お知らせ
お知らせ
CLOSE

【人材研究所 曽和利光氏登壇!】”グレイナーモデル”から学ぶ、組織の成長過程で陥りやすい罠と対策(全4記事)

「Web化で売上10分の1」を恐れなかったリクルートの慧眼 曽和利光氏が語る“自己破壊”を恐れない経営戦略 [1/2]

【3行要約】
・株式会社マネジメントスキャンが曽和利光氏をゲストに迎え、組織成長理論「グレイナーモデル」を解説するウェビナーを開催しました。
・元リクルート人事部門の曽和氏によれば、同社は創業から現在まで、グレイナーモデルが示す5段階の成長と危機を体現してきました。
・企業が持続的に成長するためには、各段階で生じる危機を予測し、事業環境の変化に応じた組織体制の再構築を躊躇なく実行することが求められます。

前回の記事はこちら 

カニバリゼーションを恐れない自己破壊的イノベーション

曽和利光氏(以下、曽和):(スライドを示して)このステップ3の段階というのは、時期でいうとだいたい1990年代後半から2000年代ぐらいです。この頃は、言ってしまえば全体最適を失っても、権限委譲することによって個々の事業を自由に働かせて、勝ったものをやるという段階になっていたんですよね。

僕自身が入っていた時のリクルートなので、自分で言うのもアレなんですけどね。とか言いながら僕は人事だったので、別に事業をやっていたわけじゃないんですが。

すごいなと思っていたのは、今まで成功していて、今まさに売上や利益をものすごく出してるものにカニバリゼーションを起こす、共食いするというか。「これは絶対に陳腐化するから」ということで、もともと成功している事業を倒すような新規事業をバンバンやっていったんですね。

だから、この頃は、「カニバる、カニバる」みたいな言葉、カニバリゼーションというのがすごく頭の中に残っています。それをぜんぜん恐れずにやっていたんですね。有料雑誌を思い切って廃止して、無料紙とWebに舵を切ったりなど。そうすると、売上高が10分の1になったりとか。

例えば「リクルートブック」を「リクナビ」に変えただけで、まず(売上高)2,000億円だったのが1,000億円になって、徐々に減っていって、今は200億円みたいな感じですね。本当はどれぐらいかはわからないですけど、10分の1ぐらいにはなったんですよね。そういったことを思い切ってやったことが、変われた原因かなと思います。

若手への権限委譲がWeb転換の推進力に

曽和:その裏にあったのが、やっぱり権限委譲した若手の対応ですね。これは、いろいろ世の中にも出ているのでご存じの方もいるかもしれませんけれども。この頃はやっぱり、新規事業の提案制度のリーグみたいなものがボトムアップで、創造性の第2段階みたいにもう一度出てきた。今でもある「ホットペッパー」とかがいろいろ出てきた時期かなと思います。

これがちょっとあったので、インターネットへの転換ができたんじゃないかと思います。ただグレイナーモデルでいうと、当然ながらまた危機が出てくるわけです。結局、各事業単位が勝手に動いているので、組織全体で見るとサイロ化と言いますか、縦割り化とか、重複投資とか、同じようなことを別の部署がやっているとか、事業内カニバリとか。

例えば僕は採用担当をやっていたんですけど、グループ内での人の採り合いなど、衝突が起こっていたのも事実です(笑)。

芳賀勇稀氏(以下、芳賀):(笑)。

曽和:もうぜんぜん、全体最適が失われた。ただ、それが活力にはなっていたと思うので、本当に象徴的な例なんですけどね。「カニバリを恐れない」みたいなことを言っていたばっかりに、独自のシステムとかバラバラの顧客管理とか、非効率性が発生していたのかなと。

でも、この権限委譲による自律性がなかったら、おそらくインターネットに対応することはできていなかったと思うんです。これはまさにグレイナーモデルの状況でした。

持ち株会社体制への移行で組織の統制と調整が進む

曽和:一方で当然、このバラバラの状況をなんとかしなきゃいけないということで調整の段階に入ってくるわけですけども、ここが例の上場に移ってくるところでもあるわけです。今のグローバル展開に至るように資金を集めなきゃいけない。最初の目的としては上場することによって、それができるようになるところがあったと思うんですけども。

もう1個としてはやっぱり、いろいろなものが乱立してぐちゃぐちゃだったので、「ちょっと整理しようや」みたいな話だと思います。リクルートは別にグレイナーモデルを基に運営していたわけでもないので、グレイナーの言葉では言っていなかったんですけども。そういう感じで、権限委譲によって分権化した組織を調整、統合していたと思います。

象徴的なものは、持ち株会社への体制移行ですね。持ち株会社が全部を統合して強力な権限を持ちながら全体最適を行うように、いろいろと合わせたり外したり、今でもIndeedとリクルートのHR部門をバーっとくっつけたりとかをやっていますけども。

このような強力な全体最適の仕組みを、ガバナンスを強くすることによって行った。しかもそれは、その後に上場するためにも重要だったと思います。統制がバラバラだった組織に幹を通して、上場企業として耐えうる管理体制を整備した。そして、ようやく2014年に東京証券取引所にて株式上場が行われた状況だったのかなと思います。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

次ページ: 強力な中央管理体制が大きな動きを可能に

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!