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従業員の心を動かす「経験」の作り方:ピーク・エンドの法則から学ぶ人事施策(全3記事)

5分間の丁寧な対応より一瞬の「不快な顔」がその人の印象を決める 職場の日常に現れる「ピーク・エンドの法則」の影響 [2/2]

面接のエンドが良ければ、それは惹きつけになる

人事の場面でもピーク・エンドの法則は機能し得ます。面接の場面を想像してみてください。候補者がある企業を面接を通じて「この企業は自分に合っているか。いい会社かな?」と評価するような状況です。

例えば、面接官と話している中で意外な共通点が見つかって、非常に打ち解けて話せた瞬間があった。これは非常にポジティブなピークですよね。

あるいは面接終了時にきちんと見送りがあるかどうか、最後にどんな言葉をかけたかといったエンドですね。終わり方が丁寧であれば、「この会社で働きたい」と思う可能性が高まるわけです。要するに、惹きつけができる可能性があるわけですね。このように、採用の場面においてもピーク・エンドの法則は機能し得ると考えられます。

経験の評価は次のアクションをも左右する

しかもこのピーク・エンドの法則が重要性が高いのが、その経験の評価によって次のアクションまで影響を受けるということです。従業員の将来の選択まで左右するような影響があるとわかっています。

おもしろい研究で、休暇の体験を思い出してみるという研究があるんですね。休暇中にまず調査を行います。「楽しいですか?」という調査を採るんですね。

その後、休暇が終わったら「休暇は楽しかったですか?」ということを調査します。休暇中のほうが実際の経験なわけですよね。休暇後というのは記憶です。

どちらのほうが、その後もう一度同じ場所に行きたいと思うか。そこに影響力が強いかというと、記憶されたほうが強いんですよね。記憶に基づく評価のほうが、「この場所、良かったな。だから行こう」と思いやすい。実際の経験よりも、記憶された満足度や幸福度のほうが、強く「もう一度訪れたい」という気持ちと関連していることがわかりました。

「もう一度そういうことをやりたいか」ということに、まさにピーク・エンドの法則が関わってくるわけですね。

ポジティブな評価になれば「次もがんばろう」となる

そのことは、働く上では重要です。例えば難しいプロジェクトなど途中で大変な状況になるような仕事ってありますよね。

ただ、お客さんから最終的に非常に熱烈に感謝を受ける瞬間があった。これはまさにポジティブなピークになります。あるいは、そのプロジェクトが終わった後に、チーム全員で打ち上げということで祝杯を挙げた経験などがあると、ポジティブなエンドになるわけです。

そうすると、後から振り返った時にそのプロジェクトに対して、記憶に基づいて「大変だったけど最高の経験だった」というふうに良い評価が下されるんですね。

記憶に基づく評価は次の行動に対して影響を及ぼしていくので、例えば同じように難しいプロジェクトがあった時に、その人に打診をすると、「もう一度がんばってみようかな」と思えるわけですね。

ネガティブな評価になれば「もうやりたくない」となる

これ、逆だったら怖いですよね。駄目な記憶に基づいて「もうあの経験最悪だったな。自分では絶対やりたくないな」というふうな評価になると、次に打診された時に、非常に消極的になってしまうというようなことが実際に起こってくるわけです。

例えばある上司と一緒にプロジェクトを行い、上司とは非常にいい関係でプロジェクトを進めていました。

ただ、途中で一度理不尽な経験というのがやってくる。例えば理不尽に怒られてしまうみたいなことが起きたとします。これは本人にとってネガティブなピークなわけですよね。

そうすると、今までは良好な関係だったのに、後から振り返った時に「もうあの人とは仕事をしたくないな」みたいな感じの記憶が形成されてしまうんですよね。

そうなると、例えば将来部署異動をする時とか、あるいはプロジェクトを編成する時に、その上司と一緒にやりたくないと思ってしまって避けるようなことが起こってきてしまう可能性があるわけです。

退職手続き時の印象がアルムナイの参加意志を変える

同じようなことが退職手続きにおいても起こり得るわけですね。今までやりがいのある仕事に恵まれていたり、同僚と良好な関係を築いていたとしても、退職時の引き継ぎでトラブルがあったり、会社側が非常に冷淡な、半ば裏切り者みたいな感じの扱いをしてしまうと、これはネガティブ・エンドになるんですね。

そうすると、「なんか後味悪かったな」というように記憶が形成されてしまうことになります。

そうなると、例えば後に会社から「アルムナイに参加しませんか?」「退職者のネットワークに参加しませんか?」という案内が来ても、「もうあの会社と関わりたくないな」と思って参加しないとなるわけです。

このように、経験と、そしてその経験の記憶に基づく評価というのは、その後の行動に対して影響を与えていくという意味では、たかが記憶ではないわけですよね。

非常に大きな影響力を持っている。そして、その記憶の評価を決めていく1つの作用としてあるのがピーク・エンドの法則なので、ピーク・エンドの法則は、きちんと注目して考慮するに値するということが言えます。

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