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パネルディスカッション(全5記事)

毎日の業務を1時間→3分まで短縮したAIの活用法 日常にAIを取り入れた組織デザインのヒント

【3行要約】
・1on1の運用に苦戦する組織が多い中、定着させるには相手起点の会話と「誰が1on1をするか」の設計がポイントです。
・毎日の業務を1時間→2〜3分まで短縮させた事例をもとに、組織でAI活用を定着させるためのポイントを留目広志氏が解説。
・AI活用を進めるには、まずはチームのリーダーが積極的に使うことが重要だと語ります。

前回の記事はこちら

うまく定着しない1on1、実施する上でのコツは?

大畑愼護氏(以下、大畑):1on1の文化のところを少し深掘りしたいなと思います。多くの組織では1on1を導入したのが3〜4年前ですが、今はなかなか1on1がうまく定着していないといいます。

上司もそのスキルをうまく身につけられなくて、「1on1が嫌い」みたいな組織が出来上がっちゃっているということも、現場を見ているとけっこうあるんです。高橋さんの組織の中で、「うまくいく1on1のポイントはここだよ」みたいなことがあったらぜひ教えていただけないでしょうか。

高橋祥子氏(以下、高橋):何ですかね。基本的に1ヶ月に1回やることが多いんですが、週1でやるメンバーもいるのでメンバーによって(頻度は)それぞれなんです。「前回からの期間で、何を目的にして、どうだったか?」「じゃあ、次の期間はどういう時間にしたいか?」みたいな振り返りをして聞いていくと、いろいろと出てきます。

基本的には1on1のメンバーの味方になるというか、そのメンバーの人生はどうやったらうまくいくのか? みたいなことを考えながら話しています。

大畑:なるほど。留目さんと共通しているのは、相手起点で会話が始まっていること。

高橋:それはもう前提、当然ですね。

大畑:その前提がない状態でスタートするとだいたいうまくいかないっていうのが、きっと他の多くの組織で起きていることなんでしょうかね。

高橋:はい。

上長に話しづらいことは“斜めの関係の人”に相談

留目広志氏(以下、留目):組織の人数にもよりますけれども、上長と部下の1on1はそれはそれでやるんですが、斜めのセクションの人と1on1をするとか、「誰が1on1をするか」の設計もいろいろとおもしろいアイデアが出てくるのかなと思っています。

「同じ目標やレポートラインを持っている直接の上長とは話しにくいんだが、思っていることがいろいろある」というのは、よくあると思うんですよね。その場合って、同じ目標を持っていない人だからこそカジュアルに話せるみたいなことがあると思います。

なので、組織として情報の回路をどう回していくのかという設計の話だと思います。「誰が1on1をやるか」とかも気にしたほうが、組織デザイン的にはいいのかなと思うことはけっこうあります。

大畑:ありがとうございます。すごく参考になりました。確かに私も管理職研修とかで管理職にサポートをしていくと、「仕事を抱えてどうにもならない。自分では変えられない」みたいな方がいたりするんです。

そういう方が同じレイヤーの別の管理職の方と2人で話をすると、「不安が和らいだ」「他の人も同じように考えていたんだ」「話したら、まだ変えられる余地がありそうだと思った」ということはけっこう多いなと思いました。縦のつながりだけではないということですよね。それに気づくと、組織のブレイクスルーポイントがありそうだなと思いました。

アウトプットの速度を上げる効果的なAIの使い方

大畑:どんどん聞きたいことが増えるんですが、ちょっとだけずらしのテーマで、もう最近はAI活用がすごく広まっていると思います。「組織の中で成果を出す」というところでも、AIはきっと不可欠になってくるんじゃないかなと思っていますが、お二方はAIをどういうふうに活用しているのか。

個人の活用方法でもいいですし、組織としてこういうふうに取り入れているよということがあったら、お1つずつ紹介していただいてもよろしいですか? 留目さん、高橋さんという順番でいきましょう。

留目:はい。まず、AIは本当にめちゃくちゃ使ったほうがいいし、組織の枠組みにおいてリーダーシップを取っている人が率先して一番使うべきだと思っています。

要は、組織に定着させるんだったら、まずはリーダー自身が実践しないと周りも進まないよねという話です。自分が一番解像度が高くなって、詳しくなって、何がいいのかを語る必要があると思っています。

そんな中で私はどう使っているの? というところで言うと、今のところAIによって自分の中で一番大きく変わった部分って音声入力なんですよ。

大畑:音声入力。

留目:はい。これは何かというと、音声入力自体は昔からというか数年前からありました。一方で数年前は音声で入力したとてけっこう誤字があって、それを自分で直さなきゃいけなかったわけじゃないですか。

でもAIの出現以後って、音声入力で読み取った音声がいったん間違っていたとしても、勝手にAIが文脈を拾って正しいように直してくれるので、いろんな入力を音声入力でできるようになっちゃったと思うんですよ。これは私の仕事の中でかなり革新的でした。

つまりは、自分でカタカタ打つスピードをどれだけ上げても、正直脳内で発しているスピードのほうが速いんですよ。これはたぶん人間はみんなそうなんですが、その速度で外にアウトプットできるようになった。これで、自分の中にあるもののアウトプットの速度が圧倒的に上がった感覚があります。

組織でAIを活用するための“2つのポイント”

留目:あとは、場所を選ばなくなりました。つまり、パソコンの前でカタカタ、ないしはスマホでポチポチ以外でも、普通に歩いている時とか、なんなら別にスポーツをしていても耳さえつないでAIに話しかけておけば入力できちゃうわけじゃないですか。

