お知らせ
お知らせ
CLOSE

スタートアップ業界の注目領域、日本が誇る成長産業「エンターテインメント」のマクロ分析(全3記事)

『ポケポケ』のヒットで年間約4,000億円の売上を達成 IPビジネスの成功例に見る“グローバルに届ける力”の重要性 [1/2]

【3行要約】
・アプリ『ポケポケ』が1年で約4,000億円もの売上を達成する一方、多くの企業がエンタメ分野での長期投資の難しさに直面しています。
・株式会社ディー・エヌ・エーの田中翔太氏は“適切な商流に適切なプロダクトを配信する価値”を強調し、日本の非上場企業が短期的成果に縛られずに育てたIPの強さを指摘します。
・エンタメ市場ではプラットフォーム主導の米国に対し、日本はコンテンツ力で勝機があり、長期的視点での投資と体制構築が成功への鍵となります。

前回の記事はこちら

『ポケポケ』で年間約4,000億円のインパクトが

田中翔太氏(以下、田中):それと、これは先生の本(『キャラクター大国ニッポン』)の中にもありますけど、やはり1つのIPがドーンと人気が上がった時に突然、大きな売上が生まれます。それが稼ぎ続けられるものか一時的なものかは、ことエンターテインメントでは大きなテーマです。

日本の場合は『ポケモン』とか、もうずっと同じ金額を叩き続けている、ずっと愛され続けている化け物みたいな作品があるんですよね。一方で足元には、将来そうなるかもしれない、グッと伸びてきたものがあります。例えば『おぱんちゅうさぎ』がすごかったとか、今は『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』がすごいですみたいな話です。

歴史的にならないものも日本にあるし、急に出てきたものも日本発のものもけっこうあります。やはりこの(規模感と歴史の)2軸が大きいテーマかなと思いますね。

草野美木氏(以下、草野):(キャラクターが)ずっと愛され続けているって、どうしてそれができるんだと思いますか?

中山淳雄氏(以下、中山):モバイルゲームとか、適した商流に配分をしていくことがまず大事だと思うんですよね。

今朝のニュースを見ました? もともとポケモン社さんって2010年前後くらいには、数百億前半くらいの売上でしたが、2024年は(売上が)3,000億円、利益が700億円。『ポケポケ(Pokémon Trading Card Game Pocket)』の配信開始から1年で計算すると(売上が)4,000億円、利益が1,000億円近くに上がったんです。

ディー・エヌ・エーさんのIRを見ると、どのぐらい売上が出ているのかが明確にわかります。四半期で1,000億円ですよ。『ポケポケ』というゲームが1個出ただけで4,000億円ぐらいの年間売上が発生しました。

グローバルなインパクトが特徴

中山:僕もディー・エヌ・エーにちょっといた時から、2012年がピークでずーっと売上は下がってきてたんですが、2025年に14年目にして(『ポケポケ』の効果で)グッと上がった。

田中:株価が上場以来、最高値に近い。本当にありがたいなというところと、もちろんディー・エヌ・エーはその間にスポーツや「Pococha」のような配信などをがんばっていました。けれども、やはりあれだけの破壊力は久しぶりに見たという方もいらっしゃるかなと思います。

やはりしかるべきタイミングで、しかるべき商流に求められているものにちゃんと届けると、あれだけの破壊力が出るのは、IPもしくは広義のエンターテインメントにビジネス的な注目が集まる理由ではあります。それと同時に、判断が難しいのでめちゃくちゃ投資しにくいものでもあると思いますね。

中山:そうですね。ディー・エヌ・エーも、『怪盗ロワイヤル』で年1,000億円近いものなどバーンと出してきています。けれどもグローバルでのインパクトは初めてといっていいんでしょうか。4,000億円のうち3分の2が海外なので、期待値込みですけど、国内1,500億円、海外2,500億円の売上になったわけですよね。

グローバル対応のノウハウが結実

田中:そうですね。海外売上の比率はIRでも出していますけど、やはりすごいインパクトがあると思います。その話に関しては、間違いなくポケモン社さんのすばらしいところがあり、そのパートナーシップありきだと思うんです。ディー・エヌ・エーの立場で言うならば、グローバルにあれを安定的に届ける準備って、やはり一朝一夕にはできないんですよね。

みなさんご存じのとおり、たとえApple、Googleのプラットフォームがあったとしても、世界中に対してある程度は法的に、特に『ポケモン』はお子さんたちの保護、言語も含めて適切に配信するのはめちゃくちゃ大変なことなんですよね。このあたり、実は2015年ぐらいに任天堂さんとの資本業務提携があって、グローバルに向けてマリオを出させていただいたりとか、そういう積み上げもあると思います。

なので、先ほど草野さんがおっしゃった「なぜ、キャラクターが愛されるのか?」の理由として、中山先生がおっしゃった、「適切な商流を整備すること」というのