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ビジネスリーダーのための「部下の言いなりとは違う!」承認力セミナー(全5記事)

部下の言いなりとは違う「認める」スキルがもたらす効果 今日からできる3つの承認テクニック

【3行要約】
・指示や命令といった従来の管理手法では、部下の自律性を育むことが難しいという課題があります。
・平岡洋平氏は、コーチングスキルの1つである「認める」技術について、ジャッジしない姿勢の重要性を強調しています。
・リーダーは「受け止める」「うなずき・相づち」「リフレイン」の3つのスキルを実践し、部下の長期的な成長を支援することが重要です。

前回の記事はこちら

「認めること」と「言いなり」の違い

平岡洋平氏(スライド)上にあるバツが付いている群と、「認める」というのは何が違うか。これは一言で言うと、ジャッジしない、判断しないってことです。

言いなりだったり指示・命令というのは、部下の言うことに対して「いいのか、悪いのか?」というジャッジをしているわけですよね。右上の「叱る」「褒める」も、結局は生徒の活動や行動に対して、いい・悪いというジャッジをしてるということです。ただ、ここで言うコーチングスキルの中の「認める」とは、ジャッジをしないことがめちゃめちゃ重要なポイントです。

さっき少し申し上げましたが、受け入れるのではなくて受け止めること。受け入れるというのは、例えば「給料を2倍にしてくれ」という(部下の言葉を)イエスでジャッジするわけですよね。そうではなくて、その前段で「受け止める」ことをする。これが認めるということですね。

テキストの文言をもう1回見てみましょう。(「認める」とは)相手を全人格的に認めることであり、相手の言うことをそのまま受け止めること。ありのままの事実や存在、あるいは変化をただそのまま受け止め認めること。つまり「受け入れる」のではないということです。

そして、さっきのジャッジの部分はこういうふうに表現しています。「内容について、同意・評価・比較は含みません」と明記しているわけですね。相手の言うことに同意したり、ジャッジ・評価したり、誰かや何かと比較したりすることは含みません。

認めるとはどういうことなのか、テキストの中に1つの文言があるんです。誰かが髪の毛を切った時に、「髪を切ったのですね」と言うのは認めることです。つまり、「似合う」とか「いい・悪い」ではまったくなくて、「髪を切ったのですね」までが認めるということです。

その後に、似合うかどうかは必要に応じて言ったらいいんですが、最初に「認める」を取り入れることがすごく大事ということですね。

なぜいちいち相手を認める必要があるのか?

認めることの目的ですが、「なんでこんなことをいちいちやるの?」って話ですよね。例えばさっきの給料を2倍にしたがっている部下の話で言うと、「あぁ、給料を2倍にしたいと思っているんだね」と言うのが「認める」です。

その後に「いや。でもね、うちの会社はこうだからダメだよ」ということはぜんぜん言っていいんだけれども、得てして世のリーダーは最初の「認める」がまったく抜け落ちちゃってるケースがすごく多いんですね。「給料を2倍にしたいです」「ダメだ」みたいな。

ダメだと言うのはぜんぜんいいんだけど、その前に「君はそう思ってるんだね」と、認める作業を入れることがポイントです。なんでこれをいちいちやるのかというと、相手に安心して話してもらうことが自律性につながるんです。

メンバーが何かを発言した時に、通るか・通らないかは結局は組織やチームやリーダーの意向だったりもあるので、たとえそれが通らなくてもいいんですよ。通る・通らないの話ではなくて、まずは認める。

認めるという作業って言うとあれですが、リーダーが意識的に言えることで、メンバーの安心感が醸成されていくことを目的としています。その先にはメンバーの自律性が期待できるということですね。

なので、認めることの目的は安心して話してもらうことなので、その議題に対して何か解決するとか優劣をつけるのはそもそも目的じゃないってことですね。

相手を認める上での2つの心得

実際に、認めるスキルについてこの後に説明していきます。拍子抜けするぐらいすごくシンプルで、誰でも知っているようなことをこれから説明するんですが、それをやる時の心得をまずは2つご紹介しますね。1つ目は「0か100かではない」ということですね。

今回の承認セミナーを聞いた時に、「いやいや。全部を認めていたら、組織としてぜんぜん機能しないじゃないか」とか「マネジメントって認めているだけだとぜんぜん前に進まない」という方もいらっしゃるんですが、これはけっこうゼロヒャク思考に陥っちゃってるんですよね。

コーチングのスキルでも、「認める」というのは数ある傾聴スキルの中の一部なんですよね。なので0か100かではなくて、例えば対人コミュニケーションのスキルという全体の像がある中で、ティーチングという「教えるスキル」と、コーチングという「聞くスキル」に大きく分かれたりします。

