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「管理職の罰ゲーム化」からの脱却 ~マネジメントを“分かち合う”新常識~(全5記事)

部下が5人以上ならサブリーダーを配置する 管理職の罰ゲーム化を防ぐ“マネジメントを分かち合う”工夫

【3行要約】
・「管理職の罰ゲーム化」の風潮がある中、複数人でマネジメントを分担する「マネジメントシェアリング」が注目されています。
・実践企業では「ヒトマネ」と「コトマネ」の分担や、サブリーダーの配置など、多様な形態で導入しています。
・マネジメントシェアリングは単なる負担軽減だけでなく、「マネジメントとは何か」という根本的な問いを投げかけ、組織変革の第一歩となる可能性があります。

前回の記事はこちら

マネジメントシェアリングの実施例

話者7:我々は他にも、実際に(マネジメントシェアリングを実践している)2社にインタビューをさせていただきました。これは共にアイランド型です。

スライドの左側は、プラント会社さんです。以前は部長と部長代行が存在したそうです。部長代行とは、業務を明確にする意味や、会社として教育に関する横串を刺すことが目的で(作られた役職だそうです)。

左下にCDM(キャリアデベロップメントマネージャー)とあるのは、いわゆる人材開発の人ですよね。あと、「ヒトマネ」「コトマネ」でいうと、「ヒトマネ」が左側で、右側が「コトマネ」ということで、はっきり仕事をわけて運営されているとお聞きしました。

また、右側は姫路のメーカーさんです。こちらの会社では、リーダーにサブリーダーを付けるとどれぐらい効果があるかを測定しています。5人以上になったらサブリーダーを配置すると、すごく仕事が回り、次世代リーダーの育成につながるということです。そんなことを(マネジメント)シェアリングで行っていました。

(マネージャーが他者に)仕事をアサインすればマネジメントシェアリングかというと、ちょっと違うなと思っています。私の会社では、(スライドを示して)こういう目的で行われるのがマネジメントシェアリングかなと思っています。

今、少子化による人材不足や男女関係なく育児・介護によるキャリア中断が発生しているため、そんな社会環境の変化に対応する。それと同時に、今回のテーマでもあるように、マネージャーの仕事は「罰ゲーム」ではないけど、すごく大変なので軽減も図れる。しかも2人だから多角的に見られるので、マネジメントの質を下げずに向上させる。

そんなことを継続して行っていく取り組みが、マネジメントシェアリングの目的かなと考えています。

労働時間ではなく、業務内容で評価する

話者7:具体的には今、部門長の仕事を2名で、ツインズ型というかタンデム方式で行っていくということ。あと先ほど出ていたように、育児・介護でキャリア中断がされない仕組みを事前に準備すると。そして職場にいることじゃなくて業務で評価される。そこを狙っていきたいなと考えています。

その下に(書いてある、マネジメントシェアリングと業務の)相性の話は冒頭にもありました。マネージャーになるための教育を行うので現場で研修することはあります。けれども、うちの部門のそれ以外の業務、つまり設計や管理は別にどこにいてもできるので、うちの企業文化や業務でもいけるなと思っています。

これからの課題についてです。今回の実践はたまたま私の会社の2名に限定しています。けれどもそれだけではなく、「ペアの設定にはどういう相性があるんだろう?」というテーマはまだ調べ切れていませんので、そこを研究していく必要があるかなとか。

あとは、当たり前ですけども、やはり超勤ゼロ(の労働環境作りです)。超勤がある限り、なかなか他の人が代わりに仕事をできないので、その環境作りは継続していきたいなと思っています。あとは、まさに今言いましたように、時間に縛られない人事制度を作っていきたいと考えています。

現在行っているのは、(スライドの)上の④まであるんですが、①と②の「完全に在宅で仕事ができる環境を作っていきましょう」というところは、もう実際にやっております。

日本型マネジメントシェアリングの可能性

話者7:そして3つ目は、やはり情報の共有化はとても大切なので、今までは一方の人間にしか送らなかったメールも常に2名に情報共有しています。

あと、引き続き自部門で仕事を継続してもらいたいので、(うちの部署は)教育部門ですから、人材開発や組織開発のプロフェッショナルになるような学びの場をどんどん提供していきたいなと考えています。

