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脱マイクロマネジメント! 信頼して任せる部下育成のコツ(全3記事)

部下の成長を阻む“任せたつもり上司”の3タイプ 若手を遠ざける管理職の行動と部下の本音

【3行要約】
・マイクロマネジメントは短期的には効果があるように見えますが、長期的には組織の弱体化や離職につながるという問題があります。
・部下に仕事を「任せたつもり」になっている管理が横行し、実際は細かい介入で部下の成長機会を奪っているケースが多発。
・管理職は“どこまで失敗を許容するか”を軸に、部下の自主性を尊重した指導方法への転換が求められています。

前回の記事はこちら

20代から30代前半が育たない職場の問題点

宮地尚貴氏:(マイクロマネジメントをすると)「一見、安定した成果が出る」という話があったと思うんですが、安定した成果が出るというのも短期的な視点でしかなくて、長期的に見ると組織が弱体化していきます。

特に製造業の企業さまなんかでも高齢化みたいな問題があって、上にノウハウが溜まっていって、20代や30代にノウハウがぜんぜん溜まっていないとか。その他の業態の会社さまでも、似たような事象ってやはり多いと思うんですよね。

「20代から30代前半が育たない」というのは、40代や50代の方々の年齢と言いますか、上の方々の影響力があまりにも強いので、下のことが考えられていない。考える機会の提供ができていないところが、問題としてもあるのかなと思っています。

マイクロマネジメントであれもこれも介入をしすぎてしまうと、旧態依然とした状態から脱することができなくなったり、「少しの失敗も許容できない」というふうになると、誰もチャレンジしなくなってしまいます。なので、どこまでの失敗を許容していくのか、本人の判断をどこまで許すのか。ここを指導の軸として持つことによって、次のリーダーの育成にすぐにつながりやすくなってくるのかなと思ってます。

やはり今は、「若手社員をどんどん雇用していこう。ただ、採用が難しい」という状態なのかなと思っています。弊社でも匿名アンケートをとらせていただいているのですが、今の若手の方々の企業選びのニーズで言うと、やはり「お互いに助け合える職場」「遠慮せず、ある程度自分自身の考えや意見を言い合える職場で働き続けたい」というお話が多いんですよね。

なので、そのあたりを実感することができていないと(若手社員の採用は難しいです)。

部下に「任せたつもり」になっていることも

新入社員の方を対象に、「この会社で長く働き続けたいですか?」「この会社で管理職に上がりたいですか?」というアンケートをとらせていただいた時に、入社して1ヶ月しか経っていないにもかかわらず、20パーセントぐらいの方が「いいえ」と回答されているんですよね。

その企業さまの特徴として上がっているのが、「細かすぎるマネジメントが入っている」「上司がいないと組織が機能しない状態を上司が作りにいっている」「あれもこれも介入をすることによって、部下側の考える予断を許さないというか、余白をもたらさない」みたいな。多少なりともそんなところがあると、人が長く定着していかない状況に直結してくるのかなと思っております。

なので再三にはなりますが、「どこまで許容していくのか」みたいなところはすごくポイントなのかなと思っています。よくある誤りとして、「任せたつもり」になっていることがあるんですね。どういうことなのかというと、具体例でお見せできればなと思います。例えばこんな会話ですね。

「Aくん、次の顧客プレゼン資料を君に任せるよ。自分なりに作ってみてくれ」という上司の言葉に対して、「はい! やった、任された」とか「うわぁ、ちょっと大丈夫かな?」とか、いろんな思考を巡らせながら新人の方が「がんばります」といって取り組むと思うんですよね。

その翌日に「進み具合はどう? ……うーん。でも、この構成だと少し弱いかな。こういう流れで作り直してみて。フォントサイズももう少し大きくしよう」となると、「せっかく考えたのに、それならもう最初からやってくれよ!」みたいなことが起きたりするんですよね。

なので、任せたのにあれもこれもフィードバックしすぎると、「それなら最初からやってくれよ!」みたいなことになってしまう場合があります。ですので、フィードバックをするならするで工夫が必要です。

干渉しすぎず、適切に介入するためのポイント

例えば今回が初めての取り組みの時だと、ある程度の介入は必要だというお話があったと思います。なので、「進み具合はどう? 初めての取り組みなので今回はちょっと1回任せたけど、こんなやり方のほうがいいよというのを細かくお伝えするね」とか。

意図がしっかりと伝わっていれば細かい指示もいいと思うんですが、前段が何もなしに「これで作り直してみて」と言うと、「え? じゃあ最初からその指示を出してくれよ」みたいな感じになってしまうところがあると思います。これは一見、任せているようで任せてない状態です。

なので、後から介在するのであれば、任せるタイミングで1回丁寧に指示出しをしてあげたほうがいいかなと思っています。「うまくやって」とか「いい感じで」という曖昧な指示を出してやらせるのなら、最初から細かく指示を出しましょう。

あとは、相手が聞いてないのに「自分ならこうするけどな」という自分の方法を押しつけると、「えっ?」みたいな感じになってしまいます。意見を求められた時に「自分だったらこうするかな?」というのは伝えるべきだと思うんですけれども、あれもこれも言うと「自分だったらこうするな=それをやりなさい」ということにつながってくると思います。なので、これは要注意かなと思っています。

あとは、思ったとおりにならないと「違う、そうじゃない」と否定をしていく。本人なりの考えもしっかりと聞けていない状態であれもこれも否定してしまうと、もう(部下が)考えを言わなくなってしまうので、これも要注意です。

部下の納得感を高めるフィードバックのコツ

任せている状態とはどういうものなのかというと、「いつまでに、何を達成してほしい」という明確な指示出しが必要なのかなと思っております。資料に関しても、例えば先ほどの会話では「とりあえず作ってみて」「自分なりに作ってみて」みたいなかたちになってしまっていると思うんですよね。

この時に、例えば「来週の金曜日までに1回、自分なりの方向案を出してください」というふうにすると、都度都度で間の確認をしなくてもいけると思うんですよ。最初の段階で「いつまでに何を達成してほしい」「期待していることは何なのか?」とか、そのあたりをしっかりと伝えてあげましょう。

あとは、部下のアプローチを尊重する。なので(部下の意見を)聞いた上でフィードバックをしていかないと、納得感の部分がどうしても欠けてしまいます。

例えば、部下から成果物が上がりました。「これはダメだ」と何でもかんでも否定するのではなくて、成果物が上がってきたタイミングで「これってどういう意図で作ったの?」ということをある程度聞く。その上で「これはこうだから……」というフィードバックをしていかないと、また同じ行動を繰り返すとか、同じミスの繰り返しにつながってしまったりもしますので、これもまた要注意です。

(部下の上げた成果物が)想定と違ったとしても、どういう考えでそうしたのか、そのあたりは聞くようにしていくべきなのかなと思っております。

「任せたつもり」の原因になる上司の3パターン

「任せたつもり」で、なんでこういった事象が生まれてくるのかというと、(理由は)大きく3点あるのかなと思っております。まず1つ目が「管理しているつもり上司」。細かい進捗確認、指示が仕事になっている場合ですね。つまり、「これが自分の管理の仕方だ」というふうになっていて、部下が自分で考える機会を奪ってしまっている。

2つ目が「評価が心配上司」ですね。部下の失敗、部下のミス、部下の過ちによって、自分の評価が下がるんじゃないか? みたいに保身が大きくなってしまっているパターン。

最後に3つ目が「私流押し付け上司」です。ゼロから100まですべてのプロセスのやり方が自分流で、「これがすべてだ」というふうに自分のやり方の押し付けになってしまうと、予断を許さないという状態につながってしまいます。「何でもかんでも全部自分が正しい」というところは、やはり捨てていかないといけないなと思っています。

もしかしたら業務によりけりだとは思うんですけが、最終的なゴールがある程度同じであれば、そこに至るプロセスは多少遠回りだったかもしれなかったとしても、最初の段階は違うやり方も多少は許容していくとか。そういったことを繰り返して、だんだん遠回りが短くなっていって、最短に近づいていくと思います。経験していかないとわからない業務というのは、どうしても出てくるのかなと思っています。

なので、何でもかんでも最初から(上司の)自分流を押し付けてしまうと、「なんでこの流れでやっていかないといけないの?」ということが理解できないばかりに、結果的に同じ行動を繰り返したり、意図が伝わらない。見えない反発につながったり、働きがいを感じにくい。このように、いろんなところに悪影響が及ぼされていくのかなと思っています。

部下に業務を任せられない組織の特徴

失敗を恐れる組織文化があったり、短期成果主義・制度の未整備があると、どうしても先ほどの状態を助長してしまうようなかたちになります。「部下の失敗=上司の評価に直結する」という仕組みについては解消していかないといけないなと思います。

あとは、「失敗を避ける」ということが「成果を出す」ことよりも優先されるとか、「業務を渡さないほうが安全」という判断になってしまうと、管理職が仕事を引きはがさなくなってしまいますので、管理職としての責務・役割を全うしなくなってしまいます。

あとは評価制度の問題ですね。短期的な成果重視になっていたり、部下育成の項目が評価対象外になっている。そうすると、「(部下に仕事を)任せるよりも自分で対応していたほうが評価も上がるし」というような状態になってしまいます。

それから、業務を任せる仕組みの整備不足ですね。段階的に業務を任せるための手法が体系化されていない、業務フローが整備されていない。業務のプロセスとかマニュアルがしっかりと整備されていないばかりに、部下側も手探りでやらないといけなくなってしまうシーンが出てくる。なので、任せる業務の範囲をしっかりと決めていくのもおすすめかなと思っております。

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