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指示待ち管理職にうんざりしたら見るセミナー~自律自走を引き出す4つの実践法~(全2記事)

自社の「問題解決力」を高めるためにすぐにできる4つのアクション 現場が自走しはじめる仕組みとは

【3行要約】
・管理職に昇進しても適切な教育がなく、チーム運営ができない「名ばかり管理職」の増加が課題となっています。
・組織規模の拡大に伴い、マネジメント知識を体系的に提供する機会がない企業では、管理職の統制力不足が深刻化しています。
・経営層は役割定義の明確化、改善提案の仕組み化、管理職同士の1on1など、問題解決力を高める施策を導入することが重要です。

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“名ばかり管理職”が増えてしまう理由

宮地尚貴氏:管理職の責任や役割を策定する際のポイントとして、「会社の経営理念や行動指針に沿っているか」「部門目標との整合性があるか」「法的・倫理的に問題がないか」といった観点が挙げられます。

成果や結果、役割、行動、スキルといった分類に整理して作成していくことが望ましいでしょう。

こうした整理ができていないと、管理職研修も場当たり的になりがちです。例えば「最近ハラスメントが起きた」「これはまずい」「相談が来ているから早急に研修を実施しよう」という流れで、取り急ぎ「ハラスメント研修をやろう」となる。結果として、「会社として対処しています」という姿勢を示すだけで終わってしまうケースが多く見られます。

もちろん、何か問題が起きた時々で研修を行うこと自体は大切です。ただ、それだけでは不十分で、未然に防ぐためには計画的な研修や教育を行う必要があります。こうした計画的な取り組みを進める際には、職務記述書や責任・役割の整理が基盤になります。これがあることで、教育計画を明確な軸を持って策定できるようになると思います。

特に従業員が200名を超える会社では、社員のタイプも多様で、管理職が統制を取らないと組織がバラバラになってしまう恐れがあります。そのため、この規模以上の会社では、教育や研修の計画を策定しておくことが重要です。実際、今動いている企業でもこのような取り組みを進めているところが多い印象です。

一方、従業員が例えば50名以下、あるいは100名以下程度の企業であれば、教育計画が明文化されていなくても、日常の中で一定の統制が取れているケースもあります。ただ、規模にかかわらず、マネジメントの知識を会社として提供する機会がないと、管理職が良いチーム運営を行うことは難しく、いわゆる“名ばかり管理職”が増えてしまうことは避けられません。

そこでおすすめなのが、他部門との交流です。

他部署がどのようにチーム運営をしているのか、結果だけでなく「どんな点を意識して運営しているのか」といったプロセスを共有する機会を設けるのは効果的です。「こうした工夫でうまくいった」「このやり方は失敗だった」といったナレッジを評価とは関係なく共有し合うことができれば、学びの循環が生まれます。

また、利害関係のない場に送り出すことも有効です。例えば勉強会や交流会、研修などに参加し、他社の同じ立場の人と意見交換をすることで新しい発見があります。忙しくて長時間の研修に参加できない場合でも、短時間のマネジメントセミナーや交流会に送り出すなど、柔軟なかたちで学びの機会を提供するのも1つの方法だと思います。

自社の「問題解決力」を高めるためにすぐにできる4つのアクション

あとは、問題解決力を高める必要があると思います。そのために、会社として考えさせる機会を提供することが大切です。

今の会社が、例えば「5年後にこうした目標に向かっている」と示したうえで、「その目標に向かうにあたって部内で中長期的に当たりうる壁は何か」「今はなんとなく良しとされているが、より良い会社にするために解決すべき問題は何か」といった点を議論する機会、あるいは学ぶ機会を設ける。特に問題解決能力は、今の管理職に強く求められていると感じています。

社内ですぐにできるアクションとしては、先ほどお伝えした他部門との情報共有会が1つ目です。2つ目は、管理職の役割に改善提案を付与することです。例えば「週に1度は、課長から部長に改善提案を報告する」。この1週間の取り組みの中で「こうした改善が必要だ」と思った点を共有してもらいます。

些細なことから大きな仕組みづくりまで何でもかまいません。大きなことは毎週変えるものではありませんが、PDCAは日常で回しているはずなので、チームのPDCAを回す観点で週次の報告フローをつくっておくとよいと思います。

部長側も、課長にチーム運営を任せきりにして放置し過ぎないように、報告を上げてもらう流れを持っておくことが重要です。そのうえで「報告さえ上げてもらえれば、自由にやっていい」という運用でもかまいません。

例えば「この1週間、チームメンバーにテレアポを50件やらせていたが、うまくいかないので70件に増やす」といった些細な改善からでよいので、とにかくPDCAを、個人ではなくチームとして回すことを習慣づける。すぐに取り組める施策としておすすめです。

3つ目として、「意外に効果がある」と研修を受けられている方々からよくうかがうのが、社長からの推薦図書の配布です。社長が管理職向けに本を配り、月末に管理職同士で意見交換を行う。これは時間と余裕のある会社でよく取り入れられている印象があります。

メンバー育成のやり方はそのまま管理職育成にも使える

また、4つ目として、今では多くの会社で一般社員と管理職の間で1on1面談を実施していますが、管理職同士、あるいは経営層と管理職の間での1on1は、まだ圧倒的に少ないと思います。

若手育成にも共通することですが、若手が辞めてしまう、あるいは行動量が上がらない背景には、管理職側の意図が伝わっていない、目標を認識できていない、課題を理解できていないといった要因があります。そのため、管理職が若手と面談を行い、現状をすり合わせる機会を持つことは非常に重要です。

同じように、チームの運営方針については、管理職と経営層の間でも定期的に1on1で対話することが理想です。もちろん部門長会議のような場はあると思いますが、他の部門長がいる前では「実は自分の部内でこういう問題が起きていて……」とはなかなか言いにくい。プライドもありますし、周囲の目もあります。ですので、個別でじっくり話せる場をつくるほうが本来は望ましいのではないかと思っています。

社員の特性に応じてキャリアを選べる仕組みを整える

そして最後に、施策を浸透させる際のポイントとして、新しい取り組みを始める時には「主語」や「目的」を省略して伝えると、正しく伝わる割合は非常に少ないという点です。導入の意図、実施することで得られるメリット、そして進め方の参考例。この3点は少なくとも明確に伝達していく必要があると考えています。

そうしないと、管理職の方々もけっこう他人事になってしまいます。おすすめの伝え方の参考例としては、例えば次のようなかたちです。

「現在、各部門は目標達成に尽力していますが、部門間の連携不足や他部門理解の不足が全体最適の妨げになっています。管理職のみなさんには、自身の部門だけでなく会社全体の視点が求められます。

この問題を解決し、視野を広げて部門間の連携を強化するために、定期的な他部門との情報共有会を行います。これは会社全体で大きな成果を出すために重要な場です。他部門の業務や課題を知ることで自部門の役割を再認識し、部署間の連携を強化していきましょう。

広い視野で戦略的な判断ができるようになるとともに、新たな連携の可能性や部門横断的な課題解決のヒントも得られるはずです。他部門の管理職との関係構築にもつながります」。

このように、しっかりと背景や目的を含めて丁寧に伝えないと、意図とは違う受け取り方をされるケースがあります。認識の齟齬を防ぐためにも、導入時の説明は重要だと思います。

また、これは多くの方が理解されていると思いますが、念のためお伝えすると、役職やポジションを一度上げると、なかなか下げにくいのが現実です。いきなりの降格や減給は法的にも問題になる場合がありますので、そうした対応を取る会社は少ないと思います。ただし、納得を得たうえで入れ替えを検討することが、時には必要になるケースもあります。

マネジメントには向き・不向き、適性があります。最近では、1人課長や、マネジメントラインとプレイヤーラインを分けてキャリア選択肢を広げる企業も増えています。プレイヤーとして非常に優秀で、人の5倍の売り上げを上げるような人でも、マネージャーになるとパフォーマンスが下がることがあります。

本人が「やりたくない」と感じている場合は、単純に合っていない可能性もあります。ですので、個々の特性に応じてキャリアを選べる仕組みを整えることも、今の時代に合った方向性だと思います。

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