【3行要約】 ・管理職は負担が大きく、昨今は「罰ゲーム」と揶揄される風潮がありますが、実はスキル・キャリア・収入の面でメリットがあります。
・研修トレーナーの伊庭氏は、管理職を罰ゲームと感じる原因は上司の姿だけで判断していることにあり、キャリアにおける投資効果を理解すれば価値ある選択だと提言します。
・管理職の本質を理解し長期的視点で評価することで、自分自身への価値ある投資として捉えることができるでしょう。
前回の記事はこちら 管理職経験が収入面に与える影響
伊庭正康氏:じゃあもうちょっと進めますね。今、スキルやキャリアで投資になるっていう話をしたじゃないですか。じゃあ最後、お金の話をしましょう。いやらしいジェスチャーをしていますが、お金の話をしますね(笑)。
NISAをするほうがいいんでしょうか、管理職をやるほうがいいんでしょうか。それをはっきりとさせようじゃありませんか。
さあ、ではいきましょう。最後にお金の話、金融投資。実はNISAより断然有利なんじゃないかなと思います。
わかりやすく計算するために、例えば年収500万円のプレイヤーの方がいたとしましょう。管理職になって100万円アップして、600万円になりました。
NISAと比較してみると?
クイズです。今、100万円増えましたよね。NISAの制度を使った投資をはじめとした、金融資産に投資をするとしましょうか。株とかね、何でもいいですよ。年100万円を得ようと思ったら、いくらの金融投資が必要なんでしょうか。
概ね2,000万円の投資が必要です、という話なんです。例えばインデックスファンドを考えた場合、利回りは概ね5パーセントで計算しましょう、なんて言われたりします。
日本の銀行の普通預金じゃないですよ。ちゃんとした投資をした上で、だいたい合格だなと言われるのは5パーセント。ちょっと良いほうですけどね、5パーセントというと。
じゃあ100万円を得るためには、2,000万円を投資せんといかんのですよね。今、わかりました? スキルもキャリアの選択肢も広がって、2,000万円の投資を別でやっていると思ったらいいんですよ。すごくないですか、これ?(笑)。
そういう計算ができるかどうかも含めて、罰ゲームって言っているのかなと思ったりします。学べてキャリアの選択が広がって、一方で(例えると)金融資産が2,000万円とか数千万円に変わるような投資ができるぐらいのインパクトがある。
ちゃんとここまで考えて、罰ゲームというふうに考えているかどうかなんですよね。しかもクビになるリスクもまったくないんですよ(笑)。こんなにおいしい選択はないのかなと思います。賢い選択ですよね。
“投資換算”で考えるメリット
この間、ある企業さまで休み時間にお話しした時に、例えば課長とか部長になったら年収1,000万円もらえるっていうことが出てきたんですね。年収1,000万円だったら、会社さんによっては普通にあると思います。
それで、「今、だいたいプレイヤーの方は(年収)500万円ぐらいです」という話になったんですよね。いろんな会社はありますよ。500万円増えるんですよね(笑)。じゃあ2,000万円×5なので、1億円ですよね。1億円を別に投資しているのと一緒で、1億円を稼ごうと思ったらけっこう大変ですよね。
別にお金がすべてではないんですけれども、ここも含めて考えた時に、スキルがアップし、キャリアの選択肢が35歳以降で一気に広がって、さらには金融投資(として考えるとメリット大きい)。
金融換算するとそういうことになるんですよね。そこまで含めて罰ゲームと言っていますか、という話でございます。
管理職としての“腹落ち”があるかで変わる
では、まとめです。後悔しないために「管理職が罰ゲームと感じているのは誰ですか?」ということなんですよ。今言ったことをちゃんと自分の考えとして言えている人であれば、私はOKだと思います。
でもそうじゃなくて、なんとなく上司を見て「大変そうだな」「罰ゲーム!」と思っている方が言っているのか、どちらでしょうね。
2つ目、風潮と目の前の上司だけで判断しないほうがいいと思います。そのことをわかってやっている上司と、わからずにやっている上司がいます。「しんどい、しんどい」という顔をしてやっているのか、それとも「これは自分への投資だ」と思ってやっているのか。
自分のためだけじゃなく、または「みんなのため」と思ってやっているかとかね。いろんな「ため」があるんですけど、何のためにやっているかというのを、目の前の上司の人はちゃんと腹落ちしてやっているかどうかですよ。
