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これでイイのか⁈ 「消去法な管理職選び」 webセミナー(全3記事)

管理職の半数以上が「後任がいない」と回答 問題は“人材不足”ではなく“設計不足”

【3行要約】
・「後任の管理職候補がいない」という声が企業から相次ぎ、消去法で選ばざるを得ない状況が組織の課題となっています。
・髙桑由樹氏は、野球のポジション配置を例に、役割を固定せず目的に応じて柔軟に設定する重要性を説きました。
・スーパーマンの代わりを探すのではなく、役割を分解して複数人に割り振ることで、適任者不足の打開策が見えてきます。

管理職の半数以上が「自分の後任がいない」と回答

髙桑由樹氏:本日のセミナーは「これでイイのか?! 消去法な管理職選び 『名選手、名監督にあらず』を逆手に取る 次期管理職の選出・育成」というテーマで進めてまいります。よろしくお願いいたします。

まず、今回のセミナーの狙いについてお話しします。左側の円グラフをご覧ください。

これは、管理職の半数以上が「自分の後任がいない」と回答した調査結果です。次の管理職がいないというのは、私も多くの企業さまでうかがう話です。「なぜいないのですか」と尋ねると、「管理業務を務められる人材がいないからだ」という答えがよく返ってきます。

では、「管理業務を務めるために何が求められるのか」という点についてうかがうと、これも多くの会社で明確な答えが出ていないのが実情です。

そこで本日は、まず管理職に求められる適性とは何かを考え、そのうえで管理職候補者をどう見極め、どのように育てていくのかという2点を中心に深掘りしていきたいと思います。

本日のプログラムは3つの構成です。1つ目は「管理職としての適性とは何か」。2つ目は、その適性を踏まえた「管理職候補者の見極め方」。そして3つ目は「未来の管理職をどのように育てていくか」という点についてお話しします。

多くの企業が抱える「該当者がいない」という課題

では、さっそく1つ目のテーマ「管理職としての適性」から入っていきます。セミナーに参加してくださっている企業のみなさまに、事前に1つ質問を投げかけました。「御社では、何を基準に管理職を選んでいますか」という内容です。

寄せられた回答をいくつか紹介します。まず多かったのが「人徳がある人」です。「この人についていきたい」と思える人を管理職に登用したい、という声がありました。

また、「人の意見、特に部下の意見をしっかり聞ける人」という回答も目立ちました。言葉にしていることだけでなく、言葉にしていない気持ちや考えを察して理解できる人でないと、良いコミュニケーションは築けないという意見です。さらに、「部長や上席管理職の補佐ができる人」という意見もありました。

一方で、「明確な基準はないかもしれない」という声も少なくありませんでした。年齢順や在籍年数順など、年功序列的に管理職を登用しているという企業も多く見られます。

いろいろな基準を持たれている企業さまに「では、その基準に該当しそうな方はいらっしゃいますか」とうかがうと、多くの方が渋い表情をされます。その反応がとても印象的でした。やはり「該当者がいない」という課題が多いようです。

適任者がいない中で誰を選ぶのか

ここからは、この問題をどうすれば解決できるのかを考えていきます。まず考えるべきは、「適任者がいない」という問題をもう少し分解してみることです。

野球を例にしてみましょう。例えば高校の部活動で、3年生が引退して次の代から新しいキャプテンやエースを選ばなくてはいけない場面があります。しかし「次の学年にはめぼしい人がいない」というケース、ありますよね。これは、企業で管理職候補がいないという状況とほとんど同じです。

この時に問題になるのは、「どうやって選ぶか」です。適任者がいない中で、誰を選ぶのか。よく考えると、選び方は「その人に何を任せるのか」によって変わります。

例えば野球であれば、ピッチャーにするのか、キャッチャーにするのか、外野を守ってもらうのか。それぞれのポジションによって求められる適性が違う。何をさせるのかが決まれば、おのずと誰を選ぶかも決まってきます。これはごく当然のことです。

ただ、こうした話をすると「いや、それでもピッチャーを任せられる人がいないんですよ」とおっしゃる企業も多い。実際、さまざまな組織で同じ声をうかがいます。

目的に応じて最適な役割を柔軟に設定する

もう少し深掘りしてみましょう。例えば、野球のポジションを決める方法について考えてみます。野球はご存じのとおり9人で行うスポーツです。どのチームを見ても、内野に6人、外野に3人という配置が一般的で、ライト・センター・レフトといったポジションの呼び方まで決まっています。

