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無自覚ハラスメントの境界線(グレーゾーンを超えるな)(全1記事)

「そのくらいわかっている」のにハラスメントはなぜ起きる? 職場に潜む“無自覚の落とし穴”

【3行要約】
・「これくらいなら大丈夫」と思う行動が実はハラスメント。職場での無自覚な言動が 問題となるケースが増加しています。
・研修トレーナーの伊庭氏は「アウトな事例5選」を紹介し、パワハラの3条件と共に解説しています。
・他者を尊重する丁寧な関係構築が求められる時代に、アンコンシャスバイアスを排除し「相手は自分と違う」という前提で行動することが重要です。

無自覚ハラスメントの境界線

伊庭正康氏:研修トレーナーの伊庭です。今日は、ついやってしまいがちなハラスメント行為についてお話しします。「それ、アウトです」。自分では気づきにくい“無自覚ハラスメント”の境界線を見ていきましょう。

「これくらいなら大丈夫でしょ?」と思っていても、今の時代はNGになることがあります。どこを超えるとアウトになるのか、具体例を交えながらお伝えしていきます。

(スライドを示して)メニューはこちらです。実際にあった事例を5つ紹介します。「え、それダメなの?」と思われるかもしれませんが「はい、ダメなんです」という話です。その上でハラスメントの基本的な定義もさっと押さえます。ただし、定義を知っているだけでは不十分なので、どこまで気をつけておけばいいのか、最後にここだけは外さないでほしいポイントもお伝えしていきます。



このチャンネルは研修トレーナーの伊庭だからこそお伝えする、本物のTipsを紹介するチャンネルです。ぜひこちらからチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

アウトな事例その1 懇親会でのプライベート質問

さあ、ではいきましょう。ドン! 事例紹介から、5つ紹介していきます。1つ目、こちら。懇親会での上司と部下の会話。これはいいんでしょうか、悪いんでしょうか。

部下に上司が言いました。「彼女はいるの? いなければ紹介してあげようか。そっかそっか、どんなタイプがいいの?」という会話に対して、その本人ではなく同席をしていた人が「不愉快な会話がありました」ということで人事に通報しました。

これは、アウトなんですよね。パワハラの定義にしてみると微妙なラインですが、アウトなんですよ。人事に通報され事情聴取が入り、「やっちゃダメよ」という注意で終わりましたが……「ダメです」ということです。「え、これダメなの?」と思われるかもしれませんが、ダメなんです。お見知りおきください。


アウトな事例その2 歓迎会での飲酒強要

そして2つ目、ドン! 歓迎会で上司と部下。部下が「すみません、お酒が飲めないんですよ」「いやいや、ちょっとぐらい飲めるでしょ。1口、2口ぐらいは」「いや、ダメなんですよ」「まぁ吐けば飲めるからさ」……みたいなことをギャグで言っちゃう時ってありませんか?

私はないですよ(笑)。私はないですが、そういったタイプの方はいますよね。「1杯ぐらい飲めよ」みたいなことがあったとしましょう。この時のセリフはどうだったかはわかりませんが、「お酒はトレーニングで飲めるぞ」みたいなものですよね。私も言われたことがあります。

その部下の方は適応障害になり、結果会社に対して裁判を起こし、(上司の行為は)不法行為と認定され、会社がアウトとなりました。「ダメですよ」と裁判所で認定されたんですね。

一滴も飲めない人もいるわけです。ですから「1杯ぐらい」「最初の1口ぐらい」……アウトでございます。


アウトな事例その3 懇親会参加の執拗な確認

次にいきます、ドン! これも懇親会です。社内の懇親会で「私ちょっと参加するのが無理なんです」と言った人に対して「いやいや、もうみんなで参加することになってるんだからさ。え、なんで来ないの?」。

(スライドには)「なぜ来ない?」を何度も「詰問した」と書いてありますが、詰問というよりも「え、なんで来ないの? なんで? 何かあるの? 何かあるの?」……はい、この場合アウトです。


アウトな事例その4 愛情のつもりの「アホ・ボケ」

次にいきましょう、ドン! 愛情表現として上司と部下の会話。これは関西弁の方だったみたいですが、上司が「アホか、ボケ! そんなことしちゃダメよ」。「アホ」「ボケ」と言ったらしいんですね。愛情深い上司という評判が高い方だったみたいなんですが、パワハラ認定になっちゃいました。

