PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
(2025年再掲版)どうして私は企業内起業家として目覚めたのか?(全1記事)
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堂上:事業って、結局はお客さんに対して何か価値を提供して、そこでお金をいただくかたちのビジネスになっている。顧客にしか答えがないはずなのに、社内で「堂上、これはいいのか?」みたいな話になった時に、社内の声を聞いてしまう。
それはそれでアドバイスとしていただきながら、顧客の声を聞きながらやっていくことにチャレンジできる環境を、自分自身が作りたいなと思ってしまったのが大きいですね。
佐古:なるほど。
守屋:だいたい大企業って、何にもないのに大企業なわけないじゃないですか。
佐古:それはそうですね。
守屋:何か強い本業があるわけですよね。その本業だって、その会社だけがやっているわけなくて、いろんな人がやっているわけですよ。その中でも生き残って、かつデカくなっているということは、社内は本業に向けて最適にできているんだと思うんです。もう磨きに磨き抜かれた構造になっているんだと思うんですよね。
だから、そこで本業じゃない新規事業をやろうとすると、むちゃくちゃ本業の基準で語られるわけですよね。
佐古:そうですね。
守屋:だから、広告代理店は広告代理店っぽく間違うし、製造業の会社はものづくりっぽく間違うんです。本業とかなり近しいことをやっていれば本業が活きるんだけど、「違うことをやろうぜ」と言った時には、まず「違うものである」ということ(前提)がないと、どうしても本業の基準でいきますよね。
佐古:既存事業には、本業の基準や仕組みとか、そもそもの法律みたいなものがビシッと(制定)されているじゃないですか。新規事業出島を作ったとしても、どこかで同じ制約が入ってくる中でそれを突破していかなくちゃいけないとなると、相当な意志が大事なんですかね?
堂上:意志、大事ですね。
佐古:推進力というか、それこそ「なんでやりたいのか」が大事だと思います。
堂上:僕自身は十何年ぐらい新規事業に携わらせていただいていますが、それぞれ意志があって。でも、その意志はみんなばらばらだったりするわけですね。
じゃあ、そこの判断基準は何なのかも含めて、みんなクライテリア(評価基準)が違うわけです。目指すものが違っているので、なかなかうまくいかないということを感じていました。「自分がどんな事業を作りたいのか? どんな社会を作りたいのか?」ということを、僕はライフモデルという言い方をしていたんです。
「こんな社会を作りたい。それに対してどんなビジネスが生まれていくのか。そういったことをやっていこうと思っている」と、ビジネスモデルを作る前にライフモデルを作る。僕自身は「ウェルビーイングな産業を作る」ということを、1つ大きなポイントに置いたんですね。
そうすることによって、それに紐づくいろんな事業がどんどん生まれていく。100個も200個もアイデアを出して、守屋さんに「この100個のアイデア、どうですかね?」みたいなことをメンタリングしてもらいながらお話をしていました。
最後の意志で、僕は「これは飛び地でやっても勝ち目がないな」と。広告会社の周辺の事業で、インキュベーションやメディアは今まで博報堂の中で誰もやったことがないから、そこに僕はチャレンジしたいなと。そこが僕らの中で博報堂の第二創業になるんじゃないかなというところにたどり着いた。そこも、やはり意志だという感じはしますね。
佐古:ありがとうございます。
守屋:このへん、けっこう大事だと思うんですよね。どうしても「社内でやるのか社外でやるのか」ということを検討し始めるじゃないですか。
佐古:ありますね。
守屋:「というか、何したいの?」っていう。そりゃあ、やりたいことを社内でやったほうがいいんだったら社内でやったほうがいいし、社外でやったほうがいいんだったら社外でやったほうがいいじゃない。でも、やりたいことがないまま「社内か? 社外か?」と言って、みんな手段や手法をすごく勉強し始めるんですよね。
学生なのか、学者なのか、評論家なのかわからないですが、そっちに走るんです。だから今の堂上さんのように、やりたいことがあって、結果としてそれを社内でやることにしたという、この順番に行き着けたのはいいことですね。
佐古:なるほど。じゃあ、Welluluという事業を考えた時に、これは博報堂としてやり続けるより、会社として外に出てやったほうがいい事業だったということなんでしょうか?
堂上:そうですね。博報堂の中でやる事業だと、近しい事業だからこそ博報堂の中でいろいろと問題が起こったりすることがあるんですね。
例えばメディアの事業で言うと、その交渉に半年近くかかったんです。社内で話をしている時に、「お前、メディアを作るって? 我々はメディアを買ってきて、クライアントにそれをご提供するのがお仕事なのに、僕らがメディアを持ったらメディアの競合を作るのか?」という話になってしまったり。
佐古:確かに。
堂上:僕ら広告会社の仕組みで言うと、マルチクライアント制という形でやらせていただいているところもメディアを自分たちで持ちづらいというのはありました。博報堂の中では違う人間が担当していますが、同じ業種の方たちとも、それぞれ担当がいるのでケアが必要になります。
例えば、ビール会社の何かしらの記事を僕らがメディアの中で書いたとすると、違うビール会社から怒られたりするかもしれないとか、そういうリスクが既存事業の中では起こってしまう。なので、僕らとしては、外に出ることによって公共性を保つ必要があると思った。
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