【3行要約】
・ビジネスの現場では「わかりにくい資料」が時間とリソースを浪費する大きな問題となっています。
・豊間根青地氏は、資料作成における上司と部下のすれ違いは、目的意識のずれや共通言語の欠如から生じていることが多いと指摘します。
・上司は「テンプレ」で迷いをなくし、「キメヘン」で目的を明確にし、「箇条書き」で思考を整理させることで、部下の資料作成スキルを効果的に向上させることができます。
“資料が下手”な部下を育てる3つのポイント
豊間根青地氏(以下、豊間根):仕事をもっと。
岩本紘佳氏(以下、岩本):おもしろく。
豊間根・岩本:しごおもTVです。お願いします。
豊間根:資料作成のコツ for 上司。
岩本:(笑)。for 上司。
豊間根:for 上司です。
岩本:はい。
豊間根:はい。しごおもTVをご覧のみなさん、部下を持たれているマネージャーの方もいらっしゃるかと思うんですけれども。どうですか。部下の方の資料作成、いい感じですか。
岩本:(笑)。
豊間根:なかなかね。何が言いたいかわかんねぇとか。データをただ貼り付けてるだけとか。ごちゃごちゃしていてなんのこっちゃわからんみたいな。そういうお悩みを持っている方、多いと思います。
岩本:はい。

「テンプレ」「キメヘン」「箇条書き」
豊間根:今日はですね、上司と部下との間で共通言語を作って、無駄な作業やコミュニケーションのすれ違いを減らして、適切な道具として資料を作ることを実現するための動画でございます。
3つのポイントをお話ししたいと思ってます。今日、部下の資料作成にお悩みの上司の方にお伝えしたい3つのキーワードは、「テンプレ」「キメヘン」「箇条書き」です。
岩本:テンプレ、キメヘン、箇条書き。
豊間根:はい。この3つが、上司から部下に資料作成についての指示やフィードバックをする際に、押さえてほしいキーワードなんですね。
1個目の「テンプレ」っていうのは、テンプレを作りましょうということです。
岩本:はい。もともとのね。
資料の自由度を制限する効果
豊間根:これも1種の共通言語なんだけども。結局、認識がずれるのって、資料っていうのはそもそもどういう体裁で、どこにどういう情報を書くものなのか。どういう手順で作っていくものなのか。どういう色を使うのか。どういう図形を使うのかが定義されてないというのが根本的な問題だったりするんですよ。テンプレがないと迷うんです。工夫できちゃうでしょ。
岩本:自由度が高いですもんね。
豊間根:そう。資料ってコミュニケーションツールなので、自由度は要らないんですよ。なるべく変数を減らして中身と、それを見た人がどう動くかに集中しなきゃいけないんだけど、テンプレがないと、「あ、これは黄色にしようかな」「赤にしようかな」とか。
岩本:なっちゃう(笑)。
豊間根:「ここはメイリオにしようかな」「BIZ UDPにしようかな」みたいな要らない工夫が生まれちゃうんで。まず、その変数を減らすために、最初に定義をしましょうっていうことなんですね。
岩本:はい。
豊間根:これがテンプレを作ることの意味。俺もよく言うんですよ、「パワポの色なんか要らないです。白黒で作れ」と。
岩本:言ってる(笑)よく聞く(笑)。
豊間根:うん。もうグレーは最強。Gray is the greatestなんで。って言うのも、やっぱりみんな違う世界を見ているから、明確に定義しておかないと(認識が)ズレちゃう。だから定義をしようぜっていうことなんですね。
岩本:はい。
豊間根:1から作るのが大変な人は、うちが無料公開しているテンプレートもあるので使ってもらうといいと思います。まず、共通言語として、定義としてのテンプレートを作ろうぜってのが1個目の話。
目的意識の目線を合わせる
豊間根:2個目の話は「キメヘン」ですね。部下と上司の資料作りにおけるすれ違いの1番大きいポイントは、目的意識のズレだと思っているんですよ。
岩本:なるほど。
豊間根:まず上司側がその意識を持っていないとけっこう駄目なんだけども。どうしても資料という目に見えるアウトプットを作るがゆえに、手段が目的化しがちなんですよ。
岩本:うん、しがちですね。
豊間根:それを作ることによって、誰にどういうアクションを起こしてほしいのか。どういうメッセージを伝えたいのかっていうのが、「聞き手・メインメッセージ・起こしたい変化」を略した「キメヘン」っていう、我々の造語、概念なわけなんですけども。これをちゃんと定義をする。
だから、「資料を作ってほしい」じゃなくて、「こんな人にこういうアクションを起こさせたい」。それをあなたにお願いしたいと。そのための道具として資料を作ってほしいっていうことを、ちゃんと明確にしないからズレる。
部下に指示を出す前に考えるべきこと
岩本:でも、これはけっこうあるあるなんじゃないですか。
豊間根:そうなんですよ。だから上司側も資料を作るのが目的になっていて。
岩本:うんうん。
豊間根:「定例会議の準備せな!」「資料お願い!」みたいな。
岩本:ふふふ(笑)。
豊間根:それが、「誰がどうなってもいいんですか」みたいなのがないまま、そもそも論を考えずに枠組みに則っちゃっていることがけっこうあるので。いわゆる上司側に問題があったりするんですよ。
岩本:うんうん。ありそう。
豊間根:だから、部下に資料の作成を依頼する時は、まずは上司が「この資料によって、誰にどういう変化を起こしたいんだっけ」というのを自問自答することですよね。ここが定義できてないんだったら、その作業は無駄な可能性が高いんです。