ちゃんと腹落ちをしてやっている人は、そんなに苦痛な表情を浮かべません。なので風潮とか目の前の上司だけで判断しないほうが絶対にいいと思います。
苦戦している管理職は成長過程
そして上司が窮地に陥っている本当の理由は何なんでしょう。板挟みとか時間管理できないとか、これは役職がそうさせているんでしょうか? 役職じゃないです。あなたの会社でもきっとそうです。
AさんとBさんの管理職がいた時に、窮地に陥る管理職と、陥っていない管理職がいますよね。これは能力の問題なんですよ。でも、能力は身につけることができるので、うまくできている人は仕事を通じて自分なりにトレーニングを積んできたんだと思います。
一方でうまくいっていない人は今、成長過程なんでしょうね。そう思うといいと思います。なので能力の成長過程で、上司は身につけているところなんだと。しんどいけど身につけている、投資なんだ、という感覚でやっている方も多いと思います。その上で後悔しないために判断をしていただいたらどうでしょうか。
一番しんどいのは“プレイング課長”
最後に、私の本当の気持ちを言いますね。いや、これ全部、本当ですよ。本当なんだけども……管理職ね、課長が一番しんどいです。プレイングマネージャーが多いからですね。課長は確かにしんどい。
でもね、怒らないでくださいね。部長より上、多くの会社は「プレイング部長」じゃないですよね。使う筋肉がまったく違うんですよ。もちろんプレッシャーはありますよ。でもたぶん部長さん以上で「忙しすぎて大変だ」と顔が青ざめている人は、そんなにいないと思います。
それは課長さんにやってもらう仕事が多いからですね。でも部長はめちゃくちゃなプレッシャーの中で考えるんですよ。なので、しんどさの質は変わってきます。
研修先企業でのリアルな反応
ただプレイングマネージャーの課長だけを見て罰ゲームと言うのは、私はあまり得策じゃないかなと思います。もっと大きな影響力を持つためのスキルを、そのプレイング課長の時に身につけて、部長なんかになった時には現場のことがわかった上できちんとした判断が加えられるようになる。
また言い方にちょっと語弊があるかもしれませんが「上質なプレッシャー」を感じながらやっていくことができるので、またこれはこれで魅力的かなと思っています。
だからプレイング課長さんの忙しさだけを見るんじゃなく、もう少し上の方とお話しされることなんかもおすすめします。なので管理職は罰ゲームだと言われるんですけれども、あまりその風潮に惑わされないでください。
私、実際に研修を各企業でやっていますが、プレイヤーの方に「課長になるのが絶対に嫌な人?」と言った時に1割ぐらいしかいません。なんでこの1割のことで「罰ゲーム!」になっちゃうんでしょうね(笑)。
風潮にまどわされずにスキルアップを目指す
罰ゲームって思っている人は、実際はそんなにいないですよ。街頭でインタビューとかをしているニュース映像がありますが、それ信じていいんかな、と思います。新卒採用の人で、1割ぐらいはいますけどね。まあ中途も一緒ですけども、社員の方ではそういうイメージでございました。ご参考までに。
さあ、では締めていきましょう。このチャンネルは研修トレーナーの伊庭からこそお伝えする本物のTipsを紹介しています。ぜひこちらからチャンネル登録をよろしくお願いします。
そして「励みになった」とかいうコメントとかいただくとうれしいですね。ただ「私は出世なんて興味ない」という人がいらっしゃって、それをコメントに書く方がいらっしゃいますが、今回のテーマとは本筋がずれているので(笑)。
3つの投資に対して一般的にはどう思うかという、ファクトベースでのコメントだったら大ウェルカムなんですけど。「俺は出世なんてしたくねぇわ」っていう人は……なんかね、残念な感じがいたします。今回の話ではね。
それぐらい思いを持ってしゃべっておりますので、あえて釘をギュッと刺させていただきました。このチャンネルは前向きにがんばる方に向けてお話ししたいチャンネルですので、ぜひよろしくお願いします。
他の方が見て実際にイヤな気分になっていらっしゃるのがあって、コメントの会話で「それは本筋と違うでしょ」というのがあったんです。なので私から牽制をさせていただきました。この話をするとだいたいこういうような話が出てくるんですよね。なので釘をギュッギュッギュッと刺させていただきました。