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事業成長に宗教 (パーパス) は必要か(全4記事)

テスラに人材を集める“イーロン・マスクの夢への共感” 採用やマネジメントにパーパスを活かすヒント [2/2]

なぜ日本の大企業は社員の熱狂をつくりにくいのか

質問者1:非常に興味深いセッションを楽しませていただいています。

後段でお話があった「大企業はなかなか宗教が作れない」というお話なんですけど、なぜそうなのかとか、そのあたりをぜひ、ちょっと詳しく聞かせていただきたいなと思いました。

松田:めちゃくちゃよくあるパターンは、経営層がそこの必要性を感じていないんですよね。高度経済成長でwillのないまま来た方がトップにいるので、その必要がない。

しかも自分たちはもうあと10年したらいなくなるということで、部下の方が(課題として)挙げても、「どうしてそんなことに労力とコストをかけるんだ」みたいに止まるパターンがめちゃくちゃ多いです。

入山:いいですか? 僕もマツケンとまったく一緒で、基本、日本の大企業の社長はポンコツなんですよ。

松田:(笑)。

入山:最大の理由は能力じゃなくて、人生に意思がないんですよ。今、マツケンが言ったように終身雇用で来ちゃっている、与えられている人生だから、自分で人生を切り盛りしていないので意思がない。だから、そういうやつらは基本、無理です。

大企業の任期制が与える負の影響

入山:しかもマツケンが言ったように、日本の大企業にはなぜか謎の任期制があって、3年2期で辞めるから、6年で自分のキャリアが終わるとわかっているやつには、何十年もかかるので無理なんですよ。

だから僕は基本、任期が決まっている“サラリーマン社長”の会社は、どんなにご依頼いただいても絶対に応援しない方針を採っています。どうせ無理なので。だからぜひ、そういう会社はみなさん早く辞められることを全力でご推奨いたします。無理ですから。

(一同笑)

入山:すばらしいご質問、ありがとうございます。

(会場拍手)

はやまり:ありがとうございました。ではお二人目、お願いします。

入山:そちらの茶色いシャツの。

フルリモート組織で一体感をつくるには

質問者2:ありがとうございます。(私は)2024年11月に創業しまして、実はフルリモートでオンライン型の組織作りをやっているんですよ。

僕の中の考えでは、やはり生きやすい場所で生きていかないと社会は持続しないと思っていて、フルリモートで組織作りをしたいと思ってやっているんですけど、この宗教観のところはすごく難しいなと思っています。

やはり限られた時間で会わなきゃいけないとか、オンラインでいろいろ交流するのはすごく難しいなと。オンラインで全部やるとなった時に、そもそも物理的に無理なのか、何か新しいやり方が見つかってきているのか、そのあたりがすごく気になりました。

入山:めっちゃ良い質問ですね。

松田:じゃあ、まず僕から。ぶっちゃけ「難しい」という結論ではあります。先ほど、Googleのインタビューをしたお話もしましたが、Googleはコロナ前からオンラインとかリモートをめちゃくちゃやられている会社なんです。

だけど、やはりそこの限界がわかっているからこそ、オフィスや仕組みにめちゃくちゃお金と労力をかけて、社員がリアルで集まるタイミングをすごく作っている。

フルリモートでやるにしても、対面で会うタイミングを定期的に作るほうが、宗教は作りやすいのかなと思っています。

採用の工夫で解決できる場合も

入山:ありがとうございます。僕はマツケンの言うことはそのとおりだと思うんですけど、ちょっと違う可能性の意見も持っていて。

僕は今、ソラコムという、2024年に上場したIoTのプラットフォーマーの取締役なんですね。ソラコムもグローバル企業で世界中に社員がいるんですけど、僕は当時、監査委員長をやっていて、ほぼ誰ともリアルで会ったことがないんですよ。

イギリス拠点の監査をやると、住んでいる人はニュージーランドにいるんですよ。(それでも)ソラコムはちゃんと回って、上場までこぎつけている。だから普通に(オンライン型でも高いパフォーマンスを発揮する組織は)あるんですね。

だから1個のポイントは、やはりオンラインなりの仕組みを作るということと、もう1個はダントツで採用です。

ソラコムの採用がすごいのは、創業者の玉川(憲)くんがAmazonのAWS出身なので、Amazonのリーダーシップ・ステートメントという、まさに宗教的な教条があって。それを彼も心から信じているから、それに合った人材だけを採用するんです。

ソラコムのリーダーシップ・ステートメントを心から信じているやつだけを採用するから、意外といける。

はやまり:それ、めちゃくちゃおもしろい意見じゃないですか。

入山:採用、超重要ですよ。

カギは“いかにその宗教を信じているか”

松田:純化型のところも採用と昇格があるんですけど。

入山:ああ、そうね。日本は謎の「能力が高い」とか「頭がいい」とか「いい大学を出ている」とか、そういう理由で採るから。あれは意味がないんですよ。だからそれよりは、いかにその宗教を信じているかのほうが大事な入り口です。

アメリカって、生き馬の目を抜くぐらい採用合戦が激しくて、スタンフォード(大学)のコンピューターサイエンスの新卒を採ると1人4,000万円もかかるんですよ。で、すぐに辞めるわけ。だけどソラコムは辞めないのよ。採用の時点でちゃんと信者を採っているから。

だからマツケンが言うのはそのとおりなんですけど、そういう工夫をやることでけっこう緩和できる部分も、これから出てくると思います。

熱狂できる組織づくりで、事業成長に貢献していく

はやまり:すごいですね。今のお話を聞いて、たくさんの方が希望を見出したんじゃないですか? ありがとうございます。実は時間がオーバーしちゃっています。

入山:じゃあマツケン、最後に一言。

松田:最後に宣伝みたいになっちゃうんですけれども、宗教(的な熱狂を生む組織)を作りたい方はご相談いただければと思います。宗教が今後、生き残っていくために大事だと本当に思っているので、いろんな学びをこのセッションで受け取っていただけると幸いです。

はやまり:みなさん、松田さんはセッション後もそのあたりにいるので、ぜひごあいさつしてみてください。では入山先生、今日は貴重なお話をありがとうございました。

松田:ありがとうございました。

入山:はやまりさんも、ありがとうございました。

はやまり:ありがとうございました。みなさん、拍手でお見送りください。

(会場拍手)

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