木下氏の失敗経験
僕自身が失敗した経験があるんですね。(僕は)ルールとかそういうものが好きではないタイプで、「自由にやっていきましょう」みたいな感じだったんですよ。ところが先ほど言ったような、優秀だけど価値観が合わない人が入ってきました。けっこう好き勝手にやるんですよね。
僕自身は正直、あんまり気にしていなかったんですよ。この人は、自分の価値観とかをけっこうわーっと言ったりする感じで、「うちの会社の価値観とあまり合わないな」と思ってはいたんですけど、その時僕は「彼の価値観でまとまっても別にいいのかな」と思っていたんです。
結局この人は、自分が1番になりたいだけの人だったんですよね。自分が1番になるために自分が努力をするんじゃなくて、既存のものを否定する。当時の僕は社長で、(その人は)No.2みたいな感じで入ってきたんですけども。
結局、自分が1番になるためにもっと良い価値観を出してもらって、「それは本当に良い話だよね」となればいいんですけど、単に僕の価値観を否定するだけみたいな感じで、すごく敵視されたんですよ。なんですけど、僕はぜんぜん気にしていなかったんですよね。

ところがこの人はあまりにも人望がなかったので、メンバーからすごく嫌われちゃったんです。彼はメンバーを自分の味方につけて社長を追い出そうとしたんですけど、メンバーが「あの人は社長の悪口ばっかり言っているんですけど」なんて愚痴を言ってきて、「え? そうなの?」みたいな。この人は自滅していった感じなんですけども。
この時に僕自身が反省したのが、「メンバーを迷わせちゃったな」とすごく思ったんですね。僕自身が、「こっちの価値観なんだ。この人が違う価値観だったら、それは違うんだ。こっちに合わせるべきなんだ」ということを、ちゃんと言っていないからそうなったんだなと。
そこから当社は経営理念や価値観の統一を図るためにマニュアルとかクレドだったりも、すごく徹底してやるようになっていった。「この価値観でやります。この価値観に合わない人は入ってこないでください」という感じでやることによって、一体感が出る組織運営ができるようになったかなと思っています。
「でも」「だって」が口癖の人は成長しない
次の「組織に入れてはいけない人」ということで、「『でも』『だって』人間」。何を言っても、「でも」「だって」と返すタイプの人ということで、素直さがなくて謙虚さがない人というのは、まず絶対成長しない。あとチームの成長も妨げます。
「価値観が合わない」ということになると思うんですけども。自分の人生は自分ではなくて環境が決めていると信じて疑わない人というのが、やはり一定の割合でいらっしゃると思います。「これができないのは僕のせいじゃなくて、周りの環境がこうこうこうだから、仕方がなかったんですよ」みたいに言う人は仕事そのものもそうですし、自分の人生もそうだし。
逆に言うと、こういう人でうまくいっている人は、その人が努力したんじゃなくて、「運が良かったんだ」という見方をしています。そうなってきた時に、「もっと仕事ができるようにしていきましょう」とか、「もっと自分の人生を良くしていきましょう」とアドバイスをしたところで、この人自身の考えでは、物事がうまくいくかどうかは「環境」なので。
「でもこうだから無理ですよね」とか、「でもだってこうですよね」みたいな感じになってくる。そうすると成長もしないですし、変化もしないよなと。正直、会っていても時間の無駄ですよねとなってくる。ここまで思っている人は宗教に近い感じに思っています。自分の人生は自分ではなくて環境が決めていると信じ込んで疑わない人とは、僕はまったく接点を持たないようにしています。
当社の場合で言うと、採用の面接の段階でこういう人は入ってこないので、社内でこういう人は基本いないんですけども。外にはこういう人もいらっしゃるので、こういう人とは僕は会わないようにしています。