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マネジメントの型とは?『急成長を導くマネージャーの型』著者とマネジメントを語る(全6記事)

フェーズが変わればマネジメントの“解”も変わる 4つの基準を「比重×点数」で見える化するセルフチェック [2/2]

フェーズの違いを無視すると「自分の哲学」が暴走する

これはよくあるのですが、このラインごとに、「執行」「活用」「伸張」「連携」のウェイトが異なるということを自認していないと、自分自身のマネジメントのスタイルと勘違いするんですね。

例えば、過去の自分は、「立ち上げ」フェーズで「執行」に注力していました。ただ、「立ち上げ」や「執行」といったフェーズの意識がないままだと、こうした経験が無意識の固定観念になります。「立ち上げ期は自分がハンズオンで動きまくって成功した」。この成功体験だけが強く残ると、文脈を無視して「マネージャーはいつでも自分の手を動かすべきだ」という誤った学びだけを自分にインプットしてしまいます。

この自分の中の哲学がインプットされた状態で転職をしました。転職先は「急拡大」フェーズでしたとなった瞬間に、自分の哲学が通用しなくなるんですね。昔「立ち上げ」で自分がハンズオンして大成功したのに、このフェーズで自分がハンズオンしちゃったら大失敗しちゃったという感じですね。

例えばこういう例もあります。自分はメガベンチャーで「急拡大」フェーズにいたので、常に「活用」「伸張」「連携」に追われていましたというマネージャーさんが、そろそろ自分もチャレンジがしたいと思ってスタートアップに行くわけです。

スタートアップに行くと、もう「立ち上げ」「執行」1択です。スタートアップに行ったのに「『活用』や『伸張』していないと駄目ですよ」と社長に進言しても、社長からすると、「どのフェーズの話をしていますか?」となっちゃいます。

というように、この縦軸の状況、横軸の基準ですね。このマトリックスで自分のウェイトや力の入れどころが変わると自認していないと、なぜか、自分の哲学みたいなものと勘違いしちゃう。これはとても危険ですので、気をつけなきゃいけません。

「比重×点数」でマネジメントを自己採点するワーク

そんなふうにウェイトを考えていただいたら、今みなさんの状況において、マネジメントがどれぐらいできているかを採点することができます。

オンラインの方はチャットで見ていただければと思います。シートには「比重」と書いてありますね。その比重のところに何パーセント、何パーセント、何パーセント、何パーセントとみなさんの比重を書いていただいてもよろしいですか? 

比重が書けましたか? 次ですね、右の列です。評価をちょっとやっていきたいと思います。

「執行」「活用」「伸張」「連携」それぞれどれぐらいできているかという採点基準があります。みなさんのワークシートの下の部分にも書いてあるんですが、一つひとつ読み上げますので、点数を入れていただけますか?

じゃあ、やっていきたいと思います。「執行」の採点基準を申し上げますね。C、25点。日々の業務指示を行い、チームの成果に向けた活動を推進することができる。ここまでできたらC、25点ですね。

B、50点。これは、有意義な目標設定ができ、それをチームに示しチームを動かすことができる。ここまでできたらB、50点です。

A、75点は、有意義な目標設定に加え、その達成方法のプランニングができ、それをチームに示しチームを動かすことができる。ここまでできたらA、75点ですね。

S、100点は、チームの有意義な目標設定・達成方法のプランニングができ、実行しながらどんどんその質を高め、チームの行動の質を進化させることができる。ここまでできたらS、100点ですね。

Cに満たない場合は0点と書いてみてください。0点、25点、50点、75点、100点の中でぴんと来た数字を入れてみてください。みなさん、できましたか? こんな感じでどんどんいきますね。

「活用・伸張・連携」の採点基準

じゃあ、次は、「活用」です。「活用」は、C、25点。これはメンバー一人ひとりのリソース・意欲・能力を正確に把握することができる。ここまでできたら25点です。

B、50点は、メンバー一人ひとりのリソース・意欲・能力を正確に把握することができ、一部のメンバーについてそれを活かすことができる。ここまでできたらB、50点です。

A、75点は、メンバー一人ひとりのリソース・意欲・能力を正確に把握した上で、それをすべて活かすことができる。ここまでできたらA、75点です。

S、100点は、メンバー一人ひとりのリソース・意欲・能力と、チームの執行プランを融合させ、高次に運用することができる。ここまでできたら100点ですね。ぴんと来た点数を入れてみてください。

