったら、この人はクビになって市場に放出されます。さすがにこれは中国以外ではなかなかできず、中国はGEアプライアンス(GE Appliances)というGEの家電部門を2018年に買っているんですが、アメリカでは組合が強くてできません。

三洋電機という会社も2000年から合弁で作っていて、今、日本のハイアールに社員が600人ぐらいいるんですが、やはり日本のレギュレーションでもそれはできないので、やっておりません。

思想は共有しているんですがやり方はそれぞれ、みたいなことはあります。実際にこのアントニオというGEアプライアンスのVPと、日本のハイアールの社長の杜(鏡国)さんに話を聞くと、いろいろやり方は変えていますと。思想としては同じことをすごく共有しているのが、ハイアールさんが実際にやっていることですね。

私自身は、冒頭に言ったリサーチセンターという名前をもらっています。グローバルで今、公では15ヶ国に私と同じ任を持っている方がいるそうなんですが、同じようなモデル、思想、やり方を世界に広めたいとハイアールとしては思っています。

富士通のヨーロッパと、ボッシュ(Bosch)というドイツのメーカーの1部門では、このRenDanHeYi(人単合一)というやり方を忠実に取り入れ、実践をし、実際にやり方を変えていたりします。なので「ハイアールだからできるんですね。やはり創業会長がいるからできるんですね」ということだけじゃなくて、他の会社でもできるんだなという事例ができ始めています。

というのが、たぶん世界で僕が知っている中で一番エキセントリックな、今や13万人企業のハイアールがやっていることです。

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