【3行要約】
・「管理職の罰ゲーム化」の風潮がある中、複数人でマネジメントを分担する「マネジメントシェアリング」が注目されています。
・研究チームは日本型アプローチとして「ヒトマネ」と「コトマネ」の役割分担を提案し、マネージャーの負担軽減を目指します。
・“マネージャーがスーパーマンである必要はない"という考え方を組織に浸透させ、互いの強みを掛け合わせる文化づくりが求められています。
前回の記事はこちら マネジメントシェアリングを日本企業で導入するには
北村祐三氏(以下、北村):それでは続きまして、チームA、「可視化大好きチーム」から、「日本版MSの可能性と提言」ということで発表いただきたいと思います。
メンバーは、栢橋さん、志方さん、芝野さん、野崎さんですね。野崎さんはお二人目ですけども。よろしくお願いします。
話者6:よろしくお願いします。チームAということで、代表して芝野から発表させていただきます。メンバーはこのとおりです。
我々のチームはもともと、マネジメントシェアリングには非常に強い共感を持っていまして、ぜひ導入したいと。その中で、(今回の研究活動は、マネジメントシェアリング導入の)共感を高めるための説得材料にしたいと考えていました。
先ほど芝野さんがおっしゃったとおり、マネジメントシェアリングという考え方に非常に共感して、うちは4名のメンバーでチーム活動をスタートしました。
まずマネジメントシェアリングを一緒にやってくれそうな方への説得材料を作っていきたいなという思いがありました。リサーチクエスチョンである「効果的なMSを生み出す因果関係は?」というのを突き止めるために活動を行ってきました。
(リサーチクエスチョンに対する答えの)仮説として「『誰にMSを提案し、理解してもらうために【何】をしたら【どういう】効果がある。その理由は【具体的な根拠】である』ということを話せればいいよね」というところで取り組んでいきました。
その方法としましては、まず構成要素の棚卸しを行ってきました。「最終的なアウトカムは何か?」をまず定義した上で、その結果に直結しそうな中間アウトカムが定義でき、1つでも因果が成り立つことがあれば、それを説得材料にできるんじゃないかなと、研究を進めてきました。

棚卸しの視点の定義についてこのようなかたちで組み合わせ理論を考えてみたんですけど、非常に難航して、ここで立ち止まりました。
そもそも、「夢を語る」じゃないですけど、どんな世界にしたいかという世界観をあらためて共有しようということで、この研究会のテーマそのものを考えるところに立ち戻りました。
「管理職の罰ゲーム化」が起きる要因
話者6:ちょっと同じような話になってしまうんですが、あらためて「罰ゲーム化」みたいなキーワードになります。このスライドは研究会の中でジェイフィールさんから共有いただいたリクルートさんの資料です。やはり年代に応じて管理職の役割や期待値が徐々に変わっています。

全世代というか、みんなが持っている管理職に対する役割期待がずれているところも大きな課題だなと認識しました。(例えば)右の吹き出しにあるような「そもそも1人ではキャパオーバーをしている」というものです。でも、その中でも「管理職はスーパーマン。何でもできるでしょう」という前提を持っている方が多いので非常に破綻していると我々は捉えました。

(スライドのマトリクスの)右側が事業視点で、左側が組織視点です。上下で言うと上が経営視点で、下が現場視点ということで、この4象限に整理しました。
その上であらためてこういった世代間ギャップというか、先ほどのような時代変化も踏まえて期待値が増えてきたマネージャーに対して、現状どのように理解されているかを具体的にヒアリングしました。
我々が接触できる身近なマネージャーなので7名と少ないんですけども、ヒアリングをしまして、その意見をいろいろとまとめたかたちになります。
スライドの一番上のコメントは、経営側の視点というよりは、先ほどで言うと下段の現場視点が強いです。(本来の仕事量の合計が10だとすると、)メンバーマネジメントとPDCAマネジメントが5:5じゃなくて7:7で仕事をしており、合計が10を超えていて、実際はオーバーワークで非常に多忙だというところ。
業務が集中し、経営視点まで考えられない
話者6:2番目の方も、「(4象限の)上の段の経営視点まで考えるのは非常に苦しい」と。そもそもそんなにバランス良くやってきた上司や先輩がいない。先ほどの年代別で言うと、10年、20年前の方の多くはその役を担っていなかったので、「課長から見た部長や、その上の役職の方のイメージがうまく湧かない」とおっしゃっていました。
3番目は、「そもそも現場を任されているんだから、戦略・ビジョンにはフォーカスしていない。そこに必要性やニーズを感じていない」と。とは言っても、さらにメンバーマネジメント自体にも時間が取れないということで、PDCAの現場のオペレーションを優先しているということです。
最後の方は上の3つとは逆です。自分の組織の中にマネージャーを自分の裁量で2人置いていて、さらにメンバーマネジメントとPDCAマネジメントで役割を分けています。そうすると複数名のマネージャーが協力して組織を運営するかたちになります。その中で優先する大事な価値観を3人でしっかりと共有してコミュニケーションを取ることで組織を回しているというお話をいただきました。