月次評価面談を行うことで得られる6つのもの
月次評価面談は、評価の認識のすり合わせ。「何をがんばれば今いいのか」「どうすればいいのか」をしっかりとすり合わせていく月次の面談です。行うことで得られるものが、大きく6つあります。
「評価認識」「ギャップの早期の解消」「目標の進捗の可視化と軌道修正」「部下との信頼関係の構築」「目標達成に向けたタイムリーなフィードバック」「部下のキャリア支援」「チームビジョンの共有と浸透」などです。
上司として、部下の評価が上がるのはけっこううれしいと思うんですよ。そこにつながってくるのが月次の評価面談ですし、部下の評価が上がるということは、要は部下が目標達成に近づくということだと思うんですよね。
プレイングマネージャーの方が多くて、「実務中心なので、部下の育成にそこまで時間を割くことができません」という方々も多くいらっしゃるとは思います。ただ、報告文を上げてもらうのか、それとも面談をするのか。最低限何かしらのツールで、部下とのコミュニケーションの機会、コミュニケーションが取れる材料、素材を集めていく必要があるのかなと思っています。
「部下の成長を支援すること」も評価者の役割
なぜなのかと言いますと、評価者と言われる方々の役割の中に入っているのが、会社の目的・目標の達成とか、売上の向上が1番に入ってくるとは思うんですけども、「部下の成長を支援すること」です。
今いる人材で最適な成果を出していくために、自分1人だとどうしても限界が出てくるので、部下を成長させていくのが絶対的に役割として入ってきています。
「自分がやればいいか」というのもやはり長く続かないので、自分のキャパがいっぱいになったら、「じゃあ後はどうするんだ」と(考えないといけない)。それ以上広がりがなくなってしまうんですね。
やはり部下の成長を支援していかないと、なかなか事業が大きくならなかったりですとか、頭打ちになってしまったりというのが経営者からも言われているところではあると思います。なので、部下の成長をしっかり支援していくことが一番重要なのかなと思っています。
そのために、コミュニケーションの機会を増やしてほしいということで、月次面談があります。
部下が評価面談に求めていること
(スライドを示して)部下が評価面談に求めていることもお見せできればなと思うんですが、だいたいこのあたりです。
「納得感のある評価、公正な評価」「目標達成に向けたアドバイスと、行動改善につながるフィードバック」「成長時間の確認と承認」。「承認欲求が」というところは、特に20代の方はよく言われていますね。
あとは「キャリアについて」です。今の仕事は自分の先々のどこにつながっているのか。今年(2025年)も新入社員研修を全国各地で行っているんですけども、新入社員の方々って、目先、目の前しか見えていない方が非常に多いです。目の前の仕事の合う・合わないで、自分の適性を判断していく。
しかも、今は自分に都合のいい情報がSNSなどを通じて入ってくると思うんですよ。転職の情報が流行りのSNSで挙がっていたり、「退職代行が」という情報が挙がっていたり。
そういうのを見て、例えば「まだ入社1ヶ月ぐらいしか経っていないけども、このままずっといるよりも、早く見切りをつけてしまったほうがいいんじゃないか?」ということで退職をしてしまって、だいたい後悔する。もちろんいい道をたどられる方も中にはいらっしゃるとは思うんですけども、後悔する方がやはり多い印象があります。
それはやはり、目の前しか見えていない。逆を言うと、その先を上司が見せることができていない。
曖昧なフィードバックには曖昧な行動改善しか生まれない
今年(2025年)も実際にあったのですが、「作業中心の仕事は僕には合わないです」と(いうことで退職してしまった例があります)。
ただよくよく聞いてみると、(会社としては)ものづくりの会社なので、会社がどういう過程でものを作っているのかとかを、2週間というジョブローテーションのタイミングでしっかりと体感をしてほしかったと。
(そこで実際に)配属までにいろいろな部署を回って、そのうちの1つでしっかり作業に携わる瞬間があった。そこで新入社員の方が、そこの業務に従事をして、「いや、自分にこれは合わない。これがずっと続いていくなら無理だ」ということで、実際に退職を志願したというお話もありました。
新入社員の方はもちろん「今だけ」とちゃんと認識する必要があります。少し考えればわかるところではありますが、そうでない方も一定数いらっしゃるので。
(スライドを示して)せっかく会社として採用したので、そういう取りこぼしをなくしていくためにも、4番の今の業務はどこにつながっているのか。キャリアについての意図・意義みたいなところは、特に重要になってくるのかなと思っています。

他のデータで見ても、「評価基準の明確化」とか「フィードバックの仕組み強化」「評価フローの自動化・効率化」「目標設定と評価を紐づける機能」などが求めることとして挙がってきておりますが、やはり「評価基準の明確化」「何が評価されているのか」「どうすればいいのか」みたいなところは、しっかりと伝達してあげる必要があるのかなと思っています。

なので、日々のフィードバック。「部下育成でフィードバックが重要ですよ」という話も多く挙げられているとは思うんですけども、曖昧なフィードバックをすると、曖昧な行動改善しか生まれていきません。ですので、目標達成に向けてアドバイスする時は、納得感のあるフィードバックが重要かなと思っています。
「よくやっているね。成長したね」とプラスなフィードバックを行う時も、「努力が足りないですよ」とかマイナスなフィードバックを行う時も、具体的にどういうところを改善すればいいのか? 具体的にどういうところが良かったのか? このあたりを、上司としてしっかりと伝達してあげる必要があるなと思っています。
新入社員には具体的なキャリアをある程度会社として提示する
いろいろ部下が求めることは多岐にわたるんですが、特に言われているのが、キャリアについてですね。
今、特に中小企業だと、人材の確保に一定の難しさがあると思うんですね。なので、今いる人材にいかに長く働いてもらうかとか、いかに戦力化していくかは、けっこう会社としての命題みたいなところもあると思っています。
そうした時に、従業員のキャリアを作っていくのも会社の責任にもなっていますし、会社に代わって日頃指導をする管理職が、部下のキャリアを作っていくのもやはり責任になっているんですね。
キャリアの話はすごく最近よく聞くようになっていますが、今後の自分にとってどのように有効なのか、重要なのか。先々どうなってほしいのか。
「キャリア」という言葉は重要と(いう話題が)挙がってきていますが、新入社員のだいたいの方がキャリアを描けていないので、ある程度会社として提示していく必要があると思うんですね。
「1年後にはこうなってほしいし、3年後にはこうなっていてほしい。5年後にはこうなっていてほしい。じゃあそのために、まずは今、これをしっかりとやってほしいんですよ」という、先々から降ろしていったフィードバックを月次でやっていって、(その理想に)近づいているのか・近づいていないのか。
3歩進んで2歩下がるみたいな方が多いと思うので、「ここは良くなったけど、ここはちょっと改善しないとね」ということを何回も何回も伝え続けていかないと、改善に向かえない方は非常に多いのかなと思っています。