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逆パワハラを防ぐ!上司のための ”逆パワハラ対策” 徹底解説!(全2記事)

課長職の約4割が経験する「逆パワハラ」 職場に生む3つの悪影響

【3行要約】
・ハラスメント問題が深刻化する一方で、部下から上司への「逆パワハラ」も増加し、適切な指導を阻む要因になっています。
・エン転職や株式会社ジェイフィールの調査によると、課長職の約4割が逆パワハラを経験し、7割超の上司が指導を躊躇している実態が明らかに。
・組織は逆パワハラがメンタルヘルスや人材育成に与える悪影響を認識し、健全な職場環境づくりのための対策を講じるべきです。

ハラスメントを恐れて部下への指導を躊躇する上司は7割超

宮地尚貴氏:今日は「逆パワハラ」というテーマです。先ほどもお伝えしましたが、ハラスメントの問題はまだまだ弊社にも依頼が多く、全国的にも非常に増えていると感じています。

最近特に増えているのが、一般(メンバー)層向けのハラスメント研修のご依頼です。管理職には、例えば伝え方や指示の出し方、感情的にならないこと、ハラスメントの線引きを理解してほしいという意図があります。

一方で受け取り側が、なんでもかんでもハラスメントだと訴える状況もあり、上司が指導できない場面が生まれてしまう。そこで若年層や一般層に対しても、正しい理解を広げるための研修を行っていこうという動きが見られます。外部を使わず、社内で勉強会を開く企業もあります。

実際のデータでも「ハラスメントになるのが怖い」と感じている上司が非常に多いという結果が出ています。本来であれば厳しく指導するべき場面でも「言わない」「躊躇する」という方が、7〜8割程度に上るというものです。良い意味で言えば相手に気遣いができていると言えますが、悪く言えば、必要なことが言えていない状態とも言えます。

今日はそうした状況を防ぐための材料として、お話をさせていただければと思っています。本日は大きく3つのパートを予定しています。1つめは逆パワハラの実態です。管理職の方が実際に逆パワハラを経験しているのかどうか、データを見ながらお伝えできればと思っています。

2つめは、なぜ逆パワハラが起きるのかです。上司側と部下側、それぞれに要因があるのではないかと考えています。逆パワハラというと、一般的には部下側が上司に対して行うものと受け取られがちで、要因は部下側にあると見られています。しかし他方向にも要因がある可能性がありますので、多面的に見ながら分析していければと思っています。3つめは逆パワハラ対策です。明日から実践できる内容も含めてお伝えします。

6割超の会社員がハラスメントを経験、うち9割がパワハラという結果

では「増加する逆パワハラとその実態」、まず1つめのテーマに入ります。ハラスメントについて、直近のデータから振り返ります。エン転職が実施した調査では、全体の63パーセントが「ハラスメントを受けたことがある」と回答しています。

厚生労働省のデータを見ても、ハラスメントの相談件数はまだまだ増えている状況です。これが本当にハラスメントかどうかは定かではありませんが、「受けたことがある」と感じている方が多いのは事実で、半分以上にのぼるという結果です。

いったん逆パワハラの枠組みを外した、ハラスメント全体のデータとしてご紹介していますが、そのうち9割が「パワハラを受けている」と訴えています。職場でハラスメントを受けた経験がある方のほとんどがパワハラを経験していると感じているわけです。事実かどうかは別として、そう受け取られているという実態です。

決して他人事ではなく、非常に身近な問題であり、まだまだ気が抜けない状況であると感じています。

やはり伝え方ですね。言っている内容が真っ当でも、伝え方1つでハラスメントと受け取られてしまいます。厳密に言えば「ハラスメントではない」ケースもありますが、相手がそう受け取った瞬間に組織力が著しく低下することがあります。受け取られないように管理職は伝え方に気を配る必要がありますし、部下側もどこがハラスメントなのか、言われた意図は何なのかを理解する必要があると思っています。

課長職の約4割が「逆パワハラを経験した」と回答

では本題の逆パワハラの現実です。株式会社ジェイフィールさんが実施した調査によると、課長職の約4割、半分には届かない程度の方が「逆パワハラを経験したことがある」と回答しています。

だいたい5〜6人に1人の課長が「逆パワハラに遭っている」と内心で感じている、もしくは訴えているということです。

さらに注目いただきたいのが右側のデータです。こちらも逆パワハラに関する調査ですが、周囲の目から見ても約4割以上が「逆パワハラを見たことがある」と回答しています。「いや、それは部下側の〇〇さんが過剰ではないか」「それをハラスメントと言っていたら社会人としてやっていけない」と感じている方もいるということです。

半分に満たない割合ではありますが、多くの職場で今この瞬間にも起きている問題だと思っています。もしかしたら、みなさんの職場の中にも思い当たる場面があるのではないでしょうか。

ここからは念のため、逆パワハラではなく一般的なパワハラの定義についてもお伝えします。厚生労働省の基準では、パワハラは1・2・3のすべてを満たすものとされています。

1つめは優越的な関係を背景とした言動です。これは上司だけではなく、取引先や影響力のある人・集団も含まれます。実はこの1つめには逆パワハラに該当する言動も分類されます。「そんなに厳しく言うなら辞めますよ」というように、人手不足の状況で「辞める」と脅すような言動は、優越的な関係を背景としたものと捉えられることがあります。

2つめは業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動です。業務上必要な依頼や残業は認められていますが、目的を逸脱した叱責や長時間の説教などはNGです。人格否定や業務と関係のない部分に触れることも当然ながらパワハラに該当します。

3つめは労働者の就業環境が害される言動です。何もしていないのに精神的苦痛を与える、無視をするなどの行為によって、うつ病や躁うつ状態につながる危険があるとされています。基本的には、この3つを満たしたものがパワハラとされます。

逆パワハラにみられる主な事例

一方で逆パワハラとは何か。シンプルに言うと「部下から上司への嫌がらせや攻撃的な言動」です。パワハラの分類の1つとして存在しており、加害者と被害者の関係が逆転しているケースです。

従来は上司から部下へのハラスメントが問題視されていましたが、現在では部下から上司へのハラスメントも深刻な問題とされています。

逆パワハラの事例をいくつかご紹介します。

まず「注意・指導に対する過剰な反発」です。業務上必要な範囲であれば、上司は遅刻の常習や期限違反、就業規則の違反などを注意しないわけにはいきません。しかし、それに対して過剰に反発し「それはパワハラです」「訴えます」と反論を繰り返し、指示や指導を受け入れない行為は逆パワハラに該当します。

2つめはSNSでの誹謗中傷です。XやInstagram、Threadsなど、誰でも閲覧できるSNSで上司の悪口や個人情報、プライベートな内容を投稿・拡散する行為で、コンプライアンス違反にもつながります。

3つめは上司の配置転換や解雇の要求です。人事部門や経営層に対して「この上司とは働けません」と極めて感情的に主張し、異動や解雇を執拗に求めるケースです。

4つめは悪質な噂の流布です。事実と異なる情報や憶測を用いて上司の評判を落とすような噂を広める行為です。

最後に意図的なコミュニケーション拒否があります。必要な場面でも返事をしない、明らかに避けて報連相しないといった行為です。以上は一例ですが、一般的にはこうした行為が逆パワハラに該当するとされています。

逆パワハラが組織に与える3つの悪影響

逆パワハラが起こると、マネジメントラインが崩壊しやすくなります。主に3つ問題があると思っています。

1つめは上司のメンタルヘルスへの悪影響です。逆パワハラが続くと「管理職になりたくない」という声が増えている背景にも関係しているのではないかと感じています。メンバーの対応が非常に大変で、結果的に上司が休職や退職に至るケースもあります。プレイヤーとして優秀だからこそマネージャーになっている方が多い中で、大事な戦力を失うのは会社にとって大きな痛手です。

2つめは人材育成の停滞です。上司が指示や指導をするたびに過剰な反発が返ってくると「強く言うとハラスメントと言われるかもしれない」と感じ、適切な注意や指導ができなくなります。その結果、部下自身の成長機会が失われますし、上司の技術力や知識、経験が後輩に引き継がれないという問題も発生します。

3つめは組織の機能不全です。冒頭にもお伝えしたとおり、マネジメントラインが崩れると指示命令系統が機能しなくなり、統制が効かなくなります。チェック体制が甘くなる、情報共有が滞るなど、さまざまな悪影響が出てきます。こうした点が、逆パワハラの大きな問題として挙げられます。

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