【3行要約】・「管理職の罰ゲーム化」の風潮がある中、複数人でマネジメントを分担する「マネジメントシェアリング」が注目されています。
・マネジメントシェアリングについて研究したチームが、その経緯や成果をレポートします。
・これからの組織づくりでは、対話を通じた関係性構築を土台に、心理的安全性のある環境で「挑戦の循環」を生み出すことが重要だと提言しています。
前回の記事はこちら 関係性構築がマネジメントシェアリングの土台に
話者2:野崎さん、ありがとうございます。じゃあ、ここからは田中さん、野平さん、水戸の3人で、深めていった対話の内容について、このスライドで少し説明したいと思います。

まずジェイフィールさんから、インタビューで非常に貴重なお話をいただきました。インタビューというよりは、ジェイフィールさんのそれぞれの方々と我々「(チーム)IKI WAKU」の対話の場だったのかなと感じました。
すべての起点はスライドの右上のマネジメントシェアリングの開始宣言からスタートしています。経営のありたい姿に向けてマネジメントシェアリングしていくという、ボードメンバー3人によるマネジメントシェアリングがここから生まれています。
ボードメンバー同士の対話から始まって、メンバーとの対話があります。こちらをちょっとご覧いただくと、この中心にあります四角で囲んである「対話による関係性構築の土台」がマネジメントシェアリングの根幹の部分になろうかと思います。
安心、安全な場を作り、一人ひとりのありたい姿に、対話を通じながら向かっていく。そういうカルチャーをジェイフィールさん自身が実験的に取り組まれたという内容だったのかなと思います。
また、スライドの上は「関係を作り、ありたい姿」で、その下に沿っていくと、それに対するアクションが書かれています。さらにその下に進んでいくに連れて、会社の中でのいろんな変化や効果が書かれています。主体性、やりがいやスピード感が生まれたり、生産性も一部上がっていたりするんじゃないのかなと感じた、貴重な機会となりました。
我々はここの対話に関わらせていただきました。じゃあ、田中さん、野平さんから、実際にこの対話を通じて感じたことや気づき、あるいは価値が生まれる可能性など、ちょっと感じたところをそれぞれお話しいただいてよろしいですか? 田中さんからお願いできますかね?
「マネジメントとはこうだ」という思い込みを脱する
話者3:ありがとうございます。やはり私が今回のインタビューやその後のチームメンバーの対話で感じたことは、「マネジメントとはこういうものだ」という自分自身の固定観念を、対話という機会を通じて解きほぐすことができるんじゃないかと感じました。
どうしても1人で考えていると、「○○とはこういうものだ。以上、ピリオド」みたいな感じで、安易に自分自身で結論付けてしまうのはありがちかなと思います。けれども、やはりチームBのメンバー同士で対話をすることによって、メンバーから多面的な意見や新たな気づきをいただくことがありました。やはり自分自身がこのことを考え続ける後押しになったなと非常に感じております。
また、マネジメントシェアリングを行っていく上では、対話という要素は非常に重要なものだと私は考えております。水戸さん、以上です。
話者2:田中さん、ありがとうございます。すごく忙しいメンバーが時間を割きながら、我々は対話を重ねてきました。たぶんそこの価値を感じることができなかったら、あれだけの時間は取れなかったのかなと私は思います。ありがとうございます。
野平さんはいかがですか? またちょっと、いろんな感じたことを、ぜひお願いします。
話者4:ありがとうございます。先ほど野崎さんからもちょっと発表いただいたんですけど、私たちはだいたい1時間から1.5時間ぐらいのミーティングを隔週1回ぐらいで10回以上行わせていただきました。
その過程で生まれるものは、ただの役割分担やタスクの分担ではありませんでした。その時々で「誰がリーダーシップを発揮しているのか」といったことが変わっていきました。その中で自分たちはまさしくマネジメントシェアリング的なものをいつの間にかちょっと実践していたような機会だったかなと感じておりました。
やはりマネジメントやマネジメントシェアリングでは対話を諦めないでずっと繰り返していくのがすごく大切なこと、必要なことだなと感じた研究会でした。ありがとうございます。以上です。
マネジメントシェアリングによって生まれる3つの対話
話者2:野平さん、ありがとうございます。まさに我々は「会話」ではなく「対話」に軸足を置いて過ごしてきたと思います。
そして、いろんな業界の多様な価値観を持った我々が集まって、イキイキ・ワクワクと働ける組織や社会を作るところにマネジメントシェアリングの効果があるんじゃないか。その目的意識が我々の対話を深め、そして我々の関係性を作ってくれた。それこそが新しい価値なのかなと私も感じました。ありがとうございます。
話者1:ありがとうございます。では、アンケート、インタビュー、AIまとめ、再対話といった活動を経て、あらためて私たちのリサーチクエスチョンに対する仮説を見直しました。
7月の研究会内部の発表では、「マネジメントシェアリングを通じて、生み出される新しい価値とは何か?」というリサーチクエスチョンに対する仮説そのものを大きく更新することはできませんでした。けれども、「価値の循環プロセスを通じて、アップデートされた価値と新たに発見する価値」という仮説は維持しつつも、モデルを少しずつ調整しました。
その調整とは、スライドの循環プロセスにおいて、個人起点を重視しつつも、組織や会社が人のために環境を整えることで価値の循環がより力強く生まれるという考え方を加えた点です。

