「管理職になりたくない」8割の時代と日本特有の課題
では続いてDですね、4つ目のポイント。「意欲が低い」。マネージャーになりたがらないという課題に対してです。(スライドを示して)やはり、ここに書いてあるとおり「管理職になりたくない」という方そのものが増えているかなと思っています。私も2024年のニュースで見ました。
「責任が大きくなるので嫌だな」とか「そこまで給料が上がらなくてもいいので、定時に帰りたい」とか。いろんな理由があるかなと思っています。実際にデータを取ってみると「なりたくない」ないしは「どちらかといえば、なりたくない」という方が、全体の約8割ぐらいを占めています。


ということで、非常に多くの方が今「管理職になりたがらない」。実は、同じようなアンケートを、世界で取っているデータがあったので、これもお伝えできればなと思います。18ヶ国で(データを)取っているのですが、結論、日本は管理職になりたがらないランキング最下位です。
17位のオーストラリアが38(パーセント)、日本が19.8(パーセント)ということで、半分ぐらい下がっちゃっています。他の国と比べてもけっこう下がっている状況です。まぁ実態としてそういうのが本当に、今の世の中的には浸透しちゃっているんだろうなという感じですね。
意欲を高める鍵は仕事やパーパスへの共感にある
じゃあこれって、どうすれば解決できるのか。結論、管理職になりたくない理由って、もちろん表面としては、出世意欲みたいな話だったりとか、「責任をそんなに伴いたくない」とか言われるのですが、結局、最終的には自社の考え方や今の仕事に共感していないところが大きいわけです。
例えば、今ここに載っているものに、「自分が共感していない仕事において」という枕詞を付けると、すべての理由が理解できます。「自分が共感していない仕事においては、出世意欲がない」とか「自分が共感していない仕事においては、責任が伴うから嫌だ」という感じです。

一方で「自分が共感している仕事において出世意欲がない」というのは、日本語としてちょっとおかしいと思います。つまり、ちゃんと「この仕事がやりたくて仕方がない」とか「考え方に非常に共感しているから、もっとやりたい」という状態になっていれば、「もっとやりたい」と、上位レイヤーを目指していくのが、自然に生まれてくるんですね。なので、こうなる(管理職になりたがらない)理由は、果たして「出世意欲がないからだろうか」というところがあります。
根本的には、そもそもその会社の考え方・価値観に心から共感できていない。ないし、(共感)させられるコミュニケーションが取れていないというところが非常に大きいんじゃないかなと思っています。
当たり前ですが、上位の職に就いていけばいくほど、事業への影響度などが大きいので、共感していればしているほど、やっていくことに対して、すごく納得感が持てるんじゃないかなと思います。

じゃあ、解決策としてどうしていけばいいのか。やはり日頃から、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)と呼ばれるものや、パーパスをしっかりと認識をさせる、意識をさせるということですね。

まずそもそも「何のために私たちの会社が存在しているのか?」とか「じゃあ、その会社の存在意義を成すために、なぜこの仕事があるのか?」といったところの意義をしっかりと伝えていく。
そこに納得していけばいくほど、「成長させたい」「大きくしていきたい」という思いが生まれてきます。そうすると、「マネジメントをやってみたいな」という意欲が高まり、意欲の高いマネージャーが生まれ、そしてまた、その方々が(部下に)意義を伝えていくといったことが生まれるのかなと思っています。
実は弊社でも、2023年の1月ぐらいにパーパスを変えました。その時は、社長自らが各マネジメントレイヤーとのミーティングの場を設ける中で「どういった意図で作っていったのか」などを共有しました。やはりそういったことをやりながら、浸透させていくのが非常に重要なポイントかなと思っています。
マネージャーの本当の役割は「従業員エンゲージメントを高めること」
そして最後にEですね。5つ目の「マネージャーの役割を正しく認識していない」というところです。これは、実際の現場のマネージャーの方もそうですし、人事部の方や、その研修を司るような方もそうなのですが、「本来の役割って何なのか?」みたいなところが、なかなかうまく理解できていない。

そもそも、マネージャーの役割として「何が重要か?」というと、私たちは「従業員のエンゲージメントが高められるか?」だと思っています。これはなぜかというと、そもそもEE(従業員エンゲージメント)が高まっていれば、お客さまに対しても一生懸命やっていくので、顧客のエンゲージメントも高まり、お客さまの満足度も高まります。

従業員満足度が高いので、もちろん心身の健康やモチベーションも高いですし、生産性も上がっていきます。そうすると企業の業績も上がっていきますし、企業イメージもより良くなっていきますし、従業員も定着していきます。

マネージャーの仕事は、よく「結果を出すこと」とか「ちゃんと目標達成すること」と言われます。もちろんそれも大事ですが、そもそものエンゲージメントを高めるということができれば、数字はついてくると思います。「ここを最初にやっていきましょう」というのが、大前提の考え方です。
とある調査から持ってきたのですが、従業員エンゲージメントを上げていくという点では、7割が「マネージャーの要因」と言われています。やはり社長や取締役だけでやっていくのではなく、現場の方と一番距離が近いマネージャーが、いかに先手に意義を伝えて、働くモチベーションを上げるか、が大事です。マネージャーがやることで満足度が高まり、どんどん結果を出す中で、現場の人もまた「今度マネージャーになりたいな」という、好循環を生み出していけるというところが、とても重要なポイントになるかなと思っています。

結果、定着率みたいなところにも関わってきますが、やはり、退職にも大きな影響を与えています。会社の上司や先輩の発言を踏まえて、「この会社はちょっと違うかな?」とか「自分には合わないかな?」と思ってしまう方が多いというところですね。なので、非常に影響度の大きい役割であるということをご理解いただいたほうがいいんじゃないかなと思います。
マインドと両輪で育成する
じゃあ、そこに対してどうすればいいのか。先ほどもお伝えしたとおり、単純にスキル研修だけをやっている状況になってしまうと、おそらくこの状況からは脱却できないんじゃないかなと思っています。
マネジメントって、先ほど言ったとおり、数字を出すことや目標達成をすることももちろん大事なんですが、「何をやらないといけない人なのか?」というと、しっかり働く仲間たちのエンゲージメントを高めていくことです。なぜなら、その先に、必ず業績や定着率が、好循環で付いてくるからです。
「これが重要である」みたいな話を、いかにできるかが重要ですね。それを高めていくためにどうすればいいのかというところで、スキルと両輪を回していきます。(スライドを示して)ただ、現実はこの左側のスキル研修みたいな、スキルめいた話が多すぎて、そもそもマネージャー自身のモチベーションも追いついておらず、スキルアップの研修をやってもなかなか入っていかない。
もちろん、入っていかないということは、効果も出ません。なので、スキルだけの研修で終わらせないということが、非常に重要なポイントになるんじゃないかなと思っています。