うちの会社は4月から3月で1年間ですので、下期は10月から始まります。ですので、この下期は私の仕事をしっかり抽出して言語化して、一部分を少しずつ任せていきたいと思います。

彼女たち2人だけではなく、他のメンバーも含めて、「残業が当たり前」という文化を変えていくための取り組みをもうすでに始めております。

そして一番下に2つ書いてあるのは(中長期計画についてです)。ちょうど私どもの会社が2026年で現在の中期経営計画が終わるので、次の新規中計を2026年に作ります。

その中にしっかり「マネジメントシャアリング制度」導入のための業務レベル共有やマネジメントスキルのレベルアップについて目標設定を盛り込んで、自部門の中での実現をしていきたい。それを経営にも認めさせていきたいと考えています。

(スライドを示して)これが最後のシートになります。我々のチームでは、「組織や個人の相性・環境に応じて、いろんなスタイルがあるよね」と話し合いました。

今回は私の会社だけの情報にとどまりました。けれども今後は、私のところの経験はもちろんそうですが、同じようにタンデム(方式)のトライをしているところの情報を集めながら、チェックリストをぜひ完成させていきたいなと思っています。

私どもの発表は以上になります。ご清聴いただきありがとうございました。

マネジメントシェアリングが求められる背景

北村祐三氏(以下、北村):チーム「I Show You」のみなさん、ありがとうございました。

重光直之氏(以下、重光):ありがとうございました。

北村:それでは、3チームの発表を終えました。3チームの発表(を踏まえて)全体を通じてのまとめを少し弊社でやっていきます。重光さん、よろしくお願いします。

重光:発表はチームB、チームA、チームCでしたけども、チームA、チームB、チームC(の順番で感想を述べます)。

最初、チームAが言われていたことは、やはり(多くの企業でマネージャーは)現場を回すことだけで必死で、経営的な観点がすごく弱くなってきた。そこでマネジメントシェアリングをすることによって、戦略やビジョンまでカバーできるし、そこに向かっていかないといけないと。

要はそれは、「今は負担が多いから、軽くしましょう」じゃなくて、「今はそもそもカバーできていないよね」とか「役割を担えていないよね」という重要な指摘かなと思いました。

それに関する話はチームBでもありました。お話があったように、やはり上位の経営層になっている人たちは、スーパーマンに近い人たちなので上位に昇格しています。なので、マネージャーが業務をカバーできないことについて「何を言っているんだ?」みたいになります。

マネジメントに関する議論の出発点に

重光:けれども、チームAとチームBが言われていたように、今カバーできていないところをマネジメントシェアリングで担っていく。チームBが言われていたように、それが組織全体に広がっていって、イキイキ・ワクワクした組織になっていくということが重要なのかなと思いました。

チームCは、秋山さんが(代表して)発表されましたけども、実際に現場でやろうとしていらっしゃるので、すごく臨場感もあって興味深い内容だったかなと思いました。

やはり出発点は、今のこのままの状態では無理があるので、どうにかしていこうと(いうところから始まっています)。だから私も思うのは、マネジメントシェアリングは万能ではなく、すべてに効くとか、これをやればいいという解決策ではないんです。

けれども、これをやろうと思うと、「今、マネージャーは何ができていないの?」とか「そもそもマネージャーはどういう役割なの?」ということを全部見直す機会になります。なので、今日のウェビナーを機会に、ぜひ一度、社内で話し合っていただければいいかなと思います。

その時の反応は、「いや、何を言っているの? 無理でしょう」とか「そんな甘いことを言っちゃ駄目だよ」となるのか。(もしくは)「いや、おもしろいね。どんな可能性があるんだろう? すぐにはできないけど、何か考えられないかな」という、可能性を探っていくような反応になるのか。

やはり組織全体にも閉塞感があるので、これを機に、ぜひその2つについて考えていく。それはマネジメントシェアリングをそのまま入れるだけじゃなくて、権限委譲を進めたり、シェアードリーダーシップになったりするかもわからないですけども、ぜひそういう会話をしていただけるといいかなと思います。

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