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学びをやめない“冒険的”キャリア論 【中原淳×安斎勇樹W刊行記念イベント】(全6記事)

組織の問題を“対話しなさい”で片付ける風潮 対話を強制ではなく“自然発生”させる仕組み [1/2]

【3行要約】
・「学ぶこと」への意欲は成長とともに失われがちですが、それは生まれつきのものではなく、環境によって作られた後天的なものです。
・中原淳氏と安斎勇樹氏は、組織づくりへの関心も同様に低いという事実を語ります。
・対話を義務化するのではなく、自然に人々が交流し、対話できる環境を作ることが組織変革の鍵となります。

前回の記事はこちら

だんだん「学ぶこと」ができなくなっていく大人たち

安斎勇樹氏(以下、安斎):ちなみに少し掘り下げていくと、中原先生の思想的には、みんな学ぶきっかけがなかったり気づいていなかったりハードルがあるだけで。ポテンシャル的には(誰でも)学びに対して前向きで、主体的に好奇心を持って学べる存在になるはずだということですか?

中原淳氏(以下、中原):(誰でも学べる存在に)なるはず。うーん、難しいけど。じゃあ、赤ちゃんってさ、「うわ、(学び、)だる……」とか言ってる?

(会場笑)

安斎:言わない。うちの子は今0歳4ヶ月なんですが、言ってる可能性があるけど、わからないです(笑)。でも基本は言っていないですよね。

(会場笑)


中原:赤ちゃんは「学び、うわ、だる……」とか「学び、めんどくさ……」とか言わない。これは全部「後天的」に学んできたものなんです。あのキラキラな目をしてきた赤ちゃんが、だんだん(学ぶことに対して)目が死んでいくわけだから。

安斎:(笑)。

中原:それは結局なんでかと言うと、いろんなネガティブなものをを学んできちゃったからでしょ。僕は、人はもともとアクティブラーナーだと思っているよ。でも、世の中には「アクティブラーナーじゃなくなっていく過程や仕組みが残っている」と思ってる。だから、それをひっくり返したい(笑)。

安斎:なるほど。いや、僕はもう心の底から共感するんですけど。

中原:どっちの立場にいるんだよ(笑)。

安斎:いやいや今、あえてモデレーター兼プレイヤーですよ。モデレーターとして「どうなんですか」と言ったけど、プレイヤーとしてはめっちゃ共感する。じゃないと、こんな本(『冒険する組織のつくりかた』)を書かないですから。

中原:あ、そうだよね。

「学べる人はいいよね」という空気

安斎:これを書いて、今本当にいろいろなところでお話しさせていただいているんですけれども、めちゃくちゃ言われているのは「あ、まだ諦めてないんですね」みたいな。だからなんかこう……「まぶしいっす」みたいな(笑)。

中原:あー。

安斎:やっぱり世の中強固に、「でも、そういうことができる人って1割か2割とかで、大半の人は言われたことをやるだけのほうが楽ですよね……」「軍事的世界観のほうが生きやすいですよね……」「学べる人はいいですよね……」みたいなことを言われるなと思って、ちょっとめんどくさいなと思い始めている。

中原:なるほどね。

安斎:だから僕、10年後とかだったら書けなかったのかもしれない。30代の終わりに書けたからまだ……。

中原:若気の至りみたいな。

安斎:なんですけど(笑)、実際に自分はそう思っているんですけど、「まぁでも無理だよね」とけっこう諦めてしまっている人があまりにも多い(という)問題を、どうすればいいですか?

中原:ちなみに、そう言われたらどうするの(笑)? 僕だけに難しい問いを投げんなよ! 全部、安斎さんに(笑)。

(会場笑)

安斎:モデレーター特権でどこまでいけるか今、試したかったんですよ(笑)。

中原:何がモデレーターだよ!(笑) あなた、プレイヤーでいなさいよ(笑)。

安斎:僕、最近「学び」もそうなんですけど、「組織」もけっこう手強いなと思っていて。やっぱり組織づくりの本とかは、それこそよくテオリアの藤田さんが(出版社を設立して最初の)1冊目に組織の本にしてくれたなと思うんですけど。やっぱり「組織に興味あります」という人はめっちゃ少なくないですか。

中原:そりゃ少ないよね。だって意識しないもん。

「組織づくり」に関心を持つ人が少ない理由


©︎Kosuke Kiguch

安斎:
そうですよね。だから、この本に共感してくださる方はどの会社にも絶対いらっしゃるんですけど。その方が「社内で講演会を企画します! 『冒険する組織のつくりかた』です!」とやった時に、けっこう「人が来てくれないなぁ」となる。「組織に興味があります!」という人は、やっぱり5パーセントとか10パーセントいたらいいほう。

マネジャーになって強制的に課題として関心を持っている人はいると思うんですけど、組織づくりに前向きな関心を持っている人を8割にできるイメージが湧かないなと思っています。

中原:だってさ、「組織ってどこ?」って思うじゃん。

安斎:まぁ、そうですよね。会社を愛している人はいるんだけれども、けっこう手触りがあるのは半径5メートルだったり自分の職場なんですよね。だから「職場をどう変えるか?」とか、「職場から変えていこう!」(というメッセージ)だと、けっこう来てくれる人が増えるんですけど。

中原:そうね。

安斎:「組織を良くしていこう」と言うと途端にぎゅっと狭まる感覚があって。キャリアについても、「キャリアデザインとかこの時代だから考えないとなぁ~」とかはあるんですけど、「キャリアを主体的に考えるのがめっちゃ楽しい!」みたいな人を8割にしていけるイメージがあんまり湧かないという。

中原:そうだろうね。でもさ、どんなことを言ったって賛否両論だからさ。みんながキャリアに対して前向きだと思っているのって、ある意味ファシズムですよね。悪いけど、それはないよ。

安斎:そうですよね。気持ち悪いということですね。

中原:気持ち悪い!

(会場笑)

学びは伝染する

安斎:でも僕も、処方箋は、さっき中原先生がおっしゃっていた「巻き込む」というか「強制的に連れて来る」とか、「読書会をする」とか(がいいと思います)。顕在的に「学び、おもろ!」とはなっていない(人な)んだけれども、「この読書会の時間は……意外に楽しい!」みたいな、そういう巻き込み方でもいいのかなと思っています。

中原:やっぱり「朱に交われば赤くなる」じゃないけれども、そういう人が少しでも増えたら伝染しますよね。

安斎:そうですよね。

中原:人って簡単に染まるから。

安斎:あぁ、わかるわかる。だからけっこう、組織変革もやっぱりキャズム理論的な……。

中原:難しいことを言うね! キャズム(Chasm)というのは「溝」だね。

安斎:正規分布的な……マーケティングの理論ですよね。iPhoneとかが……。

中原:頭良い人ぶってる(笑)。

安斎:ちょっとすみません、研究者っぽいムーブをしてしまうので。

中原:ムーブ!(笑)

安斎:iPhoneが出たての頃は、まだ本当に一部の人しか使っていなかった。イノベーターとアーリーアダプターとか、よく聞くじゃないですか。ああいう人たちが最初は5パーセントぐらいしかいないんだけど、16パーセントですかね。

中原:16パーセントと17パーセント(のあいだ)だね。

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