“大変”は投資に変わる
もう一度言いますね。「何のために大変そうに見えることをやるのか」。これが見えないと「しんどそうだな」って見えます。管理職の方、イヤだったら辞めているはずじゃないですか。辞めないですよね。あれは何かがあるからやっているんですよ。
じゃあその何かって何、というのが見えていないと罰ゲームに見えちゃうってことですよね。「受験勉強大変そうだな、罰ゲームだな」というのとまったく一緒で、しんどそうに見えるけど、何のためにあの人たちはそこまでしてやっているのか。そこには意味があるからなんです。
いきましょう、ドンッ。まず「大変」というのを「投資」と考えれば見方が変わります。例えば投資活動。スキルをアップするため、キャリアの選択肢を広げるため。あと、お金で困らないため。そう考えると、「大変」というのが「何かを得たいため」に変わると「投資」になるんですよね。
この私がYouTubeをやっているのもそうです。今は週に4回アップロードしていますが、周囲からは「なんでそんなことやってんの? 大変じゃないですか」って言われます。だけど、私としては「将来こうなりたい」ということがあるんですよ。
なので、それに対しての投資だと思っているからできています。それがなければ毎日毎日、隙間時間や朝の時間とかに企画を考えて、大変ですよ(笑)。でも投資と思っているから(やっていること)なんですよね。
こう考えられるかどうかで、実はキャリアの考え方も変わってくるという話です。ではいきますね。3つの話で「これがあるからみんながんばっている」という話をします。
管理職経験で身につく3つのスキル
ドンッ。まず「スキル」です。実は(管理職は)スキルアップの最高の近道なんです。管理職になるとわかることがありますが、これはプレイヤーの時はわかりません。
簡単に3つのことを言います。「テクニカルスキル」と「ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル」が最短距離で身につきます。この3つの力は社会人として必要な力だと言われていますね。
まずテクニカルスキルというのは、問題が起こった時に「こうすれば解決できるよね」という選択肢をいくつも考えることができる。AとBの調整力でCという答えを出しやすくなる。「AでもBでもなくCだよね」。
解決思考で考えられるようになる
例えば「人がいないので人を入れてください、うちの会社は人不足です」。管理職をやると、この問題がどこにあるのかがわかります。人がいないことが問題なんでしょうか、人が入らないことが問題なんでしょうか。そんなことは思いません。
管理職をやると「人がいないことが問題なのか、それとも人がいなくても回っていない体制が問題なのか」と考えるわけですね。この時、「解決思考で考える」ということをやります。
解決に向かうにはどちら(の方法)が合理的かと考えた場合、人が入らなくて人件費が高くなるのであれば「じゃあ、人がいなくても回せる方法を考えていないことを問題ととらえたほうがいいよね」みたいな感じです。
問題解決の力が求められるので、管理職になるだけで解決力が高くなります。仕事もプライベートもそうですけれども、解決力は断然、高まります。
現場経験で学びが習慣化する
2つ目がヒューマンスキル、対人対応力です。どんなに苦手な人、どんなに嫌いな人がいたとしても結果を出さないといけないので、人を動かすということをやるんですね。
「こいつ、なんだかムカつくな」と思っても、気持ちよく動かす力が管理職には必要なんです。それができるかどうかですよね。「動かす」というのは自分が有利に仕事を持っていきながら、周りの人もより良くなるところを探るんですよね。これが対人対応力です。
そして3つ目がコンセプチュアルスキル、全体把握力。例えばトランプさんの関税問題があったりしますよね。SNSを見て「ああ、これは損だ」「得だった」という話じゃないんですよ。
そういう表面的な話ではなく、じゃあ1年後、2年後にどうなるかということを自分の考えで言えるかどうかです。これは全体を把握していないとダメですよね。「金利が上がれば」とか「関税が上がれば」と、メカニズムでちゃんと考える癖がつきます。
例えば優秀な人がいるからうちの会社は助かっています。でも全体で把握したら個人の属人的なスキルで担保されているので「これはやべぇな」と思うわけですよね。(それなら)全体で把握して、その人が抜けても回るような体制を作らないとダメだってわかりますよね。なので「今はいいけれど、やべぇな」。これは全体把握力ですね。
今、さらっと言いましたけれども、管理職になるとこういったことは習慣で身につきますので、勉強するよりもよっぽど早いです。どうでしょう。まず1つ目、あなたはスキルを身につけたいと思いませんでした?
