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パネルディスカッション(全5記事)

上司から“昔はもっと働けた”と言われた時の対処法 長時間労働ではなく「持続可能なハードワーク」が大事な理由 [1/2]

【3行要約】
・ワークライフバランス重視の時代でも「長時間労働が成長につながる」という考えが根強く残り、若手社員の葛藤を生んでいます。
・留目広志氏は、長時間労働より内省や心理的安全性が成長に重要と指摘し、AIツールも活用した効率的な働き方を推奨。
・持続可能なハードワークの実現には、会社のミッションと個人の目的を結びつけ、上司と部下が同じ目標に向かって効率的な働き方を模索することが重要です。

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昔と比べて“残業しにくい雰囲気”になったが現実は?

留目広志氏(以下、留目):大畑さんが「今日は(この講演に)若い方もけっこう参加されている」と言っていましたが、今はそれこそワーク・ライフバランスさんががんばっているおかげもあって、みかけ上は残業をしにくい雰囲気があったり、「早く帰ってね」みたいな声掛けが、少なくとも昔よりは圧倒的に多くなっていると思うんですよね。

多くなっているんだけれども、一方で上司と飲み会とかに行った時に、「いやー。昔はたくさん仕事ができたから成長もできたけれども、君たちは大変だねぇ」みたいなことを言われてしまうとか。

大畑愼護氏(以下、大畑):ありますね。

留目:もしかしたら今日聞いてくださっている方の中にも、「こういうことを言っちゃったことがある」みたいな人もいらっしゃるかもしれませんが、そういうシーンがわりとある気がするんですよ。これは私の周りでもよく見ますね。

そうなった時に若手の方、しかもこれから成果を出していかなきゃいけないという方が、「どうしよう。上司も言ってたし、成長するためには長く働かなきゃいけないんじゃないか」って思う気持ち自体はすごくわかるし、共感できます。ただ、やはり冷静になったほうがいいと思っていて。

これは先ほどの基調講演での小室さんの話も本当にそうですし、高橋さんが今おっしゃったこともそうなんですけれども、普通に冷静にいろんな研究や理屈で考えたら、長時間労働の環境のほうが良いなんてことはやはりないわけですよね。

大畑:なるほど。

ただ長時間働くだけでは得られないものとは

留目:例えば、成長に関する学問とか理論ってもうたくさんあるじゃないですか。特に1990年代ぐらいからすごくいろんな研究があって、一番よく言うものだとマズローさんの話があったり、成人発達理論、自己決定理論、経験学習理論とかいろいろありますよね。

でも、それらをとりあえず統合して「要するに何を言っているの?」という話になった時に、だいたい要素って一緒なんです。「ちゃんと自分で内省できる時間を取りましょう」「安全で、周りに頼りやすい環境でやりましょう」「それが自分からの欲求、内発的動機になるようになっていましょう」とか。

そういうものが、成長に対してファクターとして変数の大きいところだというのは、だいたいどの理論を見ても言っているわけですよね。

じゃあ、今言ったようなことは本当に長時間労働のほうが満たせるのかな? ということを、ふと冷静にコーヒーとかを飲みながら考えてほしいんですよ。

そうなった時に、反復とか経験の量は、おそらく長時間労働で絶対に満たせる要素だと思うんですね。でも一方で、その時間を取ってしまうことによって落ち着いて内省する時間が取れなくて、結局は経験しても学びに変換できないという話になったりします。

「長時間労働がはびこっている環境」の問題点

留目:長時間労働がはびこっている環境においては、じゃあ何かに挑戦しようとなっても、「でも、長時間労働が降りかかってくるからチャレンジしようと思えない」みたいになって、心理的安全性を保てなくなったり、それこそ健康を損なうといったことが起こる。

結果的には、やはり「短時間労働でやろうね」という環境のほうが成長の要素を満たしやすいんですよ。これはもう絶対にそうで、しかも今はAIがあるからツールまで後押ししてくれるんですよね。これをちゃんと冷静に考えるんです。

大畑:確かに。

留目:もちろん「過去にそうだった」という人がいて、実際に長く働いたから若干成果が出たという人も中にはいるかもしれませんが、こういうセミナーに来て、その都度「そうだよな。普遍的に考えたらこうだ」って思い直したりしてがんばってほしいなと私は思います。

大畑:ありがとうございます。徹夜するよりは、新しい最新の知見も仕入れていくことが大事ですよね。そして徹夜自慢と併せて、日本人は「1万時間の法則(ある分野でスキルを磨いて一流になるには、1万時間もの練習や努力が必要だという主張)」がすごく大好きだなというふうに、今思い出しました。

留目さんの話を聞いて思い出したのが、1万時間の法則の元になっている心理学者のアンダース・エリクソンさんは、「時間じゃなくて、しっかりと難しいものにチャレンジをすることが大事なんだ。それが決定的要素なんだ」とおっしゃっていました。これは「意図的練習」というやつですが、長時間労働をやって反復したって成長しないということですかね。

振り返って自分ができないことをしっかり確認して、次の難しいことにチャレンジをするから成長をする、アウトプットが多くなるんだということなんじゃないかなって、うかがいながら思いました。『猫ふんじゃった』をずっと練習しても『エリーゼのために』は弾けない、みたいな感じなのかなと思いました。

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