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社長へ捧げます!動かない管理職を変える「管理職を超行動的にさせる」セミナー(全2記事)

経営方針に“今は人が足りません”と言い訳し、施策を止める管理職 “アメとムチ”でも“評価で縛る”でもない、方針を現場リーダーに浸透させる仕組み

【3行要約】
・チームの成果を左右する管理職が十分に機能しないことで、組織全体のパフォーマンス低下が深刻な経営課題となっています。
・管理職育成の専門家である浅井隆志氏は、現在多くの管理職が「食わず嫌い」の姿勢や部下育成の実態が伴っていない問題を抱えていると指摘します。
・企業は「アメとムチ」ではなく、人が行動に至る3つの壁(認知・判断・行動)を理解し、段階的なアプローチで管理職を変革すべきです。

経営方針に“今は人が足りません”と言い訳し、施策を止める管理職

浅井隆志氏:さっそく本題に入ります。私は今、企業に深く入り込み、管理職や経営幹部に伴走しながら、成果の出し方、部下の育て方、組織改革の進め方までを現場で支援しています。

成果が出ないチーム長、いわゆる管理職には共通する特徴があります。新しい試みに拒絶反応を示し、やる前から否定するのです。本音を言えば、やって意味があるかどうかは、やってみないとわかりません。

ラーメン屋に入って、その一杯がうまいのかまずいのかは食べてみないと判断できない。だからまず食べてみましょう、とお伝えするのですが、食べる前から「自分には合わないと思います」「うちの会社には合わないと思います」と言い訳をする。典型的な“食わず嫌い”です。

もう1つ、多いのが「部下を育成している」と口では言いながら、実態が伴っていないケースです。私はコンサルティングの過程で、幹部、管理職、中堅・一般社員まで階層ごとにヒアリングします。すると管理職は「現場でしっかり指導しています」と言うのに、部下側は「言われることが抽象的で曖昧。教わっている実感がない」と答える。このギャップが非常に多いのです。

それから、会社の問題を口にしながら自分では解決に動かない管理職もいます。例えば社長が方針を示した時に、「いやぁ、わかりますけどね。ただ、今は人の問題があるので無理だと思います」といった反応をするのです。

本来、管理職の役割とは、社長や役員、あるいは部長クラスが考えた事業の方向性をどう実行していくかにあります。それにもかかわらず、「現場がこうだから」と批判で止まってしまう。

批判すること自体を私は否定しませんが、批判の後に「だからこうするべきだ」と解決策を示してほしい。ところが批判して終わりという管理職が非常に多いのです(笑)。ここをどう変えていくのかが大きな課題です。

管理職を動かすのは“アメとムチ”“評価で縛る”ではない

では、そもそも人はなぜ動くのか、そしてなぜ動かないのか。その点についてお話ししていきたいと思います。

私たち人間はまず情報をキャッチします。情報とは五感を通じて得られるもので、視覚や聴覚、触覚、さらに味覚や嗅覚などを通じて外部から取り込んでいきます。この情報を基に認知し、判断し、そして行動していくわけです。

運転免許を取る時に「認知・判断・操作」という言葉を学ばれた方も多いと思いますが、あれと同じです。情報を収集して認知し、判断し、最後にアクションを起こす。人間の行動はこの流れで成り立っています。

ところが、行動につながらないのにはいくつかの壁があります。最初に、情報があっても認知しないという壁です。情報に触れているのにシャットアウトしてしまうことがある。人間はすべての情報をストックするとパンクしてしまうため、忘れるように機能しているからです。

次に、認知はしたけれど判断に至らないという「判断の壁」があります。そして判断をしたのに「面倒だ」とか「やり方がわからない」といった理由で行動に移さない「行動の壁」も存在します。

つまり、動かない管理職に対しては、認知の壁をどう越えさせるか、判断の壁をどう越えさせるか、そして行動の壁をどう越えさせるか。この3つの観点でアプローチを考えることが重要なのです。

「管理職が動かない? 叱りつければいい」とか「アメとムチで管理すればいい」「評価で縛ればいい」といった発想ではなく、それぞれの壁に応じた対処を取る必要があるのです。

「認知の壁」を乗り越えるポイント

ここで少しスライドをご覧いただきます。

今ご覧になっているスライドの中で、黄色の文字がいくつあるか数えてみてください。はい、だいたいカウントできましたかね? では、同じスライドの中で緑色の文字はいくつあったでしょうか。おそらく答えにくいと思います。

瞬間記憶のような特別な力がある方は別として、私たちのような普通の人間は、意識していない情報は目に入っていても記憶に残りません。情報そのものは存在しているのに認知できない。これは意識の向け方によって決まります。つまり、認知の壁を乗り越えるかどうかは、興味があるかないかでほとんど決まるということです。

街中を歩いていても、看板はたくさんありますが、自分の関心があるものだけが目に入り、興味がなければ見ていても気に留めません。同じように、部下に対して興味を持っていない管理職は少なくありません。経営者層であれば社員は売上や利益の源泉ですから当然関心を持ちますが、管理職は自分の仕事で手いっぱいになり、部下に無関心になりがちです。

ですので、まずは部下に興味を持たせることが、動かない管理職を動かすための第一歩になります。

評価面談に役員が同席すると、管理職の指導が具体になる

では人はどのようにして興味を持つのか。

これは成功体験がきっかけになります。例えば、ふだん気にも留めなかった飲食店に入って食べたラーメンが驚くほどおいしかったとします。そうすると、「次も別の店で思わぬ発見があるかもしれない」と思えるようになる。こうした前提の経験が興味を広げていくわけです。

つまり、部下を教育したり育成したりして成果を出す成功体験を積ませることが、管理職の興味を引き出す1つの方法です。最初は強制的に取り組ませる必要がある場合もあるのです。

私はこの考え方をよく強調していますが、最初は強制的にでもやらせることが重要です。強制的に取り組ませても、手応えを感じた時には大きな喜びにつながり、それを繰り返そうという気持ちが芽生える。そうして興味が生まれてくるという、人間の脳の働きがあります。

具体的に言うと、管理職が部下にどのような指導や教育をしているのかを、上役である社長や役員のみなさんが直接確認することが大切です。

中間管理職が現場でどんな指導をしているのかを見て、「いい指導をしているね」と伝えたり、「ここは少し改善したほうがいいよ」とフィードバックをしたりする。こうした「指導への指導」が非常に重要です。

実際にはそこまで見ている上役は少ないのが現状です。わかりやすく言うと、課長が課員と面談する時に同席して、面談後に「○○課長、あの面談はとても良かったですね。ここはさらにこうするといいですよ」と伝える。そうやって手応えを味わわせ、興味を持たせていくことが効果的です。

評価軸に「部下の成長」を入れると、管理職の指導が目に見えて変わる

もう1つ大事なのが、興味だけでなく「重要度」を高めることです。

人は興味のあることに注意が向きますが、重要だと認識したことにも自然と目を向けます。

極端な例ですが、「今日中に街中でペットボトルを100本拾ってください。もしできなければ丸坊主にします」と言われたら(笑)、急にペットボトルが重要な存在になり、一生懸命探すはずです。ふだんなら転がっていても気にも留めないのに、重要度が高まれば必死に探すようになる。

つまり、部下を育成することや指導すること、面倒を見ることに「重要な意味付け」をしてあげることが必要なのです。管理職を評価する時にプレイヤーとしての成果だけでなく、チームとしての業績や成果、さらに部下の成長度合いを軸に入れているかどうかが重要です。

例えばA君がどの程度成長したのか、B君がどのくらい伸びたのかといった観点を評価制度に組み込み、そのウェイトを高めていくことが「重要度」を強める方法になります。

みなさんの会社の等級制度や評価制度において、部下の指導や育成、成長度合い、チームの達成度といった要素の比重を厚くしているかどうかが、1つのポイントになるのです。

判断の“拠り所”をどう増やすか

次に、認知の壁を越えた後に出てくるのが「判断の壁」です。

私たちは情報を受け取り、それをキャッチしたら必ず「要る・要らない」「行動する・行動しない」といった判断を下します。

人間の判断はどこから生まれるかというと、収集してきた情報です。記憶として蓄えられた情報を組み合わせて結論を出していく。逆に言えば、持っていない情報は組み合わせようがないため、正しい判断を導けないのです。

例えば小学校1年生に「円安から円高に動いた日本経済の今後をどう考えますか?」と聞いたところで答えは返ってきません。知識がないからです。つまり、知識がなければ判断そのものができないということです。

管理職も同じで、判断に耐えうるだけの情報量を持っているかどうかが大きな分かれ道になります。そのインプットの仕方はさまざまです。社内での勉強会や研修、上司からの指導、外部研修の活用などがあります。最も簡単なのは本を読むことなど自己啓発による学びです。

したがって、管理職が自ら情報を収集し、学ぶ姿勢を持てるように会社として推奨・推進していく取り組みがあってもよいでしょう。

ちなみに、うちは教育会社ということもあり、社員が外部研修や資格取得の勉強をしたいと言えば全額補助にしています。こうした福利厚生は、管理職を対象にしても有効でしょう。

「行動の壁」も乗り越えられる

最後に立ちはだかるのが「行動の壁」です。

「よし、やるべきだ」と判断しても動けない。ここが最も分厚い。原因は単純で、方法がわからないからです。「やったほうがいい」と思っていても、具体的に何から、どう進めるのかが描けない。

ケーススタディの知識、過去の体験、他チームで成果が出たやり方などの材料を持っていないので、結果として「できない」になるわけです。したがって、施策や対策立案のための情報インプットを増やし、同時に実行スキルを鍛える必要があります。これは決して自社の宣伝ではありませんが、外部研修やトレーニングに送り出すのは選択肢の1つです。

加えて、本当に必要なスキルであれば、管理職といえども上司の介在は欠かせません。次長や部長など上位者が、課長をきちんと育成する。ここを怠らないことが非常に大事だと考えています。

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