PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
(2025年再掲版)どうして私は企業内起業家として目覚めたのか?(全1記事)
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堂上研氏(以下、堂上):新規事業を生む組織の仕組みについて、企業の中でどうなったらいいのかを、守屋さんを含めいろんな事業を作ってきた方たちに10年間ぐらいヒアリングさせていただいて、僕なりにまとめた一枚絵です。
一番大事なのは、組織としてどんな事業を生むのか。これは守屋さんともよく話をしていたんですが、いわゆる博報堂の第二創業になるのか、それとも周辺事業でソリューションに近いものを生むのか。これは、もう考え方がぜんぜん違うわけですね。
例えば、10年後に10億円の営業利益を出すような事業を生むのか、それとも3年後に数千万円の事業を生むものを生むのか。ぜんぜん違いますよね。時間軸も含めて、社内で会話している人たちが意思統一ができていない中でスタートすると、やはりなかなか新規事業が生まれないというのがジレンマでした。
もう1個が、この3つの三位一体の話です。僕の中で一番大事だなと思うのが、経営陣がコミットメントすることで、権限移譲をしてもらえる環境をどう作れるのかが重要です。
「事業を作れ」と会社の中で言われて、新規事業の組織ができました。「出島組織を作ったぞ」と言っている感じかもしれないけれども、権限移譲されないと、稟議を上げるとか、常に上長に確認をするとか、いわゆる大企業病の1つで「稟議に3〜4ヶ月かかります」みたいな。もうスタートアップの事業には追いつかないわけですね。
そういったことがあるので、やはりトップダウン型はめちゃくちゃ重要だなと。経営陣のコミットメントはめちゃくちゃ重要です。
堂上:佐古さんから冒頭でお話がありましたが、ピッチャー役(イントレプレナー)、企業内起業家と言われているものがなかなか生まれないというところで、それこそ専業のプロがどういうふうにみんなが仲間になっていくかという話があるんです。
守屋さんに言われて「そうか」と思ったのが、僕らは博報堂の中で「企業内起業家」を探していたんですが、そうするとなかなか生まれてこない。「社内にいなかったら外から連れてくればいいじゃん」って普通に守屋さんに言われて、「あっ、そういうことか」と。
ミライの事業室は、社内でやっていたものに外の人間がどんどん入っていって、ミックスカルチャーを作るかたちでやらせていただいていました。僕らも外から来た人たちから影響を受けて一緒にやっていって、そこのピッチャー役が育っていく仕組みができあがってきました。
今日はピッチャー役をメインにお話を差し上げますが、もう1個重要なのがキャッチャー役と言われているインキュベート役ですね。山の登り方がぜんぜん違うのです。僕らは広告屋というプロ選手だけれども、まったく違う業種のことは分からない。
スポーツで例えると、サッカーのプロが、野球や卓球をやっているかもしれない。そんな全然違うスポーツを始めるには、その専業のプロと、守屋さんのような起業のプロが必要になるということがわかったのです。
もう1個が社内のプロ。稟議の上げ方とか、「社内ではこうやるの?」みたいなものをやっていくことがめちゃくちゃ重要じゃないかなということに、僕はたどり着いた感じですね。
佐古雅亮氏(以下、佐古):そうですね。
佐古:うかがうと、ミライの事業室という組織が5年間経って、こういう三位一体の組織体制を作るんだという組織のマネジメントもやっていらっしゃる。世の中では、「出島戦略をきちんと遂行している会社である」と思っている方がたぶん多いと思うんですよね。その中で、今回創業に至るわけじゃないですか。
堂上:そうですよね。
佐古:「なんでか?」っていう(笑)。
堂上:僕自身が、もともと事業をやりたかったという意志の話は大きくて。どんな事業だったら自分で作りたいかということについて、守屋さんが10年間近く「堂上さんは何をやりたいの?」と、問いを投げかけてくださって。
守屋実氏(以下、守屋):延々と聞きましたね。
佐古:そうですか。
堂上:僕は毎回「世の中をウェルビーイングにするような」っていう、フワッとした話をするわけですよ。そうしたら守屋さんは「解像度を上げないとダメだよ」みたいな話になってました。そういう会話をずっとさせてもらって、これが5年ぐらい続きましたよね。
守屋:長かったですね。
佐古:そうなんですね。
堂上:長かったんですよね。
堂上:僕は組織やマネジメントの仕組みを作るのに時間を費やしてきたので、そういう意味では、組織の中でどうやったらいいのかという相談をずっとさせてもらっていました。守屋さんから「堂上さん、そろそろ事業の話をしようよ」という話をいただくわけですよ。
事業の話をしようと思って、イントレプレナーになるような起業家たちが社内でだんだん芽が出てきて、彼らを守屋さんに紹介させていただいたりして相談する。
けれども、そこで「事業はなかなか生まれない」みたいなことが起こってきた中で、僕らは「イントレプレナーになれる要素はどういうものがあるのか?」というのを、ちょっと言語化してみたんです。
やはり事業は人がいないと作れないもので、その人の意志がめちゃくちゃ重要だったりするんです。「広告会社の代理店病」って僕は呼んでいたんですが、クライアントのために何か企画や構想するのはめちゃくちゃ得意なんだけど、構想で終わってしまうんですよ。
事業にしようと思った時に、実証実験で終わってしまう。いわゆるPoC貧乏みたいになってしまうようなことがずっとあったんですね。
その時に守屋さんからいつも言われたことが、「堂上さん、諦めちゃダメですよ」。これは諦めないという話なんですが、最後までやりきれるとか、人を巻き込むことができるとか、主体性を持つ。やはり僕らって、受け身になってしまうことが多かったりしたんですよね。
そういう話をずっとまとめていく中で、7番目に「鈍感力がある」という書き方をさせていただいています。イントレプレナーになっていく上で、広告屋の役員はその事業のことはもしかしたら素人なのかもしれないのに、新規事業に対してついついアドバイスをしてくださるんですね。
僕はこの5年間ぐらい、それを聞いてしまっているところがあったなと思っていて、自分自身が鈍感力を発揮できていなかったなとすごく感じました。
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