メンバー・部下に本音で向き合い、人を動かす“令和版鬼軍曹的リーダー”の育て方(全8記事)
失敗を許す文化×体験学習 挑戦が生まれる人材育成 [2/2]
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タイプに合わせて指示を変える
田中:人に課題を何か与える時も、拡散性の人には「いいから、自分のやりたいようにやってごらん」と言うほうが能力を発揮する。でも、保全性の人はそういう曖昧な指示を出されるとものすごくストレスを感じる。もっと具体的にきめ細かく指示を出されたほうが保全性の人は能力を発揮する。
拡散性の人は、あまり細かいことを言われると縛られている感じがあって、そっちのほうがストレスを感じる。「やりたいようにまずやらせてよ」みたいな。
小澤:(笑)。
田中:それは人それぞれだから、それを理解して、何か指示を与えるような時でも、人によって接し方を変えるのが必要なんだなという。
でもそれって、うちらはFFSの診断を受けて、その結果をみんな数値化して理解し合っているからいいけど、実際の社会の中ではそんなことをいちいち数値化して、「自分はこれがいくつです」って、名刺に書いて渡すわけでもないので。
小澤:要らないですよね(笑)。
田中:それを名刺に書いて渡したらおもしろいなと思うんだけど。
小澤:(笑)。
田中:(初めて会う相手のことは)わからないので、だからそこは探っていって、「この人はこういうタイプなんじゃないかな?」と理解し合いながら人付き合いしていくとけっこううまくいったりして、また、それがおもしろいんじゃないかっていう気もします。だからまず人は違うんだよというのを、根本的に認めるというか理解したほうがいいかなという。
アウトドア体験を“研修”に取り込む
小澤:なるほど。今のFFS理論もそうですし、1on1や1toAllのコーチングをすることでメンバーの人材育成をしているという話をうかがいました。
さっきのラフティングの事例じゃないですけど、アドベンチャーレースじゃなくて、アウトドアスポーツの体験によってチームをトレーニングして、(そこから得た)学びや気づきを信頼関係醸成に活かすみたいなことって、取り組まれているんですか?
田中:そうですね。うちでも、ちょっとミニアドベンチャーレース的なことで、研修のプログラム的なのを提供したいなと思って、経験を積み始めているんです。(研修プログラムをする)中で、本当にみんなが和気あいあいと楽しんで、リフレッシュしてもらいながら、新たな人間関係の構築になっているなとすごく感じるんですよね。
郷司君と登壇した、前のHRカンファレンスの講演には、アウトドアのファシリテートを仕事にしている和田祐司さんというプロフェッショナルの方もおられました。
その中で彼は、社内の室内での研修と(アウトドアでの活動の)唯一違うところについて、「アウトドアの中でのアクティビティをやると、会社内の役職や上下関係のしがらみがなくなる」と言っていました。僕は「うわぁ、そうか、そのとおりだ」と思いました。
外に出てアウトドアで課題をして、「こんなチャレンジをしてください」。例えば「木登りをしてください」と言われた時に、会社内の能力は一切関係ない。
「えっ、どうするんだ?」という時に、会社の上司とか性別とかはなくなって、みんな「えっ、どう取り組もう?」みたいな感じになります。これはアウトドアの力だなと感じましたね。強制的に上下関係を取っ払えるみたいな。
小澤:要は、アウトドアに行くと経験や立場の壁が一気になくなるということですよね。確かにそうですね。
田中:しかも非日常的な空間だし、気持ちもリセットされるんじゃないかと(思います)。
信頼関係はすべての土台
小澤:そうですね。鬼軍曹的リーダーの話から始まって、パワハラリーダーや迎合型リーダーを場面場面でいろいろ使い分けていく必要性があるよねと、田中さんは今日おっしゃっていたと思います。
本当に、1つの正解があるわけじゃないんだろうなと僕も思っていますし、田中さんとしても、まだまだ成長中で、チームとしても学びの最中であるとうかがいました。
本当に、アドベンチャーレースだけじゃなくて、アウトドアは、立場や経験を取っ払い、人間同士でしっかりと話し合えて、考え合える土壌を作れるいいコンテンツなんだよっていうのを最後にいただいた気がします。
田中:そうですね。最初にも言いましたが、やはり基本は信頼関係を作るということです。お互いを認め合って、違いも認め合って、きちんと相手の人格を尊重して、しっかりと認め合うのが大事です。
その中で、アウトドアで活動すると、今までの社会の枠組みが一気に取り払われます。それはもう感覚的にも実感的にも、本当に非日常の空間というところで、取っ払うことができます。
非日常の共有体験がチームをつなぐ
また、その中で今まで経験したことのない変なアクティビティや課題を与えられて、それをみんなで取り組むっていう非日常の経験が、とにかく理屈じゃなく感覚にすごく残ると思うんですね。
僕もいくつか企業の研修をちょっとさせてもらった時には、やはりその後1週間、2週間、1ヶ月ぐらいは経験したことがずっと職場内で話題になったと。
小澤:(笑)。そうですよね。
田中:この共有体験もすごくお互いをつなぎ合わせるいい経験だなと(思います)。しかもちょっとインパクトのある刺激的な共有体験や共通の話題は、もうそれだけでもすごく価値があると思います。
僕がある企業でアウトドアの研修をやった時の話をします。その会社では1年目の新人さんと10年目の社員の研修を毎年やっているのですが、今まではやはり社内で部長の話を聴くみたいなことをやっていたらしいんですよ(笑)。
小澤:(笑)。なるほど。
田中:「おもしろくないんで」という話が社内であって、ちょっとつてがあって、うちのチームの拠点がある群馬県のみなかみ町に来てもらって、ミニアドベンチャーレースをやってもらったんです。そうしたら、今までおとなしくて社内でぜんぜんしゃべらなかった、入社して1年経つ19歳の子が、社内ですごくしゃべるようになったっていうんですよ。
小澤:(笑)。すごい変化ですね。
田中:ものすごい変化です。その子もやはりアクティビティを活き活きやっていて、すごく案を出してやっていましたね。火おこしを唯一成功させたチーム。
小澤:へぇ、すごい。
田中:だから、やはりそういう理屈じゃないマジックが自然のアウトドアアクティビティの中にあるなっていう実体験です。
小澤:ありがとうございます。最後に本当にいい具体例もお聞かせいただきましてありがとうございます。 続きを読むには会員登録
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