【3行要約】
・職場の「扱いづらい社員」への対処法は多くのリーダーの悩みですが、適切な対応方法を知らないと組織の生産性が低下してしまいます。
・マイケル・アシー氏は「扱いづらい社員」にはネガティブ、ルール無視、攻撃的など複数のタイプがあり、それぞれに対応が必要だと指摘。
・リーダーはまず状況を把握し、期待値を明確に伝え、タイプ別の適切な対応と予防策を講じることで、健全な職場環境を構築できると助言しています。
まず「誰が扱いづらいのか」を具体的に見極める
Michael Ashie(マイケル・アシー)氏: 「Leadership with Mike」へようこそ。このチャンネルでは、あなたがもっと自信を持ってリードできるようになるためのヒントをお届けしています。しかも、まわりくどいお説教じゃなく、「無駄のない筋の通った話」だけでね。伝わっていますかね。
最初にやるべきことは、「扱いづらい社員が誰なのか」を見極めることです。例えば、ネガティブな社員がいるかもしれません。彼らはゴシップや噂話を広めるタイプで、職場に有害な雰囲気をつくり出します。ネガティブな人たちは、同僚と協力するのを拒んだり、あなたやチームメンバーが出したすごく良いアイデアに対しても、「いや無理」と強く抵抗してきます。結果として、仕事が遅れたり、ミスが増えたりするわけです。

次に、「ルールを守らない社員」がいます。このタイプは、会社のポリシーや手順を守らないことで、遅延やミスを招きます。締切や品質基準を平気で無視したり、自分の行動に対して一切責任を持とうとしません。あなたやマネジメントチームの権威を損なう方向に動き、最終的には「言うことを聞かない人」になってしまいます。
そして、「攻撃的な社員」もいます。こういった人たちは、同僚を威圧したり、いじめたりするかもしれません。場合によっては、あなたや他の上司に対してさえ、そういう態度を取ります。職場を敵対的で居心地の悪い環境にしてしまい、フィードバックや提案にも耳を貸さず、いつもケンカ腰で、チームの仕事の流れを乱してしまいます。
さらに、もっと広い意味での「扱いづらい社員」というのもいます。例えば、仕事の段取りが悪かったり、信頼性に欠けていたり、連絡やフィードバックにぜんぜん反応しなかったり、あからさまに失礼だったりプロ意識に欠けていたり、ひどい時には不正や倫理的に問題のある行動に走ったりします。こういう人たちは、チームのモラルや生産性を大きく損なってしまいます。
ここまで聞いておわかりのとおり、どのタイプも一緒に働くのが難しい相手です。なので次に考えるべきは、「こういう人たちとのコンフリクトにどう対処していくか」です。
コンフリクトの原因と影響を見極め、期待値とゴールをそろえる
最初のステップは、「状況についての情報を集めること」です。トラブルに関わっている本人たち一人ひとりと話し、それぞれがどう見ているのか、どんなふうに感じているのかを聞きます。コンフリクトの根本原因が何なのかを特定する、あるいはできる限り特定しようとします。そして、そのコンフリクトがチーム全体や組織全体にどんな影響を与えているのかも考えます。
そこから、「期待値」と「ゴール」をはっきりさせる必要があります。つまり、その社員に対して何を求めているのか、この対立がどうなっていれば「解決した」と言えるのかを明確にするということです。関わっている全員が「何が期待されているのか」を理解できるようにしたいわけです。
一度の合意で「死んだ馬を叩き続けない」
ここで、ちょっと横道にそれますが、もし、ずっと好き勝手にやってきた「扱いづらい社員」がいて、あなたがその人との面談の場を設けたとします。その人は、その場に呼ばれたことをあまり快く思っていないかもしれません。でもあなたが基準を示して、「じゃあ明日からは仕事をこう進めよう。あなたにはA・B・Cをやってほしい」と伝えた時、相手がしぶしぶでも「わかりました」と言ったとします。
この時点で、その件に関するコンフリクトは、いったん終わりです。相手が笑顔じゃないかもしれないし、心から納得しているようには見えないかもしれません。でも、相手が「完全に納得している」かどうかはさておき、少なくとも口では「やります」と同意したわけです。「死んだ馬をいつまでも叩いても意味がない」という表現がありますが、まさにそのとおりで、同じ話を延々と繰り返しても得られるものには限界があります。一度「新しいやり方でやります」と口にしたなら、そこでその話は切り上げましょう。
もしそこで合意してくれないのであれば、「合意に至らなかった場合にどうなるのか」という結果をきちんと伝える必要があります。
全員の「見え方」を把握し、認める
それから、関わっている全員の「見方」を把握し、認めることも大切です。一人ひとりに、自分の考えや感情を話してもらい、モヤモヤや不満を言葉にしてもらいます。もちろん、全員の見方が正しいわけではありません。ただし、「その人にはそう見えている」「その人はそう感じている」という事実自体は、ちゃんと扱う必要があります。
リーダーとして私たちができるのは、人々が別の視点を理解できるように導いていくことです。納得するかどうかまではコントロールできませんが、その方向に連れていくことはできます。
コンフリクトを抱えた個人やグループと一緒に作業をしながら、「どういう結果の出し方があり得るのか」「どう直していけるのか」という選択肢をいくつか出していきます。そして、「行動プラン」に合意できるポイントまで持っていきます。
