「無茶振り」のファシリテーションで鍛えられた
安斎:相当顔が青かったですけど、企業の方がたくさんいらっしゃる前で体調不良で帰られて。23歳、24歳ぐらいの時に自分がファシリテーションしなきゃいけないみたいな。その後もいろんなそういう無茶ぶり(?)および愛のある学習環境デザインをしてくださったおかげで、実践をしながら、そこでわかったことを論文に書くみたいなことをずっとやらせていただいたので、僕はめちゃくちゃ感謝しているんですよ。
中原:あ、ありがとうございます。まぁ、意図していたのか、非意図なのかはわからないけど。君たちには「早くステージに上がってほしかったな」って、俺は思ったな。
安斎:あぁ、なんか「もう、やっちゃえよ!」みたいな感じ。
中原:「やっちゃえよ! 大丈夫、死なねぇ!」とか言ってたんでしょ(笑)。
安斎:はい(笑)。そんなかたちで、すごくお世話になったんです。僕からすると、その時は企業とか組織の研究なんてまったくしていなかったので。(中原先生は)その中で企業内人材育成とか組織開発人材を先陣を切ってやられていたので、もう先駆者ですね。
中原:いやいや。ときどき、なんで俺を持ち上げるの?
安斎:先駆者として背中を追いかけていたんですけども。だんだんなんか、ちょっと……。
中原:「違うかな?」って(笑)?
安斎:いやいや(笑)。
中原:これね、みなさん。(安斎くんは)ちょいちょい反抗してくるんですよ。
安斎:(笑)。
(会場笑)
中原:例えば僕がLearning barをやっていた時に、「なんかLearning barって、最近予定調和ですよね」みたいなことを言って「反抗」するんですよ。ナメたことを言いやがるんですよ。
(会場笑)
安斎:そう。「これでよかったんですかね?」って。
“中原氏のフィードバック本を超えるものを書きたい”
中原:ちなみにこの本(『冒険する組織のつくりかた』)にも、最後にフィードバックのことが書いてあって、反抗してるんですよ。たしか「耳の痛いフィードバックなんてクソだ」みたいなことを書いていたよね?
(会場笑)
安斎:それなんですよ。だから僕は十何年の間、中原先生の遠い背中を追いかけながら「どうやって石を当てようかな?」って、ずっと考えていたんですよ。
中原:いやいや(笑)。
安斎:(笑)。
『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』とか、中原先生の膨大な著作の中には、すばらしい本がいくつもありますが、
『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』だけ、ネガティブなことがめちゃくちゃ強めに書いてあるから「ここだ!」と思って。
中原:(笑)。
安斎:それで僕は最初、実は『フィードバックの新作法』という、中原先生の『フィードバック入門』にケンカを売る本を書きたかったんです。
中原:ナメてるでしょ(笑)!?
(会場笑)
安斎:本当にそうなんですよ。それで「フィードバック本は、僕のほうが絶対に良い本が書ける」と思って。「突破口は、ここしかない」と思って、藤田さんにお声がけしました。中原先生の本を数多く手がけている(ライターの)井上(佐保子)さん(本イベントではモデレーターを務めている)をこっちに引き入れて。
(会場笑)
安斎:手の内を知っている人を引き入れて、「中原フィードバック本を越えるフィードバック本を書きたい」って。
中原:お前、自分のリソースで戦えよ(笑)。
安斎:(笑)。
(会場笑)
安斎:いやいや、これも組織的な重大なリソース。予算とかをいろいろ含めて(笑)。
中原:そうか(笑)。
『冒険する組織のつくりかた』ができるまで
安斎:それで編集会議を繰り返していた結果、僕のフィードバック(本の企画書)は、「ネガティブなところを指摘して行動改善する」というこの考え方自体が、あまりにも軍事的な世界観に基づいているということを、背景(について論ずるパート)でずっと書いていたんです。
そうしたら、ちゃんと健全な目を持っている藤田さんが、「これ、この話(冒険的世界観VS.軍事的世界観)で本を書いたほうがよくないですか?」と指摘してくださって。「中原先生にケンカを売っている場合じゃないですよ」って(笑)。
(会場笑)
中原:なるほどね。「お前なんか敵じゃないぞ」と(笑)。
安斎:そうです(笑)。目を覚まさせてくださいまして。なのでフィードバックの本じゃなくて、「軍事的世界観から冒険的世界観へ」という、ちゃんと学びを大切にする組織のあり方を書いています。でも一応痕跡として後半に、中原先生のフィードバックの本をちょっと批判しています。
中原:知ってる。
安斎:(笑)。
中原:本をもらった時に全部パーッと読んで、「めっちゃ俺のこと言ってるじゃん」って。
(会場笑)
中原:それで「どうしようかな?」と思ったんだけど、僕は「若い人は絶対に応援する」と決めているのよ。だから安斎さんは、「若い人カテゴリー」にいらっしゃるから、「絶対に応援する」なんです。
安斎:そうですね(笑)。
中原:応援することに決めてるんだ。
安斎:ありがとうございます。という寛大な配慮で、(オビに)中原先生から推薦までいただいてしまうという。そういう本になっております。
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