お知らせ
お知らせ
CLOSE

学びをやめない“冒険的”キャリア論 【中原淳×安斎勇樹W刊行記念イベント】(全6記事)

組織の問題を“対話しなさい”で片付ける風潮 対話を強制ではなく“自然発生”させる仕組み [2/2]

人事が目標にすべき“16パーセントの壁”

安斎:16パーセントのところに深い溝、キャズムがあって。そこを超えると一気にぐわっと広がっていくという、そこをやっぱりマーケターはゴールにするので。iPhoneがぜんぜん普及していない時には、頑なにiPhoneを使わない人、「ガラケーが大好きなんだ」という人にはいきなり広告を打たないじゃないですか。

けっこう人事の方は、頑なにガラケーから替えない「ラガード層」と言われるほうをどう巻き込むかに課題設定しがちなんですけれども。まず、(キャズムを超える)16パーセントを目標にしたほうが僕はいいと思っていて。そうするとけっこう「朱に交われば……」というところも出てきますよね。

中原:だから16パーセントの壁ですね。「キャズムを超えろ」ですよね。それはだから「これが大事やで~」と言ったことに対して「早く反応してくれる人たち」に投資したほうがいい、ということだよ。

安斎:確かに。そう考えると、意外と現実的な目標設定かもしれないですよね。

中原:いいんだよ、16パーセントを超えれば。いつかみんな使ってるから。

安斎:いいですね、16パーセント。

中原:絶対変わる。

安斎:みなさんも職場でぜひ16パーセントの人にこの2冊(『学びをやめない生き方入門』と『冒険する組織のつくりかた』)を読んでもらうことを目標にね。

なんでも「対話」でうまくいくのか?

安斎:あとは、学びの広げ方もそうなんですけど、せっかくだから「対話」についてもお聞きしたいなと思っていて。(会場からの質問で)「組織開発論そのものが対話を前提としていて、やろうと思えばどの組織も対話ができるという前提があるような気がして、違和感があります」と。

中原:うーん。

安斎:「この対話偏重論に対してどうお考えか?」という。なんでもかんでも対話でうまくいくんだろうか、対話って本当にどの組織にもできるんだろうかという、対話に懐疑的なご質問もあったりして。

中原:なるほど。難しいけれども……うわー、また爆弾発言しそうだな。

安斎:(笑)、今さらもう、大丈夫っすよ。

中原:いや、だってさ、そんな全員が全員、対話ができるわけないじゃん!

(会場笑)

安斎:(笑)。(中原先生は)2009年に『ダイアローグ 対話する組織』という本を書いていて、16年やってきたから、説得力を持って言えることですね。

中原:でも対話は大事だということを信用しつつも、最初は全員が全員同じテーブルになかなか立ってくれないかもしれないです。

安斎:それはそうですね。

小さく始めて既成事実をつくっていく

中原:でも、さっき言ったように、最初にどこに投資するのか。最初は動いてくれる人に投資をして動かすんです。既成事実を作る。その既成事実を作ったことで「参加しないんですか~」みたいに持っていくと、(動いてくれる人:中間層:動かない人の割合が)2:6:2だったら、たぶん6(=中間層)は動くよ。(残りの)2は動かないかもしれない。そういうふうに最初は小さく始めていって、どんどんどんどん成功事例を作っていって既成事実化しちゃう。

安斎:なるほど、なるほど。

中原:だから、対話する人を増やすなんて、すごくポリティカルな活動だよね。そういうことなんじゃないかなと私は思うんですけど。今、一般論で話していますけどね。

安斎:(笑)。ポリティカルとおっしゃいましたけど、でもやっぱり組織づくりとか組織開発とかをやっていくと、必ずポリティカルな動きが求められますよね。

中原:求められます。組織開発・組織づくりなんて、きれいごとじゃないんだ。でも安斎さんは、そういうものは好きじゃないでしょう? 

安斎:好きじゃないです。特にMIMIGURIの場合は……。

中原:「それ、MIMIGURIだからできるんですよ~」。

(会場笑)

安斎:早い、早い(笑)。それ、僕が解を示した後に来るツッコミ。

中原:「MIMIGURIだからできるんですよ~」(笑)。

安斎:何も言えなくなるから(笑)。いや、MIMIGURIじゃなくてもできることなんじゃないかと思うインサイトがあるので言うんですけど。

今、この中原先生の一連のトークを見て、「この人、本当のことを言っているのかな? 信用ならないな……」と思う人はあんまりいないと思うんですよ。「この人、本当のことを言い過ぎて大丈夫かしら……?」ってたぶんみんな思う(笑)。

対話を「義務化」せず自然発生させる仕組み

安斎:結果、直接対話はしていないんだけれども、中原先生のふだん目に見えない非公式な部分を見て、たぶん中原先生のことをより好きになったり信用したりする人は増えたり、あるいは逆に嫌いになる人もいるかもしれない。

中原:まぁ、いるかもしれない。それはしょうがない。

安斎:「ああいうことを言う人はどうかと思う」と言う人もいるかもしれない。

中原:ごめんなさいね(笑)。

安斎:でも、どっちにしても、何かふだん面と向かって話す以外の方法でも、その人の本音とか特徴を知ることはできると思うんですよね。

中原:そうね。

安斎:MIMIGURIの場合はもうフルリモートにしていて、同じテーブルに物理的に立つことができない状態なので。この本(『冒険する組織のつくりかた』)の中にも書いているんですけど、なるべく社内番組みたいなことを増やして、業務とぜんぜん関係ないどうでもいい情報・独り言が、なるべく多くの人から見える状況をどう作るか。それをみんなが見たくなる状況をどう作るかみたいな感じで試行錯誤しています。

お昼休みにどうでもいい趣味だけを話している番組とか、その人の半生を掘り下げるラジオ番組とかそういうのがぶわーってあって。任意なので全員見るわけじゃないですけど、そういうふだん見えない情報をなるべく可視化すると、間接的に対話しているような状況になる。

中原:なるほどね。

安斎:かつ「それを見なさいね」じゃなくて、見たくなるエンターテインメント番組としてやるみたいな。だから、対話を義務にして強制するとか、1on1で全員対話させるというよりかは、結果そういうふうにおもしろいコンテンツとしてその人のことを知れてしまうみたいな工夫をしているかもしれないです。

イベントの動画はこちら

※本記事にはAmazonアソシエイトのリンクを含みます。記事内のリンクから商品を購入されると、当サイトに収益が発生する場合があります。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!