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Nulab Conference 2025(全3記事)

資料の8割は読まれない「忖度ページ」 無駄な資料作成、手戻りをなくすコツ

【3行要約】
・従業員の不満解消が満足度向上につながらないという事実――多くの企業が「働きやすさ」を追求するも、本当の「働きがい」には結びついていません。
・越川慎司氏は「承認」「達成」「自由」が働きがいの3要素だと指摘し、不平不満解消よりも価値創造が重要と語ります。
・上司と部下の1対1の対話を増やし、無駄な会議や資料作成を減らすことで、チームの「働きがい」と生産性を高める新たなマネジメント手法を実践しましょう。

前回の記事はこちら

従業員の不平や不満を解消しても「働きがい」は高まらない

越川慎司氏:もう1ついきましょう。とはいえ、ちょっとやる気が落ちちゃうことはあるじゃないですか。おすすめなのが、これね。「働きやすさ」はもう、ちょっと古いなと思います、「働きがい」。

みなさんも職場で従業員満足度調査ってやります?「何々がない」とか、よくありません? 「リモートワークが少ない」とか、「最新のパソコンを入れろ」とか、「MacのM5が出たから、あれに替えてくれ」とよく(意見が)出ますよね。

それを実現した企業が8社あるんですよ。その8社は、なんと翌年、従業員満足度調査(で不平・不満・不快が)上がっていないんですよ。だから、そろそろ不平・不満・不快を取る活動をやめましょうよ。不平・不満・不快を刈り取ることは必要ですよ。このへんが制度とか仕組み作りとか、そのへんですね。

僕も週休3日なのは、親の介護をしなきゃいけないから、そういうのはもちろん必要なんだけど。でも、働きがいとか幸福というのはプラス感情だから、マイナスをゼロにしてもそれが働きがいにはならないんですよ。

実際に、働きやすさをなんとかクリアしようと。働いている上で「これをやったほうがいいな」という内発的動機付けね。働きがいがあると、それは会社にとっても社員にとっても、共にハッピーだということがデータでもわかっているわけです。生産性も高いし、僕みたいにうつ病になる人も少ないし、アイデアも出るし、残業も少ないしという。

「じゃあ、働きがいだな」と。もちろん成果が出ているから働きがいがあるという逆相関もありますよ。でも、働きがいがあること自体は、自分軸のキャリアを育てる上でも、会社軸の仕事を進める上でも、僕は必須だと思います。エッセンシャルだと思います。

じゃあ、みなさん、バイ・ザ・ウェイ、みなさんの働きがいは何ですか? 働きがいが自分でわかっていないと獲得はできないです。キャリアプランとか働きがいというのは、会社が与えるものじゃなくて自分で見つけるものですから。

「働きがい」を感じる瞬間は?

じゃあ、どうやって見つけるか? 17万3,000人に聞いて回りました。うちの会社は社内でExcel利用を禁止にしているので、17万人のアンケート調査はAIがやってくれました。

2025年の3月に、17万3,000人に(アンケートを)採りました。「あなたにが働く時に感じた幸せって何ですか?」と聞いたら……。みなさんは知っていますよね、ワードクラウドで、テキストマイニングでやりました。

そうすると、またちょっと2019年に戻っているんですけど、この3つの要素のどこかに対応する方が、だいたい全体の88パーセントいるんですね。

みなさんは、どうですか? どういう時に働きがいを感じます? 褒められた時? お客さんに「ありがとう」と言われた時? 給料が出た時? 早く帰れた時? 給料で家族と食事をした時? というやつじゃないですか。これは絶対に把握したほうがいいです。

つまりみなさんのチームメンバーには、承認で働きがいを感じる人もいれば、達成で働きがいを感じる人もいれば、自由で働きがいを感じる人もいる。これを理解することを「多様性」と呼びます。

これは実は順番が重要で、今日はリーダーの方がいらっしゃると思うので、「おぅ、(あなたの)働きがいは何?」と言って答えてくれる人は12パーセントしかいないですからね。もう来週、それを言っても教えてくれないですからね。

自分が言うんですよ。「僕はトラブル対応の時に、バグをフィックスしてお客さんにありがとうと言われてビールを飲んだ時が一番働きがいがあったな。こんな時ある?」と言うと、87パーセントの人が言ってくれる。

言ったじゃないですか。返報性の原理だから。感情共有だから。「お金のために働いている」、いいじゃないですか、お金のために働くって。それをサポートするとか実現するんじゃなくて、理解することが重要なんです。

会議を減らして「会話」を増やす

そして順番も重要であることがわかりました。起点は達成なんですよ。だって目標がないと達成できないでしょう? 目標がなく仕事をしているという人が……正直70パーセント以上。営業の方以外は、今日の目標はないんですよ。

じゃあ、何をやっていいかがわからない。達成しないと承認されないですよ。承認欲求が高い人たちは、達成していないのに「認めて!」「承認して!」という人たちですね。これでは残念ながらチームワークは取れないです。

ポイントなのは、自由の反対は責任。自由と責任は大きさが一緒ですからね。職務責任を基に行動目標を上司・部下で話し合うことです。そしてこの行動目標を達成したら、お互いにハイタッチ。達成したら認められます。共同目標だから、達成したら認められますよ。達成するんだから、認められる人には自由が来るんですよ。

というように、実は1対1の対話がチームマネジメントでものすごく重要であることがわかった。だから会議を少なくして、もうチャッチャと終えて、会話にしましょうよという。

おすすめは、会議室じゃないんですよ、自販機の前です。自販機の前でカジュアルに話すことなんですよ。「働きがいは何? じゃあ、ちょっと今年の半年間で何かやろうと思っていること(ある?)」「あぁ、ちょっと提案件数を増やそうと思います」「あぁ、いいね。じゃあ、僕はこういうのをやるよ」というのが共創なんですよ、共に創る。

これをやると働きがいが感じられやすい、達成がしやすい、満足度が得やすいというメカニズムが、8年半のAI解析でわかったんです。

世界一無駄な「メール見てますか?」という確認

でもこんなことをしようにも、「いやぁ、越川さん、1on1なんてする時間はないよ」と言われるので、どうやって時間を生み出すかですよね。

時間ダイエットしませんか? よかれと思ってやってしまったことをやめるんですよ。マイクロソフトを辞めたから、もうズバリ言います。派手なPowerPoint、9色のグラフは意味ないですから。手書きでいいですから。そういうことをよかれと思ってやっているんですよ。

どの企業にもあるんですけど、世界一無駄なメールって知っています? 「メール見ていますか?」というメールですよ。だからプレゼンスがある人はチャットにするんですよ。それはよかれと思ってやっているんだから。

メールしない、チャットしない。金曜午後3時にコーヒーを飲みながら「1週間何をやったかな?」と。Backlogとかを見ながら、ぼけーっと「何をやったかな?」と振り返ると無駄なものが見つかって、月曜日からやめられる。今やるべきは、やめることを決めることなんですよ。やめてみて、来週、成果に関係なかったら、信頼構築に関係なかったら、影響なかったら、やめ続ければいいんです。

実際に17万3,000人に体重計に乗ってもらいました。ほら、働く時間の39パーセントが社内会議。12パーセントが資料作成。8パーセントがメール処理。この中にぜい肉があるんです。それをやめていかないと。例えばPowerPointとか。

資料作成の「無駄な気遣い」をやめる

知っています? 日本で作られるPowerPointの23パーセントが、チームリーダー、上司、それからお客さんに対する過剰な気遣いでページが増えているんですよ。「作れ」と言われていないのに重要だろうと思って作っているんですよ。それを「忖度ページ」と言うんですけど、その忖度ページを追跡したところ、なんと8割、そのページを開いてもいないですからね。つまり無駄なんですよ。

ということをやめるためのアクションって何ですか? 心構えじゃないんですよ。アクションなんですよ。来週からやってください、「フィードフォワード」。

フィードバックは、忖度ページが入っているから手遅れなんですよ。進捗、20パーセント。つまりパワポ、Excel、Word、2枚作ったら「イメージ、合っていますか?」と提出先に聞いてください。「5枚でいいよ。ヤマダさんが作っているから要らないよ」と言われますから。

上司も指示がコロコロ変わるじゃないですか。そこでちゃんとコメントをもらっておくと、「言われたとおりに出しました!」となりますよね。言われたとおりにやっているんだから、無駄な資料はないですよね。そうすると差し戻しが減るんですよ。

「残業の原因」23パーセントは「差し戻しの修正」

みなさんの残業の23パーセントの原因は差し戻しの修正ですよ、夕方6時半ぐらいにやっているやつ。これを抑止するためには、共感・共創しなきゃいけないんですよ。プロトタイピングですよ。お客さんに対してもこれをやると、商談の成約率が22パーセント上がることがわかっています。こういうことを考えると、AIとかなんとか、うんぬんかんぬんの前の段階ですよね。僕は凝っちゃうから、この進捗20パーセントは手書きでもいいと思っています。

ということが、もしかしたらみなさんが来週からできるアクションなんじゃないかなと思うわけです。

例えばこのルールがわかったら、相手を動かすことができる、チームマネジメントできているチームが作っている資料は、1スライドの平均文字数は120文字ですよ。全国では385文字。ほら、感情共有できているから短い言葉で伝わっているじゃないですか。

作成時間も少ないですよ。PowerPointを作るのはAIを使っていますよ。僕も800個以上の機能を知っていますから、PowerPointを作るのは得意ですよ。でも作らないですよ。今やめることを決めていますから。

ということで、今回の資料も実はAIが作っています。ただ、マイクロソフトに気を使うと、「ChatGPT」で作ったとか、「(Microsoft )Copilot」で作ったと言いたいんですけど、ちょっとまだクオリティ的にね……。なので、いろいろなものを使っています。

「イルシル」を使ったり、「Claude」を使ったり、そういったAIを使って、いかに人間が作らないようにするかがポイントなのかなと思うわけです。写真を撮っている方がいっぱいいらっしゃいますが、それはAIが作ったやつですよ。

ということで、みなさんにお約束したことがあるんですけど、覚えている方はいます? 僕はもう秒単位でピッタリやめるという約束をしているんですよ。資料も出したし、本も出したし、秒単位で終えているし、僕は3つ約束を守ったので、ぜひみなさんも今日聴いて終わりではなくて、ぜひ行動してください。

ということで、私の講演は以上です。ありがとうございます。

(会場拍手)

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