コーチングの中に質問するスキルや聞くスキルがあって、その中に「認める」があるので、部分であるということですよね。例えばボクシングで言うと、全体を通して攻撃も防御も全部できて強くなっていくと思うんですが、防御の分野の中のさらに一部みたいな感じですかね。

それからプロセスでもそうですよね。例えば「給料を2倍にしてくれ」というメンバーの提言に対して、イエス・ノーの前に「そう思ってるんだね」と、認めるプロセスを組み込む。その後でいろいろ指導したりしてもいいんですが、認めるのは一連の中の一番最初にあるプロセスだということです。

なので、0か100じゃないっていうのがすごく大事なのと、もう1つはやっぱり短期的成果ではないということですね。結局、指示待ちが染みついている人に認めるスキルを1回使って、指示を聞かずに自律性が担保できるかというと、そんなわけがないです。

短期的な成果ではなくて、やはり長期的な成長。これはメンバーの成長という意味です。その成長の中に自律性があるんですが、メンバーの長期的成長を見て関わっていく必要があるということです。

認めるスキルは0か100かではなくて、短期的成果ではない。つまり部分的なものだということと、長期的成長で活用していくのがすごく大事なことかなと思っています。

今日からできる3つの承認テクニック

では、これも銀座コーチングスクールのテキストではあるんですが、認めるスキルのうち今日は3つをご紹介します。まず1つは「受け止める」です。何回も何回も言っていますが、受け入れるではなくて受け止める。「○○なんだね」って、ただ受け止めるということですね。

それから2つ目が「うなずき・相づち」です。これもまぁ知っとるよって話なんですが、実際にできている人は意外と少なかったりするんですよね。ちゃんとメンバーの話にうなずいたり相づちをしたりして、「聞いてるよ」という姿勢を意識的に取ってるかどうか。

これがあるのとないのとで、部下の安心感がぜんぜん変わってくるんです。認めることの目的は、さっき言ったように安心してもらうことなので、これが2つ目のスキルです。

3つ目は、私が受講してすごく意識的に取り入れたスキルになりますけれども、「リフレイン」というものがあるんです。これは何かというと、相手の言ったことの中でポイントになる言葉だったり、感情の言葉をただそのまま繰り返すことです。

例えばメンバーの人が「この前こういうことがあって、こういう営業に行ってこうだったんですよ」って言ったら、「そうだったんだ」みたいな(返事をするのが普通のケースです)。

ただリフレインのケースで言うと、例えば相手が「この前、受注したんですよ」と言ったら「受注したんだ」とか。あるいは「この前アポを取ろうとしたら結局取れなくて、来週の日程が埋まってないんですよ」「あぁ、埋まってないんだ」とか、(相手の言葉を)そのまま繰り返す。これがリフレインという1つの立派なスキルなんです。

これを意識的にやったり練習するとすごくいいスキルになるので、リフレインもぜひ活用していただければと思います。

予告したとおり、スキル自体はそんなにスーパーなものでもないし、聞いたこともないスキルってことではないんです。ただ、今日からこの3つだけでもみなさんがチームメンバーに対してやり始めると、間違いなくそのメンバーの方の自律性は上がっていくかなと思っております。

教育とは「介入」ではなく自律に向けた「援助」

では、『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』の中にいい文言があったので、それを最後に紹介しようかと思っています。

この本においては教育という言葉を使っているんですが、「教育とは介入ではなく、自律に向けた援助なのです」ということです。これは、組織におけるメンバーの教育というふうにも捉えることができるかと思います。

どんどんとリーダーが介入していくのではなくて、目的は自律だということで、そこも共通しているかと思います。メンバーが自律性を育むために援助する立場を取るということです。

比喩として私の心に1つすごく残ってるのが、この本に出てくる若者が哲人に対して「教えるでもなく、褒めるでもなく、叱るでもなく、じゃあ自分は教師として生徒に対して何をすればいいんですか?」って聞いた時に、鉄人が具体的に言ったことです。

何と言ったかというと、「先生として、生徒に対して『自分はあなたを援助するつもりがありますよ。いつも援助するつもりでいるので、何かあったらいつでも遠慮なく言ってきてください』と言う。これが援助の関わり方です」ということなんです。

つまり、「ああせい」「こうせい」とかをいきなり言うんじゃない。これは本当にコーチングや承認力にも通ずる部分なので、最後にそのエピソードを紹介させていただきました。ということで、少々短いんですが私のセミナー自体はこれで終了になります。

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