これね、私経験あるんです。もう20年以上前の大昔なんですが、子どもがサッカーのクラブに入っていて、埼玉県に試合に行きました。で、そこのコーチが関西出身なので関西弁なんですよ。コーチが(選手に向かって)「アホ、行け! もっと行かんかい! アホか!」と言っていたところ、呼び出しになり、「言葉をちょっと直してもらえませんか」と言われました。

「言葉遣いを注意された……」と帰ってきました。その方は奇粋の関西人で。いいコーチだったんですけどね、ちょっと叱られたということがありました。

関西弁だからといってダメですよ。私も関西出身ですが、アホとかボケとかは絶対言いません。これは関西ローカルだけで許されているかもしれません。そんなものは日本で許されませんので、よろしくお願いします。


アウトな事例その5 時間外の業務連絡

そして5つ目、ドン! 「休日や時間外に連絡をする」です。上司が業務時間外に「あれはどうなってる? これはどうなってる?」と確認を取る。これは「過大な要求」に該当するのでアウトでございます。ご注意ください。


パワハラとされる3つの条件

さぁ、ではどうすればいいのかというのはこのあとに話をしていきますが、まずそもそもパワハラに該当するとはどういうものなのか。

厚生労働省が言っているハラスメントの3つの定義は、1、「優越的な関係を背景とした言動」。上司と部下、先輩と後輩だけではなく、逆もあるんですよ。部下から上司へもあります。

なぜかというと、部下の業務が止まったら(上司が)困るわけですよね。部下が優越的な立場になることもあるんです。ですので部下から上司へも一緒です。

2つ目、「業務上必要かつ相当な範囲を超えているもの」。さっきの時間外もそうですよね。飲み会もそうですよね。そこで上司・部下の関係でガツンとやっちゃう。これはダメなんですよね。

次いきます、3つ目。「労働者の就業環境が害されること」。これはダメですね。「アホ、ボケ!」、ダメですよね。


「わかってるはずなのに起きる」理由

こうしたことを踏まえて「これは抵触するかな、しないかな」と考えながら対応していくわけですが、実際にハラスメントで注意を受けた方もだいたい「そのくらいのことはわかってますよ」とおっしゃるんですよね。

私のパートナー講師で、ハラスメント担当をしてもらっている講師がいるんですが、「(ハラスメントをしてしまう)本人もこれぐらいのことはわかっている」と言います。でも、なんでやっちゃうんでしょうね。

やっている方に対しての研修もするんですが、本人たちの解釈が間違っているんですって。本人たちは、この3つのことを理解しています。でも、解釈がずれているんですって。

カギは“他人として尊重する”こと

では最後に大事なこと。解釈が間違っていると言いました。どういうことか。意識すべきは、相手の人を他人として尊重しているかどうかなんですよね。丁寧な関係作りが求められている時代です。

ハラスメントを起こしちゃう人は、1つの特徴があるとパートナー講師は言っています。「かわいい部下だから」とか「部下だからここまでは許される」。愛想がいいからここまでは許される。男性だからこれを言っても大丈夫。「下ネタぐらい大丈夫だろう」とかね。ダメです。

あと「若いから」「お母さんだから」「国立大卒だから」「見た目がいいから」……見た目がいいというのもダメなんですよ。「背が高いからいいよね」、(本人は)コンプレックスを感じている部分があるかもしれません。

「見た目がいいよね」と言われた時に「(自分の長所は)そこだけですか」と思う人もいるわけですよ。だから難しい時代なんですよね。「見た目がいい」と褒めた時に「そこだけですか」と思う人に対して、「むずかしっ!」と思われるかもしれません。

でもね、他人として尊重するということを考えると大丈夫ですよね。無意識の偏見に注意。これをアンコンシャスバイアスと言います。


“自分とは違うかも”を前提にする

まとめますね。ハラスメントをしがちな方は解釈を間違えています。それはアンコンシャスバイアスのフィルターがかかっているから。「何々だからここまではいいかな」、これがかかっている方は間違いやすいんです。

なので他人は自分とは違うという感覚を持って「万が一このタイプだったら」とか、「こういうことを言われると嫌だなと思う人もいる」と思えば、そんなことは言えません。同性だからといって下ネタを言っちゃう。昔はこれでよかったかもしれませんが、それを嫌がる方もいます。

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