岩本:確かに。
豊間根:そこを上司側がちゃんと明確にして、言語化してあげるのが大事かなと思います。
岩本:はい。
「いきなりパワポを開くな」
豊間根:3つ目が「箇条書き」です。
岩本:箇条書き。
豊間根:我々がよく言っているのが「いきなりパワポを開くな」という話で。パワポは本当に最終手段なんですよね。本質は文字なんですよ。部下に資料を作ってもらう時も、いきなりスライドを作るんじゃなくて。
部下の人もね、パワポを作るぞっていう頭になると、資料と手段が目的化するんです。
岩本:う〜ん。
豊間根:なんだか過去のようわからん既存資料の切り貼りとか。なんとなく体裁だけ(の資料が)30枚とかあって、「作りました」って言って。「これ、何が言えんの?」みたいな。
岩本:ふふふ(笑)。
豊間根:過去のやつの切り貼りで、誰にどういう気持ちを持ってこれを作っているの? みたいな。「でも、資料は作りました」「そこじゃねぇんだよな」みたいなことになるわけですよ。そのために「キメヘン」が大事なんだけども。
「キメヘン」の定義をした上で、じゃあそれって何を伝えればいいのか。さらに言うと、相手が持っているどういう疑問を解消すれば相手が変化を起こしてくれるのかっていうのを文字で書き下す。まずこれをやるべきなんですよね。
岩本:確かに。
豊間根:文字で説明できないことって、資料にしても絶対にわからないんですよ。
岩本:うんうん。
パワポで作業する前に箇条書きにする
豊間根:だから、いきなりパワポで時間を消費するんじゃなくて、「1回文字にして」と。いきなりパワポを作ってきたらよくわからないから、「もう5行でいいから1回箇条書きにしてくれ」「何が言いたいかを1回文字にしてくれ」とか。資料を作る時に、1回文字で見せることによって、すれ違いを減らすことができます。
資料を作る時に、いきなりパワポにするんじゃなくて、まず文字を挟むもんだよねっていうことを社内で共通言語化する。当たり前化する。
岩本:大事。
豊間根:そこの、「まずは文字で作ってね」って、毎回毎回言わなくて済むから、コミュニケーションコストがめっちゃ下がるんですよね。
そのためのテンプレが大事なんだけども。「資料ってこういう順番で作るものだよ」「そもそもこういう目的で」っていうのをちゃんと浸透させていくことが、無駄なコミュニケーションコストを減らすためには、めちゃ大事なポイントですよね。
岩本:はい。
豊間根:なので、部下の人に伝える上ではまずテンプレを使って、作る時に「キメヘン」はこういうものです、と(定義する)。
章立てを文章として成立させる
豊間根:さらに言うと、「この人にこういうアクションを取ってもらいたいっていうのがあなたへの依頼です」ということを伝える。まずは文字で書いて伝える。言葉で説明をするということが、ポイントになってくるかなぁと思っております。
岩本:はい。
豊間根:ちなみにこの、文字で書くっていうやつも1個ポイントがあって。箇条書きにしないほうがいいです。箇条書きは箇条書きなんだけど。例えば、「現状分析」みたいな……。
岩本:単語で言うのはっていうことですね。
豊間根:そう。わかりました? って。現状分析・提案内容・アペンディクス。これを作りますと言われても。それって章立てとしては意味があるんだけど、じゃあ「現状分析」で、あなたは何をどう分析して何が言いたいのとか。そこを書けよ! っていう話じゃないですか。
岩本:うんうんうん。
豊間根:ここはちょっと握っておかないと、そもそも中身のない、なんとなくの、上部だけの整理だったりするので。もちろんその章立てをできるのはそれはそれで大事だけども、必ず文章にするということですね。
資料制作は国語力から
岩本:何が言いたいのか、ちゃんと主張を含めた上で箇条書きにしてくださいってことですね。
豊間根:そう、それ。
岩本:それ(笑)。
豊間根:箇条書きでもいいけど、ブレッドポイント。1つのマルが必ず文章として成立している状態を作るというのが大事ですね。
岩本:はい。
豊間根:やっぱり、結局は国語ですね。
岩本:結局、国語なんだ。
豊間根:国語です。
岩本:でも、国語が得意な豊間根さんは。
豊間根:そうです、そうです。資料は国語なんで。全員、『ごんぎつね』を読めと。
岩本:(笑)。『ごんぎつね』?
豊間根:うん。全員、宮沢賢治を読めということですよ。
岩本:急に(笑)。
豊間根:『ごんぎつね』は違うけどね。
共通言語で資料制作の依頼をスムーズに
豊間根:はい。テンプレとキメヘンと箇条書きという3つのポイントを意識していただければと思っています。どうですか、紘佳は上司とのコミュニケーションの中でズレちゃうことはある?
岩本:でも、最初はあったかもしれないです。それこそ豊間根さんに「文章でちゃんと書いたほうがいいよ」とか、私も実際にやっているんですよ。資料を作る前に、まずWordで書いて、それを送ることをしてからは、そんなにないですね。
豊間根:なるほど。それがルールとして当たり前化しているから、上司も紘佳にお願いしたら「たぶん、まずはWordの文章で送ってくれるだろうな」とわかっているし、共通言語ができているからコミュニケーションコストが起きにくいわけですよね。
岩本:そうですね。
豊間根:だからこれは、やっぱり「共通言語を作る」っていうことなんですよね。
岩本:うん。
豊間根:はい。ということで、ぜひみなさんも、うちの無料公開しているテンプレを使っていただきつつ、共通言語を作って、部下への資料作成の依頼をスムーズにしてみてください。