しかもお給料をもらってこれを学べるんですよね。社会人はこれがないとけっこうしんどいと思います。仕事というのはそんなに簡単じゃありませんからね。1回はやったほうがいいんじゃないかなと思います。やれるのであれば、という条件付きですけどね。
キャリアの選択肢が広がるメリット
2つ目、キャリア。シビアなことを言いますね。「選択肢が広がる」という話をします。でもシビアなんです。
企業の人材には4つのタイプがあります。1つ目、オペレーション人材。現場を担うプレイヤー。2つ目、マネジメント人材。その方(プレイヤー)たちをマネジメントする部課長さん。3つ目、専門人材。特殊技能や資格が必要な仕事。そして4つ目、経営人材。事業部長さんとか執行役員とか社長さん、役員さん全体含めてですね。この4つに分かれています。
その中で、ドンッ。この「オペレーション人材」というカテゴリーにはリスクがあるんですよ。年齢と共に厳しくなるということが現実にあります。
まず1つは転職が難しくなる。なんで? お給料で考えるといいですよね。このオペレーション人材さんというのは、AさんでもBさんでもCさんでもある程度、一定の結果を出さないといけないので、能力ではなくて仕組みで担保をするのが経営の考え方なんですよ。
もちろん人は大事ですよ。もちろん最前線の人は大事なので、人は尊いんですが、でも世の中を見てください。(仮に)会社が不景気になった時に、工場がなくなって、製造ラインもなくなりますよね。
でも考えてみてください。例えばデザイナー、どうなんでしょうね。工場がなくなったからといって、デザイナーがいなくなることはありますかね。車を販売する上ではデザイナー、エンジニアは絶対に必要じゃないですか。これが専門人材なんですよね。
オペレーション一筋のキャリアに潜むリスク
ところが現場のラインとかになってくると、すべてを私は言いませんけれども、また違う判断が下ることはありますよね。これは別に製造ラインだけではありません。私は営業をやっていましたので、営業もその1つでしょうね。
お店がなくなったら販売もそうでしょうね。いろいろな作業もそうです。これはコストで測られるので、場合によっては人でなくなって、ロボットかAIがやるかもしれません。
オペレーション人材はこう考えてください。まず年齢と共に厳しくなることと、あとお給料が上がりにくい圧力があるということです。
「2つの工場・拠点はいりません、1つでできます」「それ、若い人のほうがお給料安いです」「それ、AIに任しちゃったら?」みたいなことを考えると、お給料が上がりにくいんですよね。
これね、あまり言われていないと思います。でも人材ビジネスにいる人間からすると極めて当たり前で、経営者の方があえて社内では言わないことです。でも、我々はいろんな会社でその話をしております(笑)。そう考えた場合に、ここはめちゃくちゃ注意が必要だと思いませんか?
35歳以降のキャリアに大きな影響が
じゃあ一方で、マネジメント人材と専門人材と経営人材。先ほど言ったようなデザイナーさんがいなくなるかとか、新規事業を作れる人とか……「本当にできる人」ですね。本当にできる人がいなくていいはずないんですよ。
ここはいつの時代でも必要であり、さらに言うと経験と共にチャンスが増えると言われています。さあ、ここで35歳以上のことを考えてみましょうか。あまり言われていないことを言いますね。35歳以降、マネジメント経験がある人とない人では、圧倒的に選択肢が違います。
これに異論があれば、もう本当にコメントに書いてください。「25歳のできる人か、それとも55歳のできる人か、どちらをオペレーション人材に組み込みたいですか」という時に、組み込まれるのは25歳のほうだと思います。

一方で「経営人材として入れたいのはどうですか」とか「マネジメント人材として入れたいのはどうですか」と言うと、年齢は消えちゃうんですよね。
マネジメント人材、もしくは経営人材をやっているとチャンスは広がり、もっと言うといつでもオペレーション人材になれます。誰でもなれるんですよ。逆はなれませんけどね。そういったことを考えた場合に「35歳以降、差がつきます」という話をしています。
なので管理職は罰ゲームかというと、実は違うんですよ。しんどそうに見えてもキャリアの投資になっているという話なんですよ。だからみんながんばっているんです。全員がそうだとは言いませんよ。