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リーダーシップのキャリア市場価値〜マネジメント経験をキャリア形成に活かす(全4記事)

業界経験より管理職の経験が転職で活きることも 森本千賀子氏が語る“人を動かす力”のキャリア価値 [2/2]

社外に出ても通用するのかという不安

山田:もりちさん、ありがとうございます。今、リーダーシップは普遍的なスキルだとお話しいただきました。今、(参加者の)みなさんも自社で管理職として、しっかりとリーダーシップを発揮されていらっしゃると思うんですよね。

なんですけど、社内じゃなくて社外に出た時に、「あらためてキャリアの市場価値に置き換えると、どういう説明ができるのかな」みたいなところが、たぶんみなさんイメージが(しにくい部分なのかなと思います)。なかなか社外に出ることも少ないと思うので、ぜひ、そのあたりもお話しいただければ。

森本:そうですね。(リーダーシップは)仕組みを変えたり、チームメンバーのそれぞれが持っている力とか個性を引き出しながら、チーム力を足し算じゃなくて掛け算にして最大化するようなスキルです。

例えばですけど、たまたま午前中にお会いしていた方は、副業で高校のラグビー部の監督業をやっていて。彼が就任した時は、もう本当に弱小チームだったみたいなんですよ。

ずっと連敗が続いていたんですけど、今、就任して4年目ですかね。2025年の秋は勝ち進んでいて、都大会の優勝までいけるかどうかわからないですけど、もしかしたらベスト4ぐらいまでいけるんじゃないか、みたいなことを言っていて。

もちろん優秀な選手がいるのかもしれませんが、(話を)聞いていると、その方のチームビルディングが本当に秀逸なんですよね。

リーダーは統率型から伴走型へ

森本:統率型の強いリーダーシップで、上から「これしろ、あれしろ」って言うタイプの方ではないんです。そうじゃなくて、本当にチームメンバーの一人ひとりに自分の役割とかを考えさせる。

どちらかというと、先頭に立って「俺に付いてこい」みたいな感じのタイプではなくて、本当に伴走者っていうんですかね。伴走しながらペースアップしたり、ペースダウンしたり、メンバーの個性とかスキルとかに合わせて必要なものを提供していく。

だから、「リーダーのあり方も随分と変わったな」というふうに感じました。今はメンバーの個性を活かすというか、引き上げてあげるような伴走型だったり、サポート型だったり(が注目されています)。

今日は、たまたま山田さんもいづみちゃんも女性なんですけども。ある意味で、女性の持っている共感力とか協調性がものすごく活かされる仕事なんじゃないかなと思ったりします。

なので、もうトッププレイヤーやトップセールスで、自分のブランドや背中を見せて「俺に付いてこい」じゃない。

例えばいづみちゃんも、経理の経験がなくてもコーポレート、管理部門全体をまとめているって言っていましたけども、そういったことができちゃうし、逆に言うとそれが成り立つ仕事だと思っています。

マネジメントは立派なスキル

山田:もりちさん、ありがとうございます。お話をおうかがいしていてすごく感じたのは、管理職になる前の方もそうですし、セカンドキャリアを考える方もそうなんですけど、キャリアって聞くとどうしても、マーケティングスキルとか、エンジニアとしてのシステム的なスキルとか。何かができる、生み出せる状態をイメージしやすくて、そこにとらわれがちなんですけども。

普遍的なポータブルスキルとしてのリーダーシップって、場所とかシーンとかを限定せずに、人が活きる場所とか、人が力を発揮する場所、組織として何か大きなことにチャレンジしていく時に、どれだけ人の力を引き出すとか、人を活かしていけるのかっていうことが、チームとしての価値を生み出すっていう(力がある)。

システムエンジニアとかマーケティングとかと同じように、もう1つのスキルなんだなって感じて。「なんでマネジメント部がないんだろう?」みたいな(笑)。

森本:(笑)。

山田:本当に「1つの部署異動じゃん」ぐらいに感じましたね。

管理職経験が業界経験より重視されることも

森本:そうですね。特に私は人材紹介として、いろいろな経営者の方、特にマネジメントレイヤーの方の採用のお手伝いをしているんです。その時に、業界経験ってまったく問われないんですよ。本当にこれは顕著だなと思っています。

むしろ(業界経験が)あると、いろいろな先入観とか固定観念で縛られてしまうと。そういう人はもう社内にいるから、真っさらな状態で入ってきてほしいので、業界経験をまったく問いませんというご要望が随分増えたなと感じています。

おそらくですけど、今は医薬品メーカーが化粧品を売っていたりとか、小売業が製造業の役割も担っていたりとか、業界の垣根がなくなっているじゃないですか。

そういう意味で言うと、もしかしたら3年後、5年後には業界そのものの定義が変わっているかもしれない。なので、(業界の)スキルがあることで、逆にいろいろと制約になってしまう。

だからマネジメント採用においては、そういった(業界の)スキルよりも、一人ひとりの個性をしっかりと対話しながら引き出し、最大化することが求められていますね。

もちろん、例えばマーケティングの専門性を持っているとか、営業の専門性があるとすれば、その武器を使っていいんですけども。仮になくても、メンバーの中にそういう専門性を持つ方がいれば力を借りればいい。

なので孫(正義)さんじゃないですけど、“ザ・カリスマ”みたいな、何でもできちゃう方って世の中でそんなにたくさんいないし、そういう方を探そうと思っても、めちゃめちゃマーケットバリューが高くて採用なんかできないわけです。

そんな方を採用しようと奔走するよりも、メンバーの中で専門性がある人を育てればいい。というようなことで、育成力とかディレクション力とか、巻き込み力とか。(あとは)人間性とか、ヒューマンスキルとか。そういったキーワードが出てきますね。

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