PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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難波:その上でどうするかなんですけど、課題を分離することが大事になります。これも先ほどの『嫌われる勇気』のアドラー心理学の考え方です。例えばギャップが生じていて、問題が発生している状態があった時に、上司として言うのか言わないのか。それは、上司側が選べる、自分の課題なんですよ。
一方で、言われた相手がどう受け止めるのか。「うっせえな、こいつ」と思うのか。「言ってくれてありがたいな」と思うのか。それとも、「いつも小言を言ってるな。スルーしよう」と思うのかは、上司側が選べないんですよ。
大村:なるほど。
難波:言われた相手が選ぶ、相手の課題です。なので、「言ったら嫌われるかもしれない」というのは、ぶっちゃけた話、「考えるだけ無駄」ということです。
大村:なるほどね。相手次第ですよね。
難波:そうです。だから、そこを考えている暇があるんだったら、言うべきことがあれば、ちゃんと言う。そして、相手にいったん判断を預けるということがポイントになります。ただし判断は相手に任せるので、言いっぱなしでいいかというと、そういうことではありません。「ちゃんと期待してあげましょう」ということです。
この人は改善できる、この人には気づいてもらえると信頼して、相手に対する期待を持ってフィードバックすることが大事になります。「どうせ言っても無駄だけど、とりあえず言っておく」みたいなのは、けっこう相手に伝わるんですよ。
大村:なるほど。
難波:数字としては、だいたい93パーセント伝わりますね。
大村:93パーセントの人なんだ(笑)。
難波:これは、「メラビアンの法則」というコミュニケーション理論です。人が矛盾したことを言っている時、口では「信じていますよ」と言っていて、顔は嫌そうな顔をしていて、声は「もう無理だろ」みたいなかたちで諦めた声を出している時、口で言ったことは7パーセントしか伝わらない。
なので、相手に対して「改善できるはずだ」という期待を持てないんだったら、言わないということです。
大村:確かにそうですよね。
大村:でも、改善できると思っているから言いたいんですよね。
難波:そうです。
大村:本当にダメだなと思ったら、声をかけないですものね。
難波:そうなんですよ。だから、少なくとも組織の中で働いてもらっている以上、一定の成果を期待しないといけないし、期待するはずなので、ちゃんと期待して伝えるということです。そして、「100パーセント自分の思いどおりの行動は期待しない」ことがポイントになります。
大村:はい、はい。
難波:これはアンガーマネジメントの考え方です。人は、自分のコア・ビリーフ、信念が阻害された時にイライラするんですよ。「世の中こうあるべき」「仕事はこう進めるべき」という、自分の「べき」が強すぎて、それを相手に押しつけたり、押しつけられたりすると、人ってイライラするんです。
だから、伝えるのは伝えるけれど、最終的な行動計画、どういう行動をするかは相手に預けるといったポイントは、必要かもしれないですね。
その上で、「感情を込めるが、感情的にならない」。無感情でロボットのようにコミュニケーションを取るのではなく、「あなたに期待していますよ」という前提で、コミュニケーションを取っていただきます。
その時に「込めるべきではない感情」は、先ほどチャットにもいろいろ書いていただきましたが、ギャップが出ている相手とコミュニケーションを取る時って、面倒くさいとか、「嫌われたら嫌だな」とか、いろいろ思うんですよ。でも、そのネガティブな感情は、だいたい自分に向いています。「嫌われたら嫌だな(私が)」なんですよ。
大村:はい。
難波:「忙しいのに面倒くさいな(忙しい上司の私が)」ということなんですよ。
フィードバックは相手のためにやるものなので、みなさん自身の感情、「自分がどう思われたいか」とか「自分がどうしたいか」よりは、「相手にどうなってほしいか」という、相手軸の感情でコミュニケーションを取ることがすごく大事になると思います。
難波:「真剣に職務に取り組む」というのは、一言でいうとこれです。フィードバックする時には、「お前が言うな」と思わせない。これは、けっこう大事なポイントです。ネットスラングだと、「おまゆう」といいます。
大村:「お前が言うな」ということですよね。
難波:そうです。だから、例えば「うちの部門には変革と挑戦が必要だ」みたいなことを言いながら、何の変革も挑戦もせずに、役員の顔色だけ見ながら媚を売っているような管理職がいたとしたら、その人の言うことなんて、誰も聞かないんです。絶対に聞かないんです。なぜならば、「お前やってねえじゃん」という話ですね。
大村:なるほど。
難波:なので、「スーパーマンであれ」という話ではなくて、例えば「変革と挑戦が必要だ」と言うんだったら、少なくとも変革しようともがいているとか、挑戦しようと思ってがんばっているとか。そういった姿勢を、少なくとも見せるところはすごく大事になります。
例えば、私の場合は「人間は何歳からでも変われますよ」とキャリア理論でお伝えするんですけど、「なぜならば、私も45歳からランニングを始めて、年間3,500キロメートル走っています」みたいなことを言います。体重も、当時に比べると20キログラム痩せているんですよ。そうすると、「できない理由」は言いにくくなるところがあります。
何でも構わないんですけど、仕事上でも人に何かを言うからには、自分がそういうスタンスをちゃんと見せることが大事かなと思います。
大村:実はこれも質問があって、「自分も完璧にできていないのに、こんなことを言うのはおこがましいと感じてしまう」という方がいらっしゃいます。
難波:その点に関しては、最近のリーダーシップ理論で、「オーセンティック・リーダーシップ」があります。「自分らしいリーダーシップ」という意味合いです。弱みもちゃんと見せるということです。「私も完璧じゃなく、できていないところがあるけど、こういったことは必要だと思う。私も一生懸命勉強しているので、一緒に勉強しよう」ということです。
大村:なるほど、それは聞き入れやすいですね。
難波:「俺はやっているけどね」みたいな話じゃなくて、「自分も不完全なところはあるけど、一緒にやっていこう」という話をちゃんとするということですよね。その点では、「自分で決める」というところがあります。最終的に、こういった耳の痛いフィードバックって、みなさん言いたくないので、言い訳しちゃうんですよ。
「上から言われていてさ」とか、「人事から言われていてさ」とか、「嫁さんから言われていてさ」とか。誰かのせいにしたくなるんですけど、そういった言い訳付きのコミュニケーションは、間違いなく伝わりません。「言いたくないんだったら言うな」という話なんです。「自分が必要だと思った時だけ言う」ことのコミットメントは要るかなということですね。
大村:なるほどね。
難波:「言いたいけど言えない」ということじゃなくて、「言いたいことだけを言う」という感じかもしれないですね。
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