ただ、実は野球のルール上、「ライト、センター、レフトに1人ずつ置かなければならない」という決まりはありません。9人をグラウンドのどこに配置するかは自由です。それにもかかわらず、どのチームも似たような配置を取っています。

なぜかというと、最も効率的に守備ができ、打球をヒットにされにくい配置を考えた結果、現在の一般的なポジションが最適だとされるようになったからです。

つまり、本来であれば、組織における役割も同じように、あらかじめ「センターだからこの人」と決めるのではなく、目的に応じて最適な役割を柔軟に設定するべきだということです。どの位置を守ってもらいたいのかを考えることで、求められる適性が見えてきます。

後任管理職の“力量不足”が気になる時の対処法

もう少し「役割」にフォーカスして考えてみましょう。例えば内野手、特にセカンド(二塁手)を例に取ります。セカンドというのは、一塁と二塁の間を守るポジションです。普通に考えれば「飛んできたボールを正確に捕って、正確に投げる人」が向いているように思われます。けれども、これはどのポジションにも共通する基本的な能力です。

セカンドの役割をもう少し詳しく見ると、一塁側へのカバーにも、二塁側へのカバーにも素早く動く必要があります。つまり、同じ場所に留まっていてはいけないポジションです。

そうなると、捕って投げる技術に加えて「視野が広い」「機転が利く」「次の展開を先読みできる」といった要素が必要になってくる。そうした視点から初めて、「このポジションに求められる適性」が明確になるわけです。

ここまで整理してくると、「じゃあこの人に任せよう」というかたちで人をあてがう段階になりますが、実際にその人が望ましい実力を備えているとは限りません。多くの場合、現状の力量と本来求められる力量には差があります。したがって、その差を埋めるために経験を積ませたり、意図的に育成の機会を与えたりする必要があります。これが人材育成ですね。

例えば、内野手には機転が利くことが求められるとします。ただ、今のチームにそうした選手がいない場合、どうすればいいでしょうか。例えばセカンドに2人を配置して、一塁寄りと二塁寄りでそれぞれの役割を分けることもできます。本来1人で担うポジションを2人で分担する。人をどこかから補充しなければならないかもしれませんが、こうした柔軟な考え方は十分にあり得るわけです。

つまり役割というのは、どのような機能を持たせるかによって決まると同時に、それを担える人がいるかいないかによっても変化します。役割分担の設計そのものが、組織の現状に応じて変わっていくのです。

さらに言えば、役割のあり方は組織の方針によっても左右されます。例えば野球で言えば、「3点取られても4点取り返す、打ち勝つチーム」なのか、あるいは「1点も取らせない守りのチーム」なのかによって、求められる人材もポジション配置も変わります。それによって必要な行動や適性、さらには育成方法までもが異なってくるのです。

したがって、組織において役割を考える時は、方針から逆算して設計することが基本になります。

超優秀な管理職が退職した時に後任を選ぶポイント

あらためてポジションを役割ごとに分解してみることで、初めて求められる適性が明確に見えてきます。

会社組織でよくある話ですが、例えば非常に優秀で活躍していた部長が定年を迎え、後任を選ばなければならない場面があります。この時、「あのスーパーマンのAさんの代わりがいない」と問題視されるケースは少なくありません。

ただし、Aさんの代わりをそっくりそのまま担える人を探すのは現実的ではありません。人が違えば、同じことを同じようにできるはずがないからです。

もしAさんが営業、管理、育成の3つを高いレベルでこなしていたのだとすれば、それはAさん個人の力量によるものです。他の人が同じように3つすべてをこなすのは難しい。であれば、その3つを分解して役割ごとに割り振るという発想が必要になります。

例えば、営業はBさん、管理はCさん、育成はDさんに担当してもらうなど、人ではなく「役割」を基準に考えることで、後継者選びの選択肢が一気に広がります。人単位で見てしまうと「誰を後任にすべきか」で行き詰まりますが、役割に分解して考えると、組織の自由度が高まり、より柔軟に対応できるようになります。ここが非常に重要なポイントです。

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