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これでイイのか⁈ 「自分で考えるチカラ」 webセミナー(全3記事)

部下が「考えていない」と感じる瞬間 考えて仕事を進める部下が実践する2つの要素

【3行要約】
・「考えて動く」ことの重要性は認識されていますが、その具体的な意味を理解できていない人が多いのが実情です。
・変化の激しい時代やAIの普及、人手不足という背景から、やり方を自分で選び、目的に対して最適な行動を考える力が不可欠になっています。
・考える力を高めるには、良いやり方の知識を蓄え、自分の進め方を客観的にチェックするという2つの要素を実践すべきです。

仕事で考える力が必要な3つの理由

髙桑由樹氏:「『これでいいのか?! 自分で考えるチカラ』計画性がない、そして振り返らない症候群を解決する“メタ認知力”」というテーマで進めます。まず「自分で考える力」を取り上げ、その力がなぜ必要なのか、背景を3つ紹介します。

1つ目は「VUCAな世の中」です。簡単に言うと、世の中の変化がいっそう速くなっているということです。VUCAは変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字で、変化が速い時代だからこそ適応するために考える力が求められます。

2つ目は「AIの普及」です。AIが広がると「考えなくてもよくなるのでは」と思われがちですが、実際には問い方が適切でなければ、ほしい答えが返ってこないという経験がみなさんにもあると思います。

求める情報や考えをまとめるためには、使い手が「何をどう聞くか」を自分で考える必要があります。どんな問いを立てれば自分が求める解に近づけるのか、そこが問われる時代になっています。AIの普及は、むしろ考える力の必要性を高めていると感じます。

3つ目は「労働人口の減少」です。今後はどの業界も会社も人が減っていきます。少ない人数で同じ、もしくはそれ以上の生産性を求められるため、効率化は避けられません。仕事の進め方を変える必要が出てきます。

こうした3つの背景から、考える力や最適な方法を学ぶ姿勢がこれまで以上に重要になっています。今回はその観点から、このテーマを挙げています。

「自分で考える」「考えて動く」というテーマは、昔からずっと言われています。働く方々はみなさん、「自分で考えることが大事だ」ということ自体は理解しているはずです。それでも「考えてはいるけれど成果につながらない」という背景があることは押さえておく必要があります。

上司から見て部下が「考えていないなぁ」と感じる場面

ここで、先ほどのVUCAをもう一度取り上げます。変化が激しい時代になると、人は不安になります。新しいことが起きたり、何かが変わったりすると不安になる、これは自然な心理です。

この状況を示す新しい4文字の言葉として「BANI」があります。

もろい、不安、非線形、不可解の頭文字で、変化が激しいからこそ「自分は大丈夫だろうか」という不安が常態化する時代だということを示しています。

不安が強くなると、自由に考えることが難しくなり、正解を探しにいく思考になりがちです。そうすると、本質的な解決策ではなく、その場しのぎの正解探しの判断をしてしまいやすくなり、結果的に成果につながりにくくなります。

このように、考えていても成果につながりにくい時代背景や心理背景が、今の私たちの前提としてあるということを踏まえておく必要があります。その上で、自分で考える力をどう高めていくのかを考えていきたいと思っています。

今回のセミナーでは最初に、参加者のみなさんに「部下に対して『考えていないなぁ』と感じる場面」をうかがいました。

例えば、指示を出した直後にやり方を聞いてくるとか、「これをやっておいて」と伝えたのに、その指摘事項がまったく考慮されていないというケースです。「ちゃんと話を聞いていないのでは?」と感じる瞬間ですね。

また、目的を説明できないとか、質問がないという場面も挙がっていました。これらは「自分で考えられていないのでは」と上司が感じる典型的なシーンです。さらに「やり方をどんどん聞いてくる」ことも「考えていない」と映るという声が多くありました。

こうした状況を踏まえ、今回のセミナーの狙いは、「考えて動ける人材を生み出すには『〇〇』が必要である」ということを 、まさに考えていくことにあります。

上司が部下に求める「考える力」とは

プログラムは3本立てです。1つ目は「考える力とは何か」。2つ目は「思考力を高める関わり方」です。これは上司としてどう関わるかという視点です。3つ目は「考える力を高める環境作り」で、会社として何を整えていくのかについて触れてまいります。

では1つ目の「考える力とは何か」についてお話しします。上司としてつい「もっと自分で考えてよ」と部下に言いがちですが、そもそも「考える力とは何か」を上司が説明できないと、部下も「どう考えればいいのか」がわからないままです。

そこで参加者のみなさんに、「あなたが求めている『考える力』とは何ですか?」という問いを投げかけました。ここに挙げているのが、各社が定義した「考える力」です。

例えば、目標や行動に客観的に問いを立てる力、自分の行動を自分で決められる力、課題を解決する方法を現実的に考える力、目標達成のための方法やスケジュールを考える力、達成のための行動を分解する力などです。いずれも「行動に落とし込む」「具体的な行動を考える」という点が共通項でした。

最後に挙がったのは、社員やお客さまなど「自分以外の人がどう感じるか」を想像する力です。他者視点を取り入れ、視野や視座を広げるという意味ですね。

この問いに答える時、みなさんかなり時間をかけていました。それだけ「考える力」は言葉にしづらいものです。まずは上司自身が言語化し、部下に要望として伝えることが、「自分で考える力」を高める最初の一歩だと考えています。

考えないでできる作業と考える仕事

では「考えて動く」とは何か。先ほども触れたとおり説明しづらいので、より分解してみます。左側が考えていない状態、いわゆる作業です。

よく「これは仕事ではなく作業だ」と言われる領域です。対して右側が、考えて動く状態。この2つを対比しながら考えていきたいと思います。

まず「考えて動いていないんじゃないの?」と上司が感じる、いわゆる「作業だよ」と突っ込まれがちな状態について整理します。ただ、人はまったく考えていない時というのはありません。頭は動かしている。ただし「それは考えているとは言えないのでは」という領域があるということです。

仕事を進める上で、まず「感じる」という段階があります。「やったー」「痛っ」といった身体感覚や、「なんとなくモヤモヤする」「これは何だろう?」といった言葉にならない感覚です。続いて「思う」という段階があります。「この状態はいい・悪い」といった価値判断や、「絶対にこうすべきだ」という思い込み、「これはこうだと思う」といった考え方です。

これらは共通して「主観」です。本人の内側で生じている捉え方、感じ方です。

一方で「考えて動く」とは何かを分解すると、自分の感じ方や捉え方、進め方はどうかと見直すこと、つまり自分を客観視することだと言えます。多くの管理職が求めている「考える」とは、この客観視のプロセスです。

左側にある「感じる」「思う」が主観だとすれば、自分の感じ方・捉え方を「どうなのか」と問い直すことが客観の領域にあたります。この主観に対して客観の視点を持ち、自分を見つめ直すという行為が、考えて動く際の「考える」に該当すると考えています。

“考えて仕事をしている人”の共通点

ここで「メタ認知」と書いています。最近は書籍でもよく見かける言葉ですが、まさに客観、俯瞰して考えるということです。「メタ」は「1つ上の」という意味で、認知は脳の働きです。つまり自分を1つ上の視点から客観的に見るということになります。

実際に、管理職や会社が求めている「考える」とは、自分の感じ方や捉え方、仕事の進め方を見直し、やり方をより良いものに変えていく、あるいは選び直すということです。これを言い換えると「考えて動く」ということになると考えています。

スライドの図では読書を例にしています。「作業的な読書」であれば「眠くなってきた」「おもしろくない」といった、ただ感じる・思うという主観的な反応のまま進みます。一方で考えて動く読書とは、本の選び方は適切だったか、読み方をもっと速くできないか、読み終えた後にどう活用するか、といった「やり方」を考えることです。

私はさきほどから「〇〇の仕方」「やり方」という言葉を繰り返していますが、この「やり方を考える」ことがなぜ重要かというと、やり方は手段だからです。手段を考えるということは、必ず目的に対して考えているということなので、目的意識が自然と芽生え、目的に対してうまくいっているかどうかを確認する姿勢も同時に生まれます。

客観視点を持ち、深く考えられる方と話していると「自分の感じ方はこうです」「今の自分の見え方はこうです」「自分の進め方はこうですがどうでしょうか」と、いろいろな『方』で自分を説明される印象があります。目的や出来栄えを常に見ているため、成果につながりやすいわけです。

反対に「感じる」「思う」といった主観だけで進めてしまうと、自分を振り返ることができないため気づきが生まれません。なので成果につながりにくいということです。多くの会社で「もっと考えろ」と言われる背景には、まさに「やり方を考える」「やり方自体を考える」という意味が含まれています。

考えて仕事をしている人が実践する2つの要素

ここまで、考えるということを「やり方をより良いものに選び直す」こととして説明してきました。では、この考える力、つまり「良いやり方」を選ぶ力をどう高めていくのか。この点を考えるために、考える力をもう少し分解してみます。私はこれを2つに分けて整理しています。

まず1つ目は、そもそも良いやり方を知っている必要があるということです。やり方を選ぶためには、良い・悪いを判断できるだけの知識や基準が必要で、そのためには「やり方の引き出し」を持っていなければいけません。

2つ目は、持っている良いやり方と自分のやり方を照らし合わせ、チェックするということです。チェックするというのは、言い換えると活用するということでもあります。この2つが揃って初めて「やり方を選ぶ力」、つまり考える力になります。

先ほどの読書の例に当てはめてみます。まず「良いやり方を知っている」というのは、速読の仕方、本の選び方、読み終えた後の活用の仕方などを理解している状態です。これらを知らなければ、良い読み方を選ぶこと自体ができません。

2つ目の「自分のやり方をチェックする」というのは、「読むペースはこれでいいか」「今の理解度はどうか」「そもそもこの本の選択は適切だったか」と、自分の読み方を振り返ることです。こうした振り返りがあって初めて、やり方を選び直すことができます。

この2つが組み合わさって、やり方を選ぶ力、考える力につながっていくと考えています。

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