行動プランに合意するというのは、選んだ解決策をどう実行していくか、具体的にどんなステップを取るのかを決めるということです。誰が何をいつまでにやるのかを決めて、進捗をモニタリングする仕組みをつくり、必要に応じて調整できるようにしておきます。
ここでちょっとだけ補足ですが、もしこの話が役に立っていると感じているなら、「自分の成長プラン」の一部としてこのチャンネルに登録しておく、というのもアリかもしれません。毎週、今みたいな動画を2〜3本アップしています。
慢性的にネガティブな部下には不満を受け止めた上で解決策に導く
さて、続けましょう。ここからは、具体的なタイプ別にどう対応するかという話です。
まず、「慢性的にネガティブな人」や「とにかく文句が多い人」について。こういう人たちに対しては、最初に、その人の「不満」や「心配事」を認めてあげることが大事です。「そう感じているんだね」と、一度きちんと気持ちを受け止めてあげます。その上で、会話の焦点を「問題そのもの」から「解決策」に移していきます。
前に、こんな上司がいました。「問題じゃなくて、解決策を持ってきてくれ」とよく言う人でした。当時の僕は、「それ、ちょっとずるくない?」と笑ってしまったんですが、言いたいことはわかるんですよね。世の中、問題なんていくらでもあります。だからこそ、スタッフと話す時には、「別のやり方」「代替案」「どうすれば前に進めるか」といった解決策のほうを前面に出してもらおう、ということなんです。
スタッフには、別の解決策やアプローチを考えてもらったり、状況のポジティブな側面や、チームとしての目標・価値観のほうに意識を向けてもらったりします。
変化を拒む社員には目的とメリットをかみ砕いて伝える
次に、「変化をとにかく拒む社員」への対応です。「前からずっとこうやってきたので」といった言い方は、正直、理由としては通用しません。こういう人たちに対しては、その変化やアイデアがなぜ必要なのか、どんなメリットがあるのかを、できるだけわかりやすく、納得感のあるかたちで伝える必要があります。
そして、変化に対応するためのトレーニングやリソース、サポートをきちんと用意します。誰かが変化に抵抗している時には、その人自身が変化のプロセスに参加できるようにし、フィードバックや建設的な批判を出せる場をつくるのも大切です。
「やりたくないから」「どうせうまくいかないから」だけではだめですが、その中に本当に考えるべきリスクが隠れている場合もあります。その人が「ここが問題だ」と言っているポイントが、実際の問題になり得ることもあるので、一緒に検討し、必要なら解決策を考えていきます。
攻撃的な社員には冷静さと明確な境界線で臨む
次に、「攻撃的すぎる、対立的すぎる社員」への対応です。こういう人と向き合う時に、まず何よりも大事なのは、自分自身が落ち着いていることです。感情的にならず、冷静さを保つことが前提です。その上で、どんな行動はOKで、どんな行動はNGなのか、どんなふるまいを期待しているのか、といった「期待値」と「境界線」をはっきり伝えます。
本人と話す時は、人格攻撃やレッテル貼りではなく、「具体的な行動」と「その影響」にフォーカスします。そして、対立的なふるまいの代わりに、どんな話し方や行動をしてほしいのか、別の選択肢を提示します。
コミュニケーションが苦手な社員には聞く姿勢と伝え方を育てる
次に、「コミュニケーションがうまくない社員」への対応です。まずは、こちら側がしっかり話を聞く「アクティブリスニング」を実践すること、そして相手にも、人の話をきちんと聞く姿勢を促します。その上で、どんな話し方をしていたのか、どこが伝わりづらかったのかについて、具体的で建設的なフィードバックを渡します。場合によっては、コミュニケーションのトレーニングや、書き方・話し方のサポートになるようなリソースを提供してあげるのも良いでしょう。
コンフリクトが起きにくい職場環境をデザインする
ここまで話してきたのは、すでにコンフリクトが起きてしまったあとにどう対処するか、という話です。でも実は、それよりももっと良いのは、そもそもコンフリクトが起きにくい環境をつくることですよね。
そのために、まず「クリアなコミュニケーション」を習慣化していきます。チームのために定期的なチェックインやコミュニケーションの場をつくり、オープンで正直なコミュニケーションを促します。期待値や目標をあいまいにせず言葉にして共有し、フィードバックや「よかった点」「感謝」を、日頃から伝えていきます。
次に、「ポジティブな職場環境」をつくります。お互いを尊重し、多様性を受け入れる文化を育て、ポジティブな人間関係やチームビルディングの機会を増やします。成果や節目を一緒に祝うことも大事です。コンフリクトやネガティブな行動が出てきたら、できるだけ早く、効果的に対処します。
そして、「定期的なフィードバックとサポート」を続けます。建設的なフィードバックやコーチングを提供し、成長や学習のためのリソースやトレーニングを用意して、社員が仕事をきちんとこなすために必要なツールやリソースが揃っているかを確認します。
ここまで聞いて、「でも実際の現場でどう対応したらいいの?」と思っているかもしれません。リアルな現場で、扱いづらい社員とどう向き合うのかについては、別の動画で、僕のコーチング受講生が実際に直面したケースを取り上げて、どんなアドバイスをしたのかを詳しく話しています。
というわけで、コーヒーでも用意して、その動画もぜひ見てみてください。それじゃあ、そこでまた会いましょう。チャオ。