では、次に「伸張」です。「伸張」は、C、25点。メンバーに成長実感を感じさせる業務を行わせることができる。ここまでできたらC、25点ですね。

B、50点は、採用・育成について、必要な業務を理解し一通り実行することができる。ここまでできたらB、50点です。

A、75点は、組織図の将来像を描き、必要な採用・育成業務を実行することができる。ここまでできたらA、75点ですね。

S、100点は、解像度の高い組織図の将来像を描き、そこから逆算した採用・育成について多くの引き出しを持って個別に最良の打ち手を打つことができる。ここまでできたらS、100点になります。

じゃあ、最後は、「連携」です。C、25点。これは、他部署・上司が自部署の状況を把握できる状態にできる。ここまでできたらC、25点ですね。

B、50点は、他部署・上司から求められた連携業務についてこなすことができる。ここまでできたらB、50点です。

A、75点は、他部署・上司との連携として何が必要なのかを自分で考え、プランし実行することができる。ここまでできたらA、75点ですね。

S、100点は、他部署・上司との連携として何が必要なのかをプランニングでき、実行しながら最適な方法に進化させていくことができる。ここまでできたらS、100点です。

ここまで点数を入れたら、比重と評価を掛け算して、右の採点を入れてみてください。

スコアは「能力」ではなく「今やるべきこと」の指標

これはみなさんのマネジメントの能力を示すスコアではありません。「今のみなさんの担当している部署、担当している状況においてやるべきマネジメントがどこまでできていますか?」という問いに近いと思います。

みなさん、一人ひとり担当されている部署も業種も人数も難易度もぜんぜん違いますので、正直点数を比べることには何の意味もないと思います。みなさん自身が今自分は何に注力すべきなのかとか、どこが課題なのかというのを発見するための採点ですので、お互いの点数を見せ合う必要もありませんし、見せ合っても意味はあまりないと思います。

「この状況においては、今ここが大事だよな」とか、「ここはできているな」「ここができていないな」というのを認識しながら、みなさんの課題をあぶり出すための採点になるので、その点だけご留意ください。

冒頭で、「理想→現状→要因→対策」という通常業務のサイクルを、マネジメントにも適用しましょうとお伝えしました。マネジメントでは、この理想状態こそが、基準となる型になります。

私たちが、もしみなさんの横に付いてマネジメントをサポートするとしたら、みなさんに「マネジメントの課題は何ですか?」という聞き出しからはしません。それは「何の基準もない中で、なぜそれが課題だとわかりますか?」ということになるからです。

なので、みなさんから課題を言われても、それが本当に課題なのかというのを、問い直すところから私たちはスタートしています。私たちが、マネジメントのこの基準の型を活かしてコーチングするのであれば、こういう問いになります。これはみなさんご自身でも使えますので、ぜひ、持って帰っていただきたいと思います。

2週間に1回の「比重×点数」でアップデートする

最初に、「比重と点数を掛け合わせると、自己採点はどうでしたか?」と聞きます。 「毎回そんなのやるの?」って思うかもしれませんが、時間を計ってみたところ、比重を決めるのに1分、採点つけるのに3分。合計4分で終わります。4分でできるなら、やったほうがいいですよね。

そして、2週間に1回やるのがおすすめです。実際、私たちもユーザーさんに2週間おきでやってもらってますが、2週間経つと比重も評価もガラッと変わるのが普通です。変わらない人もたまにいますが、だいたい変わります。

つまり、2週間ごとに「今何が大事か」が更新されるということなんですよ。だから面談の冒頭は必ず、「比重×点数の自己採点は、どうでしたか?」と聞くようにしています。

「執行→活用→伸張→連携」を自問自答する問い

その次に、聞くこと。ここからは一つひとついきましょう。「『執行』について、何を解決したいですか? 解決したい状態を教えてください。どうして、その状態になっているんでしょうか?」「それを解決するために、どんなアクションをやりますか?」「それでは『活用』についてうかがいます。『活用』で解決したい状態は何ですか?」という感じで、ずっと繰り返していきます。

これが、私たちがマネジメントのパートナーとして投げる問いです。みなさんも、ぜひ自問自答してみてください。「比重×点数の自己採点はどうでしたか? こういう結果でしたね。じゃあ、『執行』では何を解決したいですか?」

こんなふうに自問自答していくと、理想と現状のギャップ、その要因、そして対策まで、ちゃんとセットで出せるようになります。これはマネジメントの仕事を進める上での基本の問いとして、手元に置いておいてください。



ということで、今日は、この基準の型を最初にお話しさせていただきましたが、この学びも含めて、これから、たくさん対話をしていきたいと思います。みなさんどうもありがとうございます。

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