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『次世代リーダー育成』緊急対策セミナー③~ 「管理職になりたくない」若手・ 中堅社員を“巻き込み型リーダー”へ ~(全3記事)

「管理職になりたくない」若手に悩む企業が見逃している「成長機会の提供」 プレイヤーからリーダーへの転換過程から考える育成のカギ [2/2]

若者の価値観を表したデータ

いくつか象徴的なデータをお見せします。1つ目に経済的安定と自由を重視する傾向。若者調査をずっとやっているわけなんですけども、30年前、1994年と2024年を比較すると、時間や自由が上位にきています。先行きが見えない社会の中で、自分の安定を最優先する傾向が強まってきているということが言えるのかなと思っています。

2つ目、タイムパフォーマンスを重視する傾向。(スライドを示して)これは内閣府の調査ですが、若い世代の価値観が、この調査の定義で言うところの草食系世代。1982年から1987年生まれの「失敗したくない」という価値観から、1988年から1994年生まれのゆとり世代は「無駄なことはしたくない」。1995年から2003年生まれのZ世代は、「失敗に備えてリスクヘッジ」と、どんどん自分の時間対効果を重視している傾向が強くなってるなと。

例えばそれは、意味のない会議や残業は拒否する、意味を感じられない業務に関しては積極的になれないというような自己合理的な行動様式ですね。これが仕事に現れてるということです。

3つ目に、みんなと同じ程度に働き、過度な負担は避ける。一方で、他者とは異なる自分自身として見られたい。こういう仕事観を見ますと、みんなと同じ程度に働き、過度な負担を避けたいと。(そのような傾向が)非常に強いんですよね。ただそれと同時に、私個人として見てもらいたい、承認されたいという存在意義を求める傾向も強い。

今の管理職世代や40代~50代ぐらいの方々の「組織への貢献があってこその存在意義でしょ。先にあなたが貢献を示すっていうことが重要なんじゃないの?」という価値観の方から見れば、極めて矛盾して見える価値観かもしれませんが、根底はやはり承認なんですね。自分のことをちゃんと見てほしい、自分を尊重してほしいといった思いがあります。

成長に向けた大きなきっかけを組織の中でつかめているか

このように、仕事観が個人主義的なものにどんどんシフトしている可能性は非常に高いと言えるんですけども、じゃあその考えを変えるような成長ステップを登る、成長に向けた大きなきっかけを組織の中でつかめてるかというと、そうでもないという現実もあるようです。

(スライドを示して)これは職場の従業員意識調査という内容で、エンゲージメントスコアの国際比較です。ご覧いただくとおわかりのとおり、日本は国際比較の中でも熱意ある社員の比率が最低レベルです。

しかも諸外国に比べて、ここ10年ぐらいで顕著にそれが開いてきているという内容です。実際、私どもが(実施した)ここ数年の中堅社員研修や中堅社員をメンバーに持つ管理職の研修で出てきた、ご受講された方々の本音をうかがっても、この調査が裏付けられてるなぁと感じます。

例えば中堅社員研修で出てきた、入社して7年目の中堅社員の方の本音。「7年間ずーっと1人で行うような仕事しかやってこなかったので、後輩もいないのに、リーダーとして期待されてると言われてもピンと来ませんよ」と。

他にはこんな話です。「そもそもこの部署の方針に私は納得できてないんです。現状の人員数やレベルでは到達不可能なことが書かれていて、本気でこれを目指そうと思ってないんじゃないか」と。こんな声ですね。

かたや管理職はというと、「本当は全体や先を見た仕事を任せたいんです。でも人手不足で残業もさせられない。そういう仕事を割り当てられてない」「本当は部署の方針、あるべき姿に向かって主体的に関与してほしい。でも、それを求めすぎることがハラスメントやメンタルダウンの引き金になるんじゃないかなって思って、躊躇してしまうんですよね」と。こんな声です。

リーダーになるというのは、小手先のテクニックではない

冒頭に優れたビジネスリーダーたちのエピソードのご紹介をさせていただいて、その話の中で「リーダーになる時はみんなのために率先して挑戦するっていう経験が重要」と申しましたが、今の組織の構造的に、中堅社員がこうしたきっかけをつかめていないんじゃないかという仮説が立てられます。

つまり、昔はある意味、無茶振りのタフアサインできっかけをつかめるということもあったんだと思います。ところが今はいろいろな制約条件がある中で、そういう場が作りづらいってことなのではないでしょうか。

そして、こういう文脈で話しますと、課題としてとにかく指摘されがちなのは、「だから組織全体が変わらなければいけない」「だから管理職こそが変わらなければいけない」。こういう内容です。

でも本当にそうかなぁと思うんですよね。きっかけとなる環境を組織として作ることは確かに大事です。何のためにやるかという意図を伝え、管理職のリーダーとしての成長、中堅社員の方々に伴走していくような関係の変化。これは必須だと私も思います。

しかし、そもそも全体で起こっている問題から目をそらさないで、みんなで目指したい目標のために、自分の領域をちょっと超えるようなことだとしても、勇気を出して関係者に働きかけて、みんなで解決していく。中心に立つ。それをやってでも、みんなと一緒になんとかいい方向に行きたい。そういう心の動きって、誰かに与えてもらってするものでしょうか?

私は違うと思います。周囲との関係性を振り返りながら、組織の現状の中で自分は本当はどうありたいのか。全体を見て、私がどう変われば、みんなにとって本当にいい結果が得られるのか。それは誰に言われるのでもなく、勇気を持って自分自身で決意し、その決意に基づいた行動の中でこそ、本質的な変化・成長につながるんじゃないでしょうか。リーダーになるというのは、小手先のテクニックではないんです。

内的プロセスに向き合う必要性

ここまで危機感につながるようなデータばっかりでしたが、こんなデータもあります。(スライドを示して)管理職になりたいか否かを横軸。今の仕事がおもしろいか否かを縦軸にとった、非管理職層を対象とした調査結果です。

この右半分、管理職になりたいというくくりでは2割しかいないんですが、今の仕事がおもしろいというくくりでは約半数なんですよね。おそらくこの層は、プレイヤーとしては充足してる。でも、特に左上の層なんかは、そこから先には行きたくない。こんな感じなんじゃないですかね。

私どもはこれまで非管理職層に研修を多く行ってきた経験から、こうした層の方々は、全体や先を見た仕事ぶりに、自分の考え方、行動をシフトさせて挑戦するというきっかけ、つまり、今の仕事ぶりを振り返って「本当にこれでいいのかな」と向き合う経験ができてない場合が多いと推測しています。

それが故に小粒化して、もともと持っていた個人主義的な仕事観から脱することができないどころか、ますます強まっている。

(そこから脱するためには)これまでの自分の仕事の仕方、考え方から勇気を持って一歩踏み出すということを、中堅社員自身の本心や本音という内的プロセスに向き合いながら進めることが必要なんじゃないかなと考えております。

以上が第1章、次世代リーダーとしてこれからも期待されている中堅層の実態、そして問題点ということで、整理をしてまいりました。

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