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【人材研究所 曽和利光氏登壇!】”グレイナーモデル”から学ぶ、組織の成長過程で陥りやすい罠と対策(全4記事)

マネジメントの本質は成功体験を壊す勇気 組織がぶつかる壁の乗り越え方を「グレイナーモデル」に学ぶ [2/2]

組織成長の5段階とそれぞれの危機

芳賀:まず、グレイナーさんの視点ですと、組織の成長段階は大きく5つの段階があるよと言っております。各段階ごとに青色の矢印で示している進化の時期と、その進化だけではこれ以上の成長はなかなか難しいよねという限界点としての危機。赤色のギザギザのマークで示したところに必ずぶつかるよと言っています。

組織というのは、各段階ごとに進化、危機、進化、危機と繰り返しながら成長していくんだ、というのがここまでのお話でした。

一方で、じゃあ各段階ごとにどういう進化をしていくのか。そして、どんな危機にぶつかるのかは、段階ごとに特徴があります。それぞれ、ご説明したいと思います。

カリスマ創業者の限界と組織化の必要性

芳賀:まず、第1の段階は「創造性による成長」になります。これはどういうことかと申し上げますと、この段階はおおむね、組織がまだできたばかりのフェーズを示していることが多いです。イメージとしては創業者やトップのカリスマ力、もしくは優れた技術を持って起業されている方とかが、まさにその技術ないしはカリスマ的なリーダーシップで、ビジネスをぐーっと育てていくようなフェーズです。

これ自体はものすごくすばらしいことなんですけれども、やっぱりどこかのタイミングでトップのカリスマ性だけでは成長が難しくなる時期が来ます。どんなにカリスマだったとしても、やっぱり組織の規模が何十人と増えてくると、その1人がすべてを管理できるはずもないよね、というイメージを持っていただけたらと思います。

まさにこの創造性による成長がもう限界だよ、というところで生まれてくる危機が「統率の危機」だとグレイナーさんは言います。これは先ほど申し上げた話にもつながるんですけれども、やっぱり1人のカリスマの力だけでは限界が訪れます。じゃあ、組織が次の段階に成長していくために何が必要になるかと言いますと、「指揮による成長」という段階に入らないといけません。

マネジメント導入からの自主性の危機へ

芳賀:これはどういうことかと申し上げると、まさにそのカリスマ的なトップを支える右腕、左腕になるような、マネジメントがしっかりとできる側近をそばに抱え、その右腕、左腕を主体としてトップダウン型のマネジメントスタイルを採用していきます。

例えば、一定の仕組み、ルール、制度などを導入していったり、マネジメントの概念を組織に導入していくようなフェーズになっていきます。実際にこの指揮による成長が始まると、また組織がぐーっと成長していきます。事業も伸びていって、メンバーも増えていきます。ただグレイナーさんの視点ですと、「指揮による成長」でも、やっぱりどこかで限界にぶつかるタイミングが出てくると言うんですね。

ここで訪れる危機が、「自主の危機」ですね。これはどういうことかと申し上げますと、トップダウン型のマネジメントのスタイルで、まだ仕組みも制度もなかった組織にいろんなものを入れていきます。

一方で、やりすぎてしまうと、実際に現場で手を動かしている方々からすると、ある種、自分たちのほうが知識がある側面もあるので、自分たちがイニシアチブを取ったほうが早いんじゃないかという葛藤が生まれることや、一定の仕組みが生まれてしまうので、どうしてもスピード感が落ちてしまう側面があります。

結果として、指揮による成長で伸びてきたものの、スピードダウンしていくフェーズにぶつかってしまうのが、この自主の危機になります。

権限委譲と組織全体の調整

芳賀:じゃあ、この自主の危機を乗り越えるために何が必要かというと、次に「委譲による成長」というフェーズに入ります。これは、権限委譲の”委譲”ですね。イメージとしては、いろんな事業部が1つの会社の中にあったり、もしくは子会社がたくさんあるような会社をイメージしていただけるとわかりやすいかもしれないです。スピードが落ちてしまったところから回復するために、事業部や子会社にどんどん権限を移していきます。

なので、また現場ごとにスピード感がどんどん増して、事業をドライブしてくれるようになります。ゆえに、組織としてはまたどんどん膨らんでいく、成長していくんですけれども、やっぱりここでも限界点がきます。

その次の限界が「統制の危機」です。これはイメージですけれども、本来は1つの会社なんですが、それぞれに独自の国、文化が作られてしまうかたちで、ある種の無法地帯に戻りつつあるような状態です。

例えば、A事業部、B事業部、C事業部といろいろな事業部があった時に、本来であれば予実の管理とか制度とか、横串を通すかたちでやれているほうが会社としてすごく生産性が高いはずなのに、それがぐちゃぐちゃに管理されているような状態です。会社としての無駄も増えてくるような時期になっていきます。

いつかはこんな状態にぶつかってしまうよということなので、次に向かわないといけないフェーズが、第4段階の「調整による成長」になります。

組織の硬直化から最終段階へ

芳賀:ここがまさに会社として何を横串に整えていかなきゃいけないのか。それは人事制度だったり、もしくは予実管理の仕組みや情報管理のシステムなのかもしれないんですけれども。会社全体としての管理、統制を効かせていくフェーズになっています。

実際に、このフェーズになってまた成長が進んでいくんですけれども、ここでもやはり限界が訪れていきます。もしかしたらけっこう大きな規模感の会社でお仕事をされたことがある方はイメージが湧くかもしれないんですけれども、ぶつかる危機が「形式主義の危機」という危機です。

これは会社としてのルールや仕組みなどをたくさん整えて統制を効かせるようにはするんですけれども、ある種ガチガチに固めすぎてしまう部分があり、逆に組織が硬直化してしまう。結果として、またスピードが遅くなってしまったり、働いているメンバーのみなさんの創造性が失われるようなことにつながったりします。

「承認プロセスはこんなに必要なのか」みたいなことがよく起こったりするのは、こういう時の危機に該当します。

まさにそこを乗り越えていくために、5つ目のフェーズとして、「協働による成長」というフェーズに進んでいくことをグレイナーさんは提唱しています。

この協働による成長がどういうものなのかというと、これは各事業部や子会社の自律性を一定、重んじる。一方で、全社として何を基軸に動いていくのかをあらためて明示する、組織として束ねる、何かを整えにいく。代表的なものですと、ミッションやビジョン、バリューと言われる価値観に関わるケースが多かったりします。

マネジメントの本質は過去の成功を疑い壊す勇気

芳賀:まず、ここまで各段階ごとに、進化と革命の時期を経て組織が成長していくというお話をざっくりとさせていただきました。

2つ目として、組織の危機が何個もあるよというお話をさせていただいたんですけれども、グレイナーさんは危機というものは、実は環境の要因よりも過去の成功要因に根ざしているケースが多いと言っています。もしかしたら先ほどの図をご覧いただいて気づかれた方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、再度ご覧いただきたいと思います。

例えば、第1段階の統率の危機は何が原因で生まれているのかというと、カリスマのリーダーによる創造性ですね。これだけでは組織のドライブが効かなくなっている状態。だからこそ統率しなきゃいけない危機に直面しているんだよと。

第2段階の指揮も同じですね。管理やルール、マネジメントを導入して組織化をしていく一方で、やりすぎると、どこかのタイミングでメンバーの自主性や創造性、スピード感が失われていく。

もちろんグレイナーさんも、基本的には各段階ごとに訪れる危機には市場の要因がないとは言ってはいないんですけれども。一番のボトルネックになっているものは、実はこれまで会社を引っ張ってきた成功要因に根ざしているんです、ということを強く主張しております。

これはつまり、マネジメントに関する本質は、実はこれまで成功を積み上げてきた実績、歴史、知識などを一度疑うこと。そして、その成功を壊すことができるか。そういう勇気を持てるかどうかが、実はマネジメントの本質なのではないかなと考えております。

まずここまで、グレイナーモデルとはいったい何なのかのご説明をさせていただきました。この後、実際にこのグレイナーモデルの視点で、リクルートさんという超有名な会社さんが、どうしてあそこまで成長したのかを曽和さんに解説いただきたいと思います。

いったんここまでで、グレイナーモデルについてのQ&Aなどをお受けできればなと思います。

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