次のところにて、先ほどお伝えしました、個人、組織、会社、それぞれの価値がありますが、少し切り口を更新した部分が赤字となっております。やはり多様な意見やチーム内の対話を通じて、解像度が少しずつ上がってまいりました。

次のスライドにて、7月の研究会内部の発表を経て確認したのが、次の2点となっております。ただ、今はそこからも少しアップデートしました。高橋さんからお願いします。
話者5:本日の発表に向けてあらためてこの続きをチーム全員で考えました。短いながらも対話を重ね、出したまとめは次のとおりになります。
マネジメントシェアリングによって生まれる価値は、価値の循環プロセスを通じて、3つの対話が育まれること。3つの対話を通じてイキイキ・ワクワク働ける人が増え、そのエネルギーが職場を変え、やがて社会に連鎖していくと私たちはまとめました。
なぜ心理的安全が重要なのか
話者5:3つの対話とは、「安心の対話」「挑戦の対話」「共創の対話」となります。安心の対話は、安心できる土台という価値を生み出します。不在や休暇でも業務が止まらない安心感。対話によって余白が生まれ、支え合う関係性が育ちます。心理的安全が整うからこそ、個人は挑戦に踏み出せるのです。
ここで補足します。挑戦の後ろに「IKIWAKU」と置いた理由ですが、イキイキ・ワクワク働ける状況そのものが、挑戦だと考えたからです。難題に立ち向かうだけではなく、日々イキイキ・ワクワクと働くことも、また挑戦だと思いませんか。
次に、挑戦の対話は、挑戦が続くキャリアという価値を生み出します。マネジメントを分かち合う経験そのものが学びになります。シェアのために「なぜやるのか」を問い直すことで、新しい進め方を見つけ、それが実践と成長につながり、挑戦を続けることができます。
共創の対話は「広がるつながり」という価値を生み出します。個人の挑戦が共感を呼び、周囲に広がります。その動きは会社を超え、社会につながり、多様な挑戦が響き合います。ここから、未来を共に描く力が生まれるのです。3つの対話を重ねることで、価値の循環が生まれます。
話者1:では、最後のところをちょっと私から失礼します。3つの対話を重ねることで価値の循環が生まれるということです。つまり新しい価値とは、挑戦の循環です。無理を強いる挑戦ではなく、心理的安全性と成長の延長から自然に生まれる挑戦。その連鎖がイキイキ・ワクワク働ける個人を増やし、職場と社会を変えていく。

チームIKI WAKUは、マネジメントシェアリングを進める原動力を、心理的資本の観点から引き続きみなさんと一緒に考えていきたいと思っております。以上でチームIKI WAKUの発表を終わります。
話者2:ありがとうございました。
北村祐三氏(以下、北村):チームIKI WAKUのみなさん、ありがとうございました。
話者4:ありがとうございました。
北村:あっ、(チャットで)拍手もいっぱい来ていますね、ありがとうございます。