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あなたの会社のエンゲージメント指数は本当の実態を示していますか? ~組織における”静かなる分断”を超える3つのアプローチ~(全4記事)

“静かな退職”はなぜ広がる 対話不全が生む“心の離職”

【3行要約】
・人的資本経営の重要性が叫ばれる中、現場では「静かな退職」や管理職の罰ゲーム化など、人と組織の関係希薄化が深刻な問題となっています。
・コンサルタントの高橋克徳氏は、90年代以降の「断ち切る経営」とコロナ禍による価値観変化が対話不全を生み、職場の閉じこもり現象を加速させていると指摘。
・組織内のつながりを再構築するため、表面的なやりとりを超えた本質的な対話の場を意識的に作り出すことが求められています。

人的資本経営の進展と現場に広がる違和感

高橋克徳氏:今、転換点に来ているかなと思いますので、そのあたり、今日はじっくり話をしていきたいと思います。

問題意識からなんですが、人的資本経営みたいな話で、人を大事にした、あるいは人に対してしっかり投資をして、いい人材を作ることが会社の競争力を作っていくという動きもどんどん強くはなってきています。

ただ人事の方にお会いすると、人のためだと思ってやってきたものが、株主のために報告書作っているみたいになっているとか、エンゲージメントの調査をやっていて、数字上はいいのに、聞こえてこない声があるような感じがしていて、(数字が)本当の実態を表してるのかよくわからなくなってきたり、本当の声を上げてくれているんだろうか、という疑問が出てきたり。

そういう中で、早期退職だとか静かな退職だとか、管理職が罰ゲーム化しているんじゃないかとか。こういう今の状況が人を追い込んでいないか、あるいはそこから心が離れている人を作っていないかという。こんな問題意識が広がっている感じがするんですね。

人と組織はどういう関係になったらいいのか。なんとなくお互いのつながりがうまく見えなくて、その中で関係を諦めていくような状況が生まれてきていないだろうか。私たちはそこに対して強い問題意識を持っています。


日本の満足度は世界最低水準 「はっきり肯定」は1割

実際に調査をしてみると、仕事がおもしろい、充実している、に対して「そう思う」「ややそう思う」という人たちを合わせると4割ぐらいなんですね。職場が楽しいとか、会社が好きとか合わせると5割弱です。ただし、日本人ってすごく強い肯定を言いにくいという性質を持ってはいるんですが、「そう思う」とはっきり答えている人は、1割なんです。

これはギャラップがやっているエンゲージメント調査の結果ともそんなに変わりません。日本全体で見ると6パーセントぐらいですかね。世界の中でも最低水準になっています。



エンゲージメントというのは、もともと約束、契約、婚約、そういう言葉から来ています。本当にそこ(職場)に強いつながりを感じるからこそ参加をしたいという、自分たちで肯定的にそのつながりを維持していきたいという思いを持って働けている人は、たぶん今は1割ぐらいしかいないのかもしれません。

対話不全が生むフィードバックの欠乏と“閉じこもり”

じゃあなぜそうなっているのかなというところで、これは僕が本の中で言ってきたことではありますが、やはり閉じこもる働き方をしているのが原因だと思います。そういう中でお互いが見えなくなって、対話や議論ができない。ますます閉じこもっていく。何が良くないかというと、閉じこもる働き方をしていると、お互いいいフィードバックを返してもらえない。

がんばっていても「よくやってるな」とか「すごいね、ありがとう」と言ってもらえない。だから、働く喜びが見出せなくなっている。そんな中でお互い見えないから、ちょっとしたことで、「手伝おうか」とか「大丈夫?」という声がかけられなくなる。そういう中で一緒にやっている感を持てない、本当の仲間という感覚が持てなくなる。

そこで対話ができない、議論ができないと「もうこれはさすがにやめたほうがいいよね」「これはどうしてやる必要があるのかな」とか、みんなで話さなきゃいけない大事なことにすら触れられなくなっていく。その仕事への思いや仕事で志が湧いてこない。こういう悪循環ですよね。それがますます閉じこもっていくということが起きていたんじゃないだろうか。

その背景に何があったかというと、ちょっとこれは後で(本を)見てくださいということですが。

(一同笑)


90年代以降の“断ち切る経営”が残したもの

僕がコンサルタントになったのは1991年なので、そこから35年近くになります。ある意味で抱え込む経営の中で、関係が馴れ合いやしがらみになっていた。それが負の遺産を生んでいたから、そういう意味ではそこを断ち切る必要はあったと思うんですけども。

それ以降やっていることは、個人個人がんばりなさい、数字を目指してがんばりなさいということです。協力するよりも自力で成果を上げることを求め続ける。そこでまたいろいろなリスク対応やコンプライアンスがあって、情報を閉じていく。そういう世界がどんどん生まれていった時に、つながっていたものをどんどん断ち切ってしまったという背景があると思っています。

長い間かけて、人と組織とか、人と人との関わりとか、上司と部下との関係性とか、そういう大事なものが失われていったり、あるいはそれをもう1回問い直して作り直すことができなくなってきたんじゃないだろうか。

ここに来て、人的資本経営とか、ジョブ型とかキャリア自律とか、いろいろな言葉が出てきていますが、本当にそれを前向きに受け止めきれているんだろうか。それをやることで、お互いの関係性がより良くなって、会社という場所をより良い場所にしたいと心から思える。そして、そこに強いつながりを感じて、自ら動き出すような人たちが生み出される状況になっているんだろうか。そこを考えなきゃいけない時が来たなと思っています。


コロナ後の価値観変化 会社中心からの離脱

実際コロナになった後は、いろいろな価値観が変化したと思うんです。25パーセントの人たちが、「仕事は、お金や生活のためだと割り切る気持ちが強くなった」と回答しています。それから、「リモートワークの働き方を中心にしたい」とか、もっと自分の時間とか家族の時間を増やしたいと思うようになった。

ある意味、いい気づきだったようにも思います。会社中心、仕事中心で、それがすべてだった。そういう中で、息苦しいなとか、自分らしく振る舞えないなと思っていた人からすると、もっと違う生き方があるかもしれない(と考える機会になった)。

一方で、「会社という場所をそれほど重視しないほうがむしろ楽になるかもしれない。そのほうがより良く自分が生きられるかもしれない」と思い始めた人たちもいます。これは決して悪いことじゃないような気もします。

だからこそ、つながりがますます難しくなってきているという現状があるのかなと(思います)。今まではその違いがあっても、どうにかごまかしながらやりとりしていたものが、「もうその違いがあるから触れられないな」とか「向きあえないな」とか「対話できないな」という感情を生み出していないか。

でもそういう中でも仕事は動いていくから、その気持ちがあったとしても蓋をしたまま、表面的なやりとりはしっかりやっていく。そうするとますます大事なところには触れられない、向きあえない。だから距離を置いていくという状況を生み出している。

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