「ミスが多いよ」は「何かあった？」に変換　部下へのネガティブな指摘の上手な伝え方 [2/2]

「ミスが多い」を「何かありましたか？」に変換

参加者1：ミスは、なんか疲れが溜まっているのかなとか思って、「すごく忙しいんですか？」みたいな声をかけようと思っています。

手嶋：はい。2つ目はどうですか？

参加者1：「話を聞いていないです」……相手が私の話を聞いてくれていないっていうことですか？

手嶋：そうです。

参加者1：「説明がわかりづらくてすみません」みたいな感じで、「逆に、足りないところを指摘してもらえませんか？」って言って、「この情報が欲しい」みたいなことを言うのとか。

「先にこれを話してほしいみたいなものがあれば、そっちから話すので」みたいな感じで言うのと。

「自分勝手な判断です」は、「なんか事情があったんですか？」みたいな話をしますね。ちょっと1と近いですけど。「何かあったらぜんぜん言ってください」みたいな。「むしろ言いづらかったんだったらすみません」みたいな感じで。

自分の感情を伝えながら、相手を動かす方法

手嶋：ありがとうございます。だいぶ営業臭がしますね（笑）。

参加者1：忖度（笑）。あと、そうですね。提出日を過ぎるとか、「忙しいんですね」みたいな。

手嶋：でも、それは本当に相手のためにも大事なことだと思いますし、フィードバックでも使えるので、ぜひ使ってもらえればと思います。「ミスが多いんですけど、何かありましたか？　心配です」みたいな。

僕もこのパターンかなと思ったのと。「僕の発表の時に作業をされていて、なんだかすごく寂しいです」みたいな。

参加者1：あぁ、なるほど（笑）。

手嶋：あとは、僕はけっこうこれを使うんですけど、「緊急の予定があれば言ってもらったらリスケしちゃうので言ってね」っていうふうにします。

参加者1：話が上の空になるぐらい、なにかをやっているということですか？

手嶋：あぁ、そうです。「（業務が）事故っているのかな？」みたいな時とか。「そうなのであれば、もうこの会議は1回やめましょう、」みたいな。

あとは、なんか「自分勝手な判断です」は、「リスペクトを感じなくてすごく残念だなって思っていて、事前に一言相談をもらえると、自分としてはうれしいなと思っていますよ」みたいな。

こんな感じでIメッセージにくるんでいくと、角が立たず、かつ自分が思っていることもお伝えすることができるので、こんな感じで使ってもらえるといいのかなと思っています。

参加者1：そうですね。たぶん私は、伝えるっていうことを人を動かすために使っているので、けっこう「大丈夫ですか？」系を多く使っているかもしれません。気持ち良くなってもらおうと思って使っているのかもしれないです（笑）。

手嶋：フィードバックは相手に動いてもらうことが大事なので、その考え方でぜんぜん大丈夫かなと思います。

自然体で意見を言えるようになった

手嶋：僕の場合、自分の感情で相手を動かしにいくことがけっこう多いので。「それは嫌なんだよ」っていうメッセージを発することによって態度変容させようとしているので、それはやり方の違いっていうか、ニュアンスがちょっと違うみたいな感じだとは思います。

参加者1：寄り添い合いですね（笑）。

手嶋：いやぁ、まさしく、まさしく。

まとめでいくと、これは最初にお話ししたとおりで、フィードバックに対する自信がすごく定着しました。本から学んだことを、本当に2年ぐらいずっとやっていったら、自分の知見に昇華した感覚があります。

どうやって伝えたらよいのかすごく不安だったんですよね。相手を気遣い過ぎる、もう忖度し過ぎてしゃべれないということがけっこうあって。結果、フィードバックとは言わないですけど、会議とか会食とかがすごく苦手だった時がありました。今は、息をするように枕ことばを活用していますね。

参加者1：これ、（言ってしまって）大丈夫ですか（笑）？

手嶋：（笑）。めっちゃ思っています。なので、枕ことばを使うことによって、自分の意見を言わないことが減ったんですよね。嫌なものは嫌って言うし、Goodだなって思ったら「すてきですね」って言えるようになったのは、メンタル的にもかなり明るくなった気がします。

なんていうんですかね、自然体な感じに近くなったっていうのは、枕ことばとかの力がけっこう大きいなって思います。枕ことばなしに自分の意見をバコバコ言っていると、たぶんヤバいやつになっちゃうので。

ちゃんと自分の意見も大事にできるし、相手のことも慮ることができる、絶妙なバランスが取れるようになるかなと思います。

あとは、「愛のある耳に痛いこと」を言うことができるようになったとも思っていて。腹をくくってコミュニケーションをしている時に、自分は「もしかしたら相手にとってはトゥー・マッチなことかもしれないけど、言ってあげたほうがいいかな？」っていうふうに判断しながらしゃべれるなと思っています。

フィードバックは武器になる。こんな感覚があらためて身に付いたなという感じです。