大畑:なるほど。

留目:そういった意味で、自分の中にあるものをアウトプットするところで(AIを活用するのは)すごくいいなと思っています。特にアイデアをかたち作っていくような仕事においては、それこそ誰かに会いに行く道中のタクシーや電車等々でも、ずっと音声でしゃべっていればひたすら高まっていくので、すごくいいなと思っています。みなさんが音声入力をしていなかったら、カジュアルなところではめちゃくちゃ使ってほしいですね。

大畑:ありがとうございます。

留目:そういうものを組織にどう定着させるのかというと、まずは率先してリーダーが使った上で、今みたいな話を熱量高くするわけですよね。

加えて、例えばうちの会社だとAIの活用方法をみんなで挙げたり、AIのニュースをみんなで上げるSlackのチャンネルを作っていて。そこでたくさん投稿した人とか、もしくはその中でいい使い方をしている人を月次で表彰したりしています。

はたまたいろんな仕事を依頼する時に、「AIのテンプレートを作ったので、これでやってください」というふうにするとか。そういうかたちで、AIが日々ちゃんといろんなかたちで目に入る、触れる、使う状態を組織としてデザインをしています。やっぱり、そうすることでみんなが使いだすので。

(AIを活用するポイントは)自分が使うことと、組織内でみんなが頻度高く使える状態にすること。かつレコグニション、賞賛までされていくところは設計したほうがいいんじゃないかなと思いますし、これは必須かなと思います。ごめんなさい、AIのことになるとめちゃくちゃ話すことがあるんですが(笑)。

大畑:(笑)。今の話でイベントができちゃいますね。

留目:はい(笑)。

毎日の業務が1時間→2〜3分まで短縮

留目:例えばすごくカジュアルな方法だと、うちの会社は日報を全員が書くようにしたんですよ。日報ってすごくトラディショナルな管理手法だし、コミュニケーション手法じゃないですか。でもAIの登場以前、日報を書くのってそれなりに負荷がかかったんですよ。

特に「自分の出すものにはこだわりを持ちたい」みたいな人からすると、毎日の日報で30分、なんなら1時間かかるみたいなこともあって、それ自体がワークライフバランスを崩しちゃうといった状況になりかねないんです。

ただ、今であればリーダーがAIにテンプレートをちゃんと作って、「これに対して今日あったことをバーッと音声で2〜3分話して、出てきたものをそのまま貼ってね。これが日報だよ」というふうにしちゃえば、日報として成立するわけですよね。

これをするだけで、「誰がどんなことを考えているか?」「何をしているか?」ということがみんながわかる状態を作れるので、めちゃくちゃ負荷を下げて日報ができるようになったんですよね。

大畑:なるほど。

留目:AIを使っていると、こういうことは組織の中にたくさんあるので、まずはリーダーがいろいろ考えるのが大事だと思います。

大畑:確かにそれだけで20分の1の時間でできることもありますし、聞いていると未来を見ているような感じですが、実は誰でもできるという一歩目が踏み出しやすい工夫ですよね。ありがとうございました。

AIの新しい活用法はチーム内で積極的にシェア

大畑:高橋さんからも一言いただいていいですか?

高橋:そうですね。リーダーが一番(AIを)使うとか、使い方をチーム内で共有して使うことを促進するとかは、今の留目さんの話とほぼ一緒だなと思って聞いてました。

特に私の領域で言うと、研究に関してはどんどん使い方が増えていっています。少し前だと、最新の論文情報とかを調べるとフェイクが多かったんです。ただ、フェイクをなくしていく方法とか、論文もAIでパッと書けちゃうことはけっこうあるので、そういう新しい使い方はどんどんチーム内でシェアしていってますね。

大畑:ありがとうございます。

高橋:AIのなかった時代は何だったのか思い出せないぐらい(笑)。

大畑:(笑)。それぐらい毎日使うことで浸透するし、生産性も上がるということですね。ありがとうございます。

人間がAIに勝てるジャンルは「ほぼなくなる」

留目:あとごめんなさい、もう1個だけ。

大畑:はい。ぜひお話ください。

留目:捉え方の話なんですが、これはすごく感覚的で情緒的な話をします。よく「人間の強みとAIの強み」みたいな話が出ることが多いと思うんですね。

大畑:ありますね。

留目:「AIの強みはこれで、人間の強みは共感や信頼を積むこと」とか。だから、人間ができることにフォーカスしようというふうにされがちだと思うんですが、私はそれはちょっと違うと思っていて。正直、AIに勝てるジャンルはほぼなくなると思っているんですよね。

だって共感と言っても、例えばチームメンバーに対して何かをお願いする文章を自分が作るより、おそらくですがAIのほうが圧倒的に共感力が高い文章を作ると思います。

よく言われる「信頼」なんてものも、例えば今はみなさんがメールとメールでコミュニケーションを取っているかたちですが、ゆくゆくは自分のAIと他人のAIがコミュニケーションを取り始めたら、自分のAIに信頼が溜まるかもしれないじゃないですか。なので、もう何が起こるかわからなくて。

1つ間違いなく言えることは、(AIは)めちゃくちゃ有用なツールだということです。AIと自分を比較して「自分にできることって何だろう?」となったり、対立構造においてちょっと怖いものみたいに扱うんじゃなくて、人間とAIは融合していく。

ありとあらゆる自分のやりたいことやスキルをAIが伸ばしてくれるみたいな感覚で、情緒的には捉えていたほうが絶対にいいので、「AIとどんどん融合して1つになろう」という感覚でいたいなと私はすごく思っています。

大畑:なるほど。携帯電話やスマホみたいなことかもしれないですね。昔はなかったですが、今はもう肌身離さずといったレベルで、なければいけないものみたいになる感じでしょうかね。ありがとうございます。

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