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Stop Begging for Effort | Get Your Team Back(全1記事)

「もっとがんばって」だけではリーダーシップにならない あいまいな励ましを「期待値の文章」に変える技術 [1/2]

【3行要約】
・新任マネジャーはインスピレーションで部下を動かそうとしますが、実際に必要なのは明確な期待値の設定です。あいまいな励ましだけでは努力は生まれません。
・マイケル・アシー氏は「ペップトークに頼るマネジャーは権威を失い、部下からスルーされる存在になる」と警鐘を鳴らしています。
・「もっとがんばって」ではなく「これが基準です」と具体的な期待値を 示し、フォローを続けることで、真のリーダーシップが発揮できます。リーダーシップコーチのマイケル・アシー氏のYouTubeチャンネルから、リーダーシップやマネジメントのヒントを紹介します。

インスピレーション頼みの新任マネジャーがハマる罠

Michael Ashie(マイケル・アシー)氏:新任マネジャーがみんな間違えるポイントが何かわかりますか? それは、「努力は、期待値ではなく『ペップトーク(励ましスピーチ)』から生まれるものだ」と思ってしまうことです。その結果、あなたはヘトヘトに疲れ、しかも無視される存在になってしまいます。新任マネジャーなら、いずれ誰もがぶつかる瞬間があります。

 チームの前に立っているか、Zoomであの微妙な「半笑い」を浮かべながら画面の前に座って、「今こそみんなを鼓舞するぞ」というつもりで話し始める、あの瞬間です。

 「なぜそれをやるのか」という理由を語り、ゴールを伝え、「私たちはこんなもんじゃないはずだ」というメッセージも乗せます。メンバーはうなずき、ちゃんと聞いているように見えます。中には、心を動かされたように見える人さえいるかもしれません。なのに、何も変わらない。何も変化が起きません。

一番つらいのは、あなたが「自分がどこかでミスをしたのかも」と感じてしまうことです。もしかして、自分は十分にモチベーションを高められなかったのかもしれない。トニー・ロビンズ(自己啓発セミナーで有名なパフォーマンスコー)的な要素が足りなかったのかもしれない。情熱が足りなかったのか、言葉が足りなかったのかもしれない、と。

だから、もう一度やろうとします。トーンを変え、切り口を変え、エネルギーを増やしたり減らしたり、さらけ出す度合いを増やしたり減らしたり。試着室でいろいろ試すように、コミュニケーションの仕方をコロコロ変えていくのです。これが、「努力はインスピレーションから生まれる」と思い込んでいる新任マネジャーがやりがちなことです。


チームが戸惑っているのは「情熱」ではなくあいまいな期待値

そしてここからが、本当の“どんでん返し”です。あなたのチームは、あなたの情熱に戸惑っているわけではありません。戸惑っているのは、あなたの「期待値」のほうです。

エネルギーは伝わっている。でも、「どんな水準を求められているのか」は伝わっていない。ペップトークは、その場では気持ちがいいものです。でも、それは「次に何をすればいいのか」を誰にも教えてくれません。成功が何なのかを定義しないし、境界線も示しません。あいまいさを取り除いてもくれません。そしてこの「あいまいさ」こそが、努力が死にいく場所なのです。

モチベーションだけを上げようとして、期待値を明確にしないほど、現場はちぐはぐになっていきます。スピーチはどんどん大きくなるのに、結果はどんどん小さくなっていく。そして気づいた時には、「リーダーシップ」よりも「感情労働」にばかり時間を使わされている状態になっています。

「お願い」ばかりのリーダーは、静かに権威を失っていく

ここからは、あまり口に出しては言われませんが、少しキツい現実です。モチベーションに頼り、期待値の設定をしないたびに、あなたの「権威」は少しずつ削られていきます。ドラマチックに「部下になめられている」という感じではなく、もっと静かで、じわじわと進む、小さな滴のような侵食です。

 なぜかというと、チームが耳にしているのが「基準の提示」ではなく「努力のお願い」ばかりになっていると、メンバーはあなたの言葉そのものではなく、「トーン」を読み取り始めるからです。
 
メンバーからすると、「もっとがんばってくれたらうれしいな」「もっと気にかけてほしいな」「強制はできないから、説得しようとしているんだ」といったニュアンスで聞こえています。

あいまいな期待値が「抜け道」と「当てずっぽう」を生む

「うまくいくといいな」という“願い”は、リーダーシップの戦略にはなりません。チームがあなたを無視しているのは、あなたを軽んじているからではありません。どこを狙えばいいのかがわからないからです。あいまいな期待値は、頭の中に“抜け道”をつくります。

「これで十分だと思っていました」 「あの部分がそんなに重要だとは思いませんでした」 「ああ、そんなふうに必要だとは知りませんでした」。

あなたは、同じことを何度も繰り返し、締め切りを追いかけ、クオリティを追いかけ、エンゲージメントを追いかけ続ける一方で、チームメンバーは心の中で「なんでいつも“当てずっぽう”でやっているんだろう?」と思っています。

あなたの依頼が明確な基準と結びついていないと、それは「やってもやらなくてもいいこと」のように聞こえます。そして物事が「オプション(任意)」のように感じられると、返ってくる努力も「オプション扱い」になります。

このタイミングで、マネジャーは「感じがよくて、でもなぜかスルーされる上司」に滑り落ちていきます。すごく支援的で、すごくポジティブだけれど、存在感は薄い。

あなたはインスピレーションで導こうとしていますが、チームが本当に必要としているのは「方向性」です。信頼をつくり、権威をつくり、リスペクトを生むのはペップトークではなく、「方向性」なのです。


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