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指導が監視になっていませんか? 次世代リーダーを育てる!ティーチングとコーチングの使い分け(全2記事)

77%が「管理職になりたくない」時代に部下をどう育てるか 4タイプ別に見る指導方法のポイント

【3行要約】
・管理職になりたくない人が77%存在する現状で、入社時は出世意欲があるのに現実を見て意欲が低下するという問題が起きています。
・株式会社PDCAの学校の宮地氏は、業務が忙しい時こそ人材育成に着手すべきと指摘し、暇な時に育成できるという考えは誤解だと語ります。
・部下の4タイプ別に、ティーチングとコーチングを使い分けや指導する上でのポイントを解説しました。

ティーチングとコーチングで次世代リーダーを育てるには

宮地尚貴氏:今回は新ウェビナー「指導が監視になっていませんか? 次世代リーダーを育てる!ティーチングとコーチングの使い分け」ということで、管理職や経営層、あとは人事の方を対象としたWebセミナーでございます。

「次世代リーダーを育てるため」なので、リーダー育成のためのコーチング、ティーチングの使い分けの仕方というかたちになっております。短い時間ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

では、自己紹介と本題に移りたいなと思っています。株式会社PDCAの学校の宮地と申します。よろしくお願いいたします。私は主に営業と採用の2軸で活動しております。

営業の中で言うと、研修の販売というよりは、企業で人が育つ仕組み作りをどうやって構築していけばいいのかという上流の部分のご提案をさせていただきながら、企業に入り込んでリーダー育成の部分などをしています。

例えば「会社で等級のどういうふうに設計をしていけばいいのか?」「教育計画はどうやって作っていけばいいのか?」とか、そのあたりのサポートをさせていただいている者です。今日は短い時間になりますので、リーダー育成、ティーチングとコーチングの使い分けの基礎編というふうにとらえていただけるとありがたいなと思っております。

2025年は新ウェビナーを60個ぐらい増やしていこうという動きもございます。この続きやアドバンス版もどんどん実施させていただく予定になっておりますので、ぜひ今後もご視聴いただければと思っています。

今日の内容に関しましては、ティーチングとコーチングで次世代リーダーをどうやって育成していけばいいのか。使い分けの基準、おすすめの指標について。あとは具体的な手法と、主に3点を予定しております。ただ、この3つをお伝えさせていただく前に、問題提起という意味合いでいくつか情報提供もできればなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

管理職の多忙さを目の当たりにして出世意欲が低下

では、さっそくではございますが、プレゼンでありがちな「この数字は何でしょうか?」というところからいければなと思っております。日本能率協会マネジメントセンターの「管理職の実態に関するアンケート調査」の数字です。なので管理職に関係している数字にはなるのですが、この「77パーセント」は何を表している数字だと思われますでしょうか?

かなりざっくりとした質問ですので難しいと思いますし、私も逆の立場だと答えられないんですが、こちらはなんと「管理職になりたくない割合」を表しています。

2023年4月に1,000名の方を対象に取られたデータでございますが、なんと管理職になりたくない人の割合が77パーセントもいます。

なんとなくと言いますか、感覚的なところで「管理職になりたくない」という人が増えていることは、よくニュースとかでもやっていると思うんですよ。なので、このあたりは「ああ、なるほど」と感じられた方々も多くいらっしゃると思っています。

ただ、勘違いしていただきたくないのが、どうやら新入社員で入社した当初から管理職になりたくないというわけではないですね。なぜそういうことが言えるかというと、ちょっと別のデータを共有できればなと思っています。

「入社してから変わってしまった」ということで、新卒入社時の出世に対する考え方というデータがあります。平成30年に新卒入社した社会人の方の入社直後に対するアンケートを見てみると、なんと「出世したい」という方が52パーセントいらっしゃいます。

平成30年というと2018年ですので、社会人歴で言うと今は7年目、8年目ぐらいの方々を指します。その方々が入社した時の意識調査の結果で言うと、なんと「出世したい」という方が50パーセントいらっしゃったということです。

ただ、1,000名の一般社員の方に(アンケートを)とると、「管理職になりたくない」という方がなんと77パーセントもいらっしゃる。どういうことなのかというと、ほかの類似の世代もだいたいこのぐらいなんですよ。

むしろ30年ぐらい前よりも、入社時に「出世したい」と言っている割合が増えているところがあります。なので、キャリア志向はこういったところからも来ています。入社時点では出世意欲があるものの、入社後に現実を見て意欲がなくなるというパターンが圧倒的に多いと思うんですね。

次世代リーダーを育てるための4ステップ

今回は「次世代リーダーを育てていきましょう」という題材になっておりますので、御社内で指導の仕方にテコ入れをすることによって、リーダーもしくはこれからのリーダー候補の方が、「上に上がりたい」「自分も課長・部長といった立場につきたい」と思えるようなヒントをしっかりとお届けできればなと思っております。

「管理職になりたくない」というふうになってしまうと、やはり離脱の可能性もありますし、だんだんと生産性が下がって窓際社員になってしまったりします。あとは場合によっては、自分で限界を決めてしまってそれ以上(仕事を)やってくれないとか、いろんな懸念が出てきます。

なので、「管理職になりたくない」と思わせないためには4つのステップがおすすめです。まずは育成方法の根幹の部分を見直していきましょう。そして、管理職の右腕となる次世代リーダーを輩出するためにターゲットを決めていく。

あとは、そもそも管理職の働き方の改善や業務内容の見直しだとか、そういったことも必要になってくるのかなと思っています。大くくりで言うとこういったところですが、細かくはこのあとお伝えできればなと思っています。

業務が暇な時ほど人材育成が難しい理由

昨今、中小企業さまでよくありがちなのが、やはりプレイングマネージャーが圧倒的に多いと思っています。弊社の管理職研修を受けられている方々のお声としても、最初の研修段階でよくうかがうのが「現場が人員不足だ」ということです。

あとは、目の前の業務で忙しすぎて教えるどころじゃない。「自分でやってしまったほうが早い」と、こういった感覚を持たれている方は非常に多いのかなと思っています。ただ一方で、このタイミングでやらなければ、いつまで経ってもやる時ってないんだろうなと思っています。

どういうことかというと、たぶん多くの企業さまでは「(部下を)育成しなさい」と会社から言われているけどできていない時って、ある程度売上の調子が良かったり、会社の調子が良い状態のことが多いと思うんですね。売上が下がっている会社さまもあるかもしれませんが、経営的打撃まではいっていない状態だと思っています。

一方で、目の前の業務が暇だという状態の企業さまが「育成しようか」というふうになるかというと、おそらく「売上を上げないと」「なんとかして生産量を上げていかないと」とか、どうしてもそんなところに最優先で視点が向くと思うんですよね。

だからこそ、実は暇な時ほど人材育成をしている余裕ってない。「現場の業務が忙しすぎて、人材育成なんかしている場合じゃないですよ」と言います。ただ逆に言うと、業務が暇になったら人材育成できるのかというと、最優先事項としては「仕事を取ってこないといけない」というところが必ず上がっていきます。

「今、売上が上がっている」とか、会社がある程度調子が良い状態の時に育成に着手していかないといけない。暇な時に(人材育成が)できるかというと、それは大きな勘違いなんじゃないかなと思っております。

ですので、今日のWebセミナーをこうやってご視聴いただいている企業さまも、おそらく会社がすごく打撃を受けているとか、「なんとか売上を上げないとまずい」というよりは、「人材育成をどうにかしていこう」という状態だと思います。なので育成にしっかりと向き合えるように、トップも巻き込みながら周知いただければなと思っています。

「ティーチング」と「コーチング」の違い

では、ティーチングとコーチングで実際にリーダーをどうやって育成していくのか。ここをお伝えできればなと思っています。まず、そもそもティーチングとコーチングの違いの部分からお伝えできればなと思っていますので、具体的なコツに関しては後ほどお伝えします。

ティーチングに関しては、本当に必要な知識やスキルを教える。なので、与えるかたちですね。「どう思う?」といった投げかけで終わるというよりは、徹底的に情報を与えていく。考えさせるというよりは伝えていくようなかたちです。

一方でコーチングは「引き出す」という能力が求められます。なのでよく言われるのが、「相手の根っこにあるスキルを引き出して自律を促進するんだ」っていう、これまた難しい言葉を用いられたりもするのですが(笑)、重要なのは「教える」ではなく「引き出す」ということです。

「これまでにこういうことを教えたと思うけど、どう思う?」「じゃあこれを実務上に当てはめると、どういう工夫ができると思いますか?」というふうに考えさせる。本人の中の内省を引き出す、というふうによく言われます。

なので簡単にお伝えすると、(ティーチングとコーチングの違いは)「教える」か「質問する」かの違いかなと思っています。やはりケースバイケースなので、ティーチングが良い時もあればコーチングが良い時もありますので、部下の状態によって使い分けていただきたいなと思っています。

4タイプ別に見る、部下の能力に合わせた指導のコツ

(スライドを指しながら)4つのマトリクスに分かれていると思うんですが、縦軸がリーダー候補の能力(経験)。ご視聴いただいている方からすると、いわゆる部下の能力です。なので、部下の能力が低いのか、それとも部下に能力があるのかというのが縦軸です。

横軸が、部下が目の前にしている業務の難易度が低いのか、それとも高いのか。創意工夫があんまり求められないのか、それとも求められるのか。だいたいこのあたりで分けていただければなと思っています。

まず左下は、リーダー候補の能力が低くて業務も簡単。そうなると、もしかしたらリーダーに抜擢されないことのほうが多いとは思うんですが、そういった方には基本的に「教える」ことが中心です。わかりやすくお伝えしますと、リーダーの能力が高い場合は、ある程度自由度を与えたほうがいいと思っています。(部下自身に)考えさせましょう。なのでコーチングの割合が高くなっています。

リーダー候補の能力が低い場合も、考えさせるという観点は必要なんですけれども、考えさせすぎても不毛だという部分がどうしてもあります。答えが出てこなくて、時間だけを浪費してしまうことがありますので、基本的にはティーチングを中心にしていきましょう。

なので大まかなガイドラインとしては、このマトリクスを中心に考えていただくのがおすすめかなと思っています。

一番難しいのが、この(能力と複雑性の)割合が分かれている部分ですね。右下の部分と左上の部分をどういう基準で判断していくのか。右下の場合で言うと能力はまだ高くないんですが、けっこう複雑で創意工夫が求められる業務に取り組んでいきますので、ここは(ティーチングとコーチングの)併用が求められます。

一方で左上の場合で言うと、能力が高くて単純な業務や、ある程度複雑性が少ない場合は基本的には権限委譲してあげましょう。そして、進捗の確認のみを管理者や上位者が行っていく。

右上はもう完全に権限も委譲してしまって、定期進捗確認を行っていく。本人が行き詰まった時には質問を中心にした指導を行っていく。(育成のポイントは)だいたいこのあたりなのかなと思っています。これが1つの基準です。

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