PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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大畑愼護氏(以下、大畑):次のテーマにいきたいと思うんですが、Q&Aに来ている質問を高橋さんに1つだけ答えていただければと思います。先ほど「メンバーにどんどん任せていく」という話があったと思いますが、その中で「渡せる仕事」と「自分だけがやる仕事」の線引きをどのようにしていますか? というご質問です。こちらについて回答をお願いできますでしょうか。
高橋祥子氏(以下、高橋):私が「もう(メンバーに仕事を)任せよう」というふうに完全に舵を切ったのは出産がきっかけでした。出産って何があるかわからないので。
出産前までは「ちょっとこの人には難しいかな?」と思っていた、私が抱えているいろんな業務を思いきって全部任せてみたら、「私にしかできない」みたいなことは完全な幻想だったなということがわかって(笑)。
大畑:幻想(笑)。
高橋:その中でも、任せ方はポイントがあるかなと思っていまして。私の場合はですが、(任せる業務は)完成度が自分の期待の8割でもOKと思えることです。
例えば、資料作りが8割でもそこからブラッシュアップしていけばいいとか、そういうことは思いきって任せる。そこからどう育てるかという視点で結果も受け止めて、一緒に話してブラッシュアップしていく。失敗しても責めないとか、どうしたらより良くなるかを一緒に話し合っていますね。
例えば一世一代のプレゼンでも、絶対に失敗できないようなことは自分でやるか、任せるとしたら事前に一緒に「どうしたら100パーセントになるか?」というものを作っていく。そういうふうに、思いきって任せちゃうことと、すごく準備して任せることを自分の中では線引きしていますね。
大畑:なるほど、ありがとうございます。「それぞれの優先度にもよるよ」というところと、あとは「基本は幻想だから、まずは任せられるところは任せる」ということですね。
高橋:幻想ですね。
大畑:基本は幻想(笑)。わかりました。
留目広志氏(以下、留目):私が権限委譲を考える時の話なんですが、「業務」と「権限」と「責任」があると思っていて、業務だけを委譲するとぜんぜんうまくできないんですよ。権限がないから、全部を確認することになって結局は委譲できない。業務の権限がちゃんと付いたから進めることができる。でも、基本的に責任は別にそこまで渡さなくてもいいと思っています。
なぜなら、責任を取るのはリーダーやマネージャーとか、もしくは社長の役割でいいと思うからです。「あなたには権限と業務を渡すからがんばってね。ただ、責任は私が負うから心配しないで」というコミュニケーションが大事だと何かで見てから、ずっとそうしています。
大畑:ありがとうございます。お二方から(回答を)いただけて良かったです。
大畑:あっという間にもう終わりの時間が近づいてきたので、最後に行きたいと思います。この日本社会全体について、いろいろな日本人の方が働き方を考える機会があったと思うんです。今の日本社会や国に求めることであったり、どう見えているのか、どうしていきたいかを教えていただきたいなと思っています。
流れ的にはこのパートのあとにお二方から参加者へのメッセージという順番ではあったんですが、このパートを濃くしたいので、ここでお二方からのメッセージも乗せていただければありがたいなと思っております。
どちらからでもけっこうなんですが、日本社会や国に求めること、今どう見えているかをお聞かせいただきたいんですけれども、いかがでしょうか? じゃあ、高橋さんから。
高橋:はい。私はいろんな政府の委員会もやっていて、常々差し込んでいる話なんですけれども、自分が育児当事者になって思うのは、今は共働きがほとんどの家庭の中で長時間労働を前提とすると、そこに入れない人たちがすごくいっぱい出てくるんですよね。それは育児だけじゃなくて介護とかもそうですし、いろんなライフイベントが必ずあるので。
そうした時にみんなが長時間働いていたり、働けない人が不利になる社会だと、そこに入れないんですよ。ただ、ちゃんと短時間で成果が出るような社会にすれば、参画できる人が何百人も何百万人も増えるわけなので、そうした社会転換は必ず必要です。
だから、今の一部のスタートアップの男性経営者が提言しているような「残業の規制を緩和せよ」みたいなのは、もうとんでもない話です(笑)。それは格差を助長して日本社会を悪くするほうに行くので、(本当に必要なことは)逆なんですよ。
残業の割増率を上げて、ちゃんと短時間で成果を出せるようにする。これはスタートアップもそうですが、そこに参画できる人を雇うという流れのほうに行かないと、もう日本は終わりますね。そう思っているので提言をしています。
高橋:それでみなさんに伝えたいところで言うと、長時間労働を自慢する人っていうのは、もう本当にダサくなってきているなと思っています(笑)。
冒頭でもちょっとお話しましたが、昔は長時間取り組めば取り組むほど成果が出るような、ものづくり中心の労働集約型の社会構造、経済構造だったんです。なので、長時間労働が良しとされた時代だったと思うんですが、今はそうじゃないので。
時間じゃなくて、アウトプットやアイデアが価値を生む現代になったのに、「これだけ寝てないんです」とか「これだけ働いているんです」というのは本当にダサいと思っています。やっぱりみなさんで昔の価値観をアップデートして、新しい社会を作っていきたいなと思っています。
大畑:ありがとうございます。高橋さんは、子連れで官邸の会議に出席した初めての方だとうかがっております。背中を見せるというのは古い表現かもしれないですけれども、それもきっと社会を変える覚悟なんじゃないかなと思いながら、今のメッセージを聞いておりました。では、お待たせいたしました。留目さん、お願いします。
留目:はい。私も小室さんや高橋さんがおっしゃっていることに、もう本当に120パーセントアグリーです。変な話、私は17時から(子どもの)お迎えに行っているわけじゃないですか。なので、時間をギュッとして働くということもがんばって心掛けています。
でも、そんな私ですら「留目さんはやはり体力が……」とか「いやー、いつも仕事のことを考えて働いてますよね。そうはなれないです」とか、すごく言われるわけですよ。
だから組織の中で目立つ立ち位置にいる人だったり、仕事である程度成果を出していそうな人が、どういう姿や佇まいでどういう行動をするかって、本当に周りには思ってもいないかたちで影響するわけですよね。
そうした中で「誰かだけ特別に長時間働いていいよ」みたいな人を置いておくと、絶対にみんなが「とはいえ、長時間労働が賞賛されたり求められるんでしょ?」ってなるんですよ。これは組織力学的に絶対にそうなるんです。
留目:そうなった時にやっぱり大事なのは、「全員が同じように一律で短い時間で働く」というところをちゃんと社会としてデザインすることが必要です。それこそ今はAIもあるし、昔よりは1on1とかも出てきてやりやすい環境になってきたから、「みんなでがんばろうぜ!」って、がんばる方向性を短時間でグッとやる方向性にする。
そういうふうに、社会的なムーブメントにしないと絶対にうまくいかないので。こういったセミナーにご参加されている方々は、そこへの共感の強い方も多いと思います。なので、私たちみんなでちゃんと社会の一般的な当たり前の声として、ムーブメントにしていきたいなとすごく思います。
そもそも日本がここから成長していくためには、やっぱりイノベーションも必要です。先ほど高橋さんのお話にもちょっとありましたが、「多様な人がいないとイノベーションは起きないよね」ということに対して、経営学の観点で「NO」って言う人は誰もいないです。これは絶対のルールなので、その絶対のルールが「長時間労働」だと、今の日本社会においては残念ながら成立しないです。
日本がこれからさらに成長していくためにも(短時間で成果を出すことは)絶対に必要です。個人の幸せや働き方という観点でもそうだし、日本をこれからどうにかするというマクロの観点でも、どう考えても絶対に短時間でやることが必要だと思うので、それを我々はちゃんと理解してムーブメントにしたい。そういうことを一緒にしたいなと思っています。
大畑:ありがとうございます。長時間労働の誤解を解くことと、そして金輪際、長時間労働への憧れを断ち切り、短く・濃く働く社会を作る起点を作っていくということですね。本当にありがとうございました。
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