「リーダー1年目のマネジメント大全」刊行一周年トークイベント ~「優れたリーダー」を大解剖する夜~(全4記事)
「罰ゲーム」と言われてもマネジメント職を選ぶ理由 “やらない自由”の先にある、挑む人だけの報酬 [2/2]
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1on1は“答え合わせ”じゃなく“考え方”を話す時間
松尾:何かしら琴線に触れるようなことが1on1の中であったんですね。すごい。ちょっと追加して、1on1で意識してることはあるんですか?
木部:1on1、嫌ですよね。あの微妙な空気感(笑)。「何を話そうかな」みたいな。お互い微妙じゃないですか。
「仕事の話をしない」って言ったらちょっと違うんですけど、仕事のアプローチだとか考え方だとか、そういう話を主にしますかね。
今の目の前の仕事をどうするというわけではなくて、こう考えてこうやっているとか、こういうふうに人やチームを動かしている、アプローチについて、「なんかこういうふうにしたほうがいいんじゃない」とか「こういうやり方あるよ」とか、そういう会話をすることが多い気がします。
“次のリーダー”に選ばれる人がやっていること
松尾:なるほど。勉強して1on1でそういうことも意識してみたいなと思いました。もう1つ「リーダーを目指すメンバーが実践したほうがいいことがあれば教えてください」。気になりますね。
木部:どのレイヤーで話をしようかなって思うんですけど。まず1つ、若手の女性メンバーの話です。彼女が、「自分の上のリーダーが今てんぱっているのですが、手伝ってあげたほうがいいですかね」と言っていたので「声かけて手伝っちゃえば~」と答えました。
リーダーに選ばれるタイミングやパターンにどういうのがあるかというと、リーダーって先ほど言ったように、仕事の中で次のリーダーを探しているんですよね。その時に、やはり目立っていること。リーダーになればなるほど自分で考えて自分で進めていかないといけません。
そういう裁量を持つ中で、言われたことしかしない人とか、指示が来ないと動けない人にそのチャンスが訪れることはあまりないと思います。そういう動きができるということが、上の人から見た時に目につくということなので。
別にリーダーじゃなくても、例えば2~3人集まってタスクをやるとか、2~3人集まってディスカッションする時に、その場や会議をリードするとかね。リーダーを目指す人は、そういうところからやっていくといいかなと思います。
上にいく人は、みんな“学び続けている”
木部:もっと上のリーダーを目指していくならば、勉強しないとダメだと思います。ちょっと厳しいことを言いますが、私は今のデロイトでも、前のIBMでも上に上がった人は常に勉強してました。
今、とあるシステム会社の社長をやっている人がいるんですけど、その人、ロン毛で大きなカフスをつけていて、ロックが好きなタイプなんです。そんな彼が、ふとした時に言ったんですよ。「たまには音楽雑誌とか読まないと、頭ちょっと疲れちゃうなぁ」って……(笑)。
松尾:(笑)。あれ?
木部:そう。実は裏ではきちんと本を読んでいる。そういう人たちは、本を読んでいるとか、勉強しているとか口にしないんですけど、ふとした時ににじみ出てくるんですね。常にインプットしているのは、にじみ出てくる。
なぜ勉強しないといけないかというと、正しいやり方をインプットしないと我流で終わっちゃうんですね。ロジカルシンキングもそうですし、いろいろなビジネスのスキル、人事系のスキルだったり、営業系のスキルだったり、いろいろあると思うんですけど。
いわゆる型やアプローチには一定のものがあります。それを学んで着実にできるようになって、その上で自分なりのアレンジ、解釈をしていくことが大事です。
そうしないと「俺の背中を見ろ」というタイプのリーダーになっちゃうんですね。それって良くないじゃないですか。上がっていっているリーダーを見てると、もう常にインプットしているなぁとすごく感じます。
松尾:インプットの重要性をめちゃめちゃ感じました。そうなんですね。やはりロン毛で楽しそうにしている感じの人でも、陰では常に新しいことを学んでいるというのは、すごく発見というか、なおさら私もがんばろうという気持ちになります(笑)。
木部:そうですね、お客さんもやはり本部長とか役員クラスになると、常に最新の情報を仕入れているんですね。お客さんが知っていることを自分の専門性の中で知っていなかったら、もう価値がないですよね。だからそういうところに負けないためにもというのもありますね。
松尾:うわ~、ありがとうございます。
600人を束ねる視点は“押すボタン”を見極める
司会者:せっかくの機会なので、この会場に参加しているみなさまからも、ご質問があればうかがいたいなと思います。
質問者1:本日はありがとうございます。この会場の中ではたぶんリーダーに一番遠い年次だと思うんですけど。私が学生時代に、一部活動の中でリーダーをやっていたところから、こう考えていた大事な要素の中に適材適所という言葉があって。
メンバーの適材適所をきちんと見極める力がリーダーには大事なんじゃないかなと思いながらやっていた過去があります。
600人規模になると、全員のことを見極めることは難しいと思うんですよ。私は別に今、600人規模のリーダーになりたいわけではないんですけれども、そうなった場合にどうやって適材適所を見極めているのかをお聞きしたいです。
木部:はい。じゃあ600名の視点でお話ししますね。組織が大きくなると何が変わってくるかというと、押すボタンの大きさが変わってくるんですね。5人いたら5人の小さなボタンを押せばいいんですけど、だんだん押すボタンが大きくなっていくんです。
600人いた時に、自分が600個のボタンを全部押していたらダメなんですよね。だから、「自分はどのボタンを押すべきか」を考える必要がある。そして、自分が押したボタンを持っている人が、さらにその下のボタンを押していくという構造を考えなければいけない。
そうなると、自分の下にいるサブリーダー的な存在が例えば十数人いたとしたら、その十数人をいかに伸ばすかが重要になります。自分と同じような観点や感覚で動けるようになってもらうことで、結果的に600人全体が、自分と同じ感性・感覚で動ける状態を目指していました。
そうは言っても、今まで話したように人それぞれで、10人いたら10人違います。そこは違いますが、押すボタンが変わってくると思っているといいかなと思います。あと、小さなボタンばかり押している人は、やはり人数が多くなってきた時に自分が回んなくなっちゃうんですね。なので、そういうことを意識するといいかなと思います。
質問者1:ありがとうございます。
司会者:ありがとうございます。すみません、そろそろお時間ですので。
松尾:あっという間でしたね。すごく学びに溢れていました。ありがとうございました。
木部:ありがとうございます。
司会者:まだまだお話をうかがっていきたいところですが、そろそろ終了のお時間です。今回の話をうかがってから本書を読むとまた新しい発見があるかと思いますので、ぜひみなさま、お買い求めください。
(一同笑)
木部:ぜひ!
苦労も悩みも「成長のストレッチ」になる
司会者:さて、最後になりますが、最後に木部先生から一言ずついただきたいと思います。
木部:あと3時間ぐらいしゃべりたいなという気分に(笑)……なってきましたが。クロージングということでみなさんがどう今、ご苦労されてるのか、どんな悩みを持っているかわかりませんが、苦労しているとか悩んでいるって悪いことじゃないと思うんですよね。
過度のストレスは別ですけど、仕事をしていく中ではそれは必要です。先ほど言ったように、ストレスを受けたりストレッチすることで、成長していくので、その状態を悪いと思わずに「そういうもんなんだ」ぐらいに思うといいのかなと思います。
私も昨日13時にお客さんの本部長にちょっと良くない報告をしないといけない場がありました。この2ヶ月ぐらいで一番憂鬱な会議で前日からもう憂鬱でしょうがなかったです。直前の1時間をブロックして、いろいろな準備をして、想定問答も30分ぐらいやっていました。それでダメだったらダメでいいじゃんと最後割り切ってやっていました。
最初にも言いましたが、肩の力を抜いて自然体でいきながら、その中でもポイント絞ってがんばっていければいいかなと思います。ありがとうございます。 続きを読むには会員登録
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