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成果を生むフィードバックの技術|相手を動かし、成長を促す“伝え方”を構造的に学ぶ(全4記事)

ネガティブな指摘が言いやすくなる前置きの一言 “優しすぎる上司”から脱するフィードバックの技術

【3行要約】
・部下へのネガティブフィードバックは多くのリーダーが苦手とする課題ですが、適切に行えば相手の成長機会となります。
・株式会社co-take 代表の手嶋武久氏は「人格ではなく行動に焦点を当てる」「思いやりを持ちつつ、言うべきことがあるならはっきり伝える」という誠実なアプローチを提唱しています。
・同氏は他にも「Good to More」の順序、1回1つの内容に限定、3ステップのフィードバック法など、部下の成長を支えるテクニックを紹介します。

前回の記事はこちら 

ポジティブな伝え方を挟むだけで印象が変わる

手嶋武久氏:あとは、ネガティブフィードバックのポイントの2つ目ですね。伝える順番のところで、さっきの信頼残高に近いんですけど、GoodからMoreの順番で伝えていくのはけっこう重要かなと思っていて。

相手がフィードバックを攻撃だと捉えると、もう一気に(心の)窓をシュッて閉めちゃうので、そうではなくて成長の機会なんだと捉えさせることが必要かなと思っています。

フィードバック前に信頼残高があって、1回ポジティブなものを挟むと、たぶん残高がキュッと上がるんですよね。その後ネガをしゃべると、ちょっと落ちるんですけど、フィードバックをした後にも残高が残るみたいなイメージで捉えています。

ネガティブなフィードバックって言っていますけど、ポイントとしては「基本的にはBad、駄目だよっていう話じゃなくて、Moreなんですよ」という話し方をすることが重要だなと。

「伸び代だぜ。改善点だぜ」ってなると、やはり前向きなニュアンスが出てくるので、「確かにそうやったほうが、みんながより幸せに、ハッピーになるよね」というふうに捉えやすかったりするので。Moreっていう言葉はけっこう使いやすいかなというふうには思いますと。

ネガティブな指摘は1回につき1つまで

あとは、1回につき1つまで。これもけっこう重要だなと思っていて、信頼残高がどれぐらい残ったのかは数値でわからない部分だと思うので、1個うまくいったから2個、3個ってやると、やはり相手の顔が曇っていくことはけっこうあるんですよね。

僕もコーチングしながら、ちょっとネガティブなことというか、僕自身が思う、改善したほうがよりすてきになると思ったことも、だいたい1個までにとどめるようにしています。

一気にポンポンって2つとか言うと、1個目はたぶん、ギリ耐えて飲み込めるんですけど、2つ目はちょっとお腹いっぱいになっちゃうみたいなことがあったりするので。そうさせないために、ネガティブは1個までにとどめる感じですね。

ポジティブは別に、1個でも2個でも言ってあげたほうが、向こうは「うれしいな」っていう感じになると思うのですが、ネガはちょっとトゥー・マッチになりやすいので、そこだけちょっと注意かなと思っています。

フィードバックの前提となる価値観を意識する

(続いて)ネガティブフィードバックのポイントですね。フィードバックの視点のところで、ニューロ・ロジカル・レベルというものがあります。

これは何かというと、人の意識とか変容、成長とかっていうのを6つのレベルに分ける考え方です。上位概念が下に影響していくというふうに考えられているものです。

なので、ビジョンに基づいて、自分の存在とか信念とか、あとは能力、行動、結果が紐づいているよっていう考え方がありますよと。

ちょっとこれだけだとわかりづらいんですけど、手嶋の例でいくと、描いているビジョンはリスペクトフルな世界。「尊敬できる人とご一緒したいし、尊敬していただけるような人たちと関係性を築いていきたいぞ」みたいなことを描いているんですね。

じゃあ、それをするために自分がどういう存在でありたいかでいくと、得意なことを人にGiveする、お渡しすることで達成したいなと考えています。

そのためにはどういう価値観でいるのかというと、「Give and Given」だと思っていて。見返りを求めないGiveをし続けることをやっていきたいなと思っています。

だからこそ必要な能力として、圧倒的な言語化力が必要だなと思っていて。言語化していくと、いろいろな知識をいっぱい伝えることができます。だからこそ日記(を書いたり)とか、読書をしたりとか、それこそ「note」を書いてみたりとか、いろいろなアウトプットをやっています。

じゃあ、結果どうなったかでいくと、「年間で50冊以上本を読みますよ」とか、「アウトプットを80回以上やりますよ」とか、そういうことをずっとやっています。

相手の価値観や人格を否定しない

これがフィードバックとどう関係するかなんですけど、(ピラミッドの)上の存在とか価値観は、いわゆるBeingという、人のあり方に近いものかなと思っています。能力、行動とか実績・結果とか、このあたりはDoingです。

フィードバック、特にネガティブなものに関しては、このBeingに対してやるのは基本NGですと。人格否定になってしまうっていうところがあるので、ネガティブなフィードバックはできるだけ具体的な行動に対してやっていきましょうと。

なので、資料が遅れて自分の手元に来た時に、「資料が遅れるのは駄目だよね」っていうフィードバックをするイメージですね。

でも、人によっては、「資料が遅れているじゃん。だからお前は駄目なんだよ」みたいな。「だから」って、人格のほうに入っちゃう人がけっこういたりするんです。

それはやめましょうねというのは、このニューロ・ロジカル・レベルでも、やはりそうなんだろうなという納得性があるかなと思って、いつもこんな説明をさせてもらっていますね。

忖度することは愛情ではない

(続いて)ネガティブフィードバックのポイントの4つ目。スタンスっていうところです。僕の研修を受けていただいたなら見たことがあると思うんですけど、「耳に痛い、愛のあること」を伝えるのが大事かなと思っています。思いやりが高いか、低いか。はっきり言うか、言わないかっていうところです。

両方高いのが誠実なスタンスでお伝えするということだと思っていて、はっきり(伝える)、思いやりが低い状態は攻撃なので基本的に駄目だよねというところ。

思いやりが高いけど曖昧に伝える、忖度しちゃうという状況。やはりこれはけっこう起きがちです。できるだけ、耳に痛い愛のあること(を言うことが大切)なので忖度はやめましょうねということだと思っています。

相手の成長という面で見ると、忖度しているとけっこうネガティブなことが起きてしまうので、ちゃんと言ってあげましょう。

両方低いというのは無関心の状況で、管理職とかではこんなスタンスの人はいないかなとは思うんですけど。こういうふうに分けることができるので、誠実なスタンスでやっていくのが1つのポイントかなとは思っています。

最後は問いかけで終えて行動を促す

(続いて)フィードバックの3ステップというところ。フィードバックは言って終わりじゃなくて、やはり相手が変わっていくまでが大事かなと思うので、言葉が届くところまでを設計するように考えてやっています。

1つ目が、フィードバック前ですね。手嶋はけっこう、許可取りを入れるようにしています。フィードバックを受け入れる体制を作るというところ。

あとはIメッセージですね。これはめちゃくちゃ練習しました。感じたこと、思ったことを自分の言葉としてお伝えする。この後、もうちょっと詳細をお伝えしますけど、Iメッセージはけっこうキーだなと思っています。

3つ目が問いかけで、「僕ってこう思ったんだよね」(で終わり)じゃなくて、「こう思ったんだよね。それを聞いてどう思う?」とか、「それを聞いてどうしたいかな?」というふうに、最後は相手に問いかけとして残してあげると、向こうが「あぁ、自分はどうしたいんだろうな?」っていうふうに自分ごと化がグッと進みます。

そういうふうに最後は問いかけで終えてあげられると、より言葉が染み込んでいくのかなと思っています。

許可取りに関してなんですけど、心の準備をさせるっていうところですね。よくやるのが、コーチングとかでワーッと一通りしゃべった後に、「今日はいろいろとセッションさせていただきました。僕からお伝えしたいことがあるんですけど、フィードバックさせていただいてもいいですか?」っていうふうにするんですね。

前置きの一言を入れると相手も受け入れやすい

そうすると、人によっては「いや、大丈夫です」みたいな方もいらっしゃれば、「ぜひ聞きたいです」という方もいらっしゃいます。いっぱいいっぱいになっている人って「フィードバックは要らないです」っていう方もいらっしゃるとは思うので、それを本人に決定させることはけっこう重要かなと思います。

ちょっとネガティブなことを言ったとしても、相手は「自分で受け取るって言ったしな」ってなります。ちょっと強めなことを言ったとしてもちゃんと受容できる状態が作りやすいというのが許可取りのいいところかなと思います。

枕ことばを活用したコミュニケーションも一緒で、「すみません、ちょっと言葉は強いかもしれないんですけど」って言って始めていくとか。「なんていうか、無邪気なことを言ってもいいですか?」って言って、そもそも論をぶっ込むみたいなこともけっこう近いかなと思うんですけど。

こういうふうに許可取りをしていくのはけっこう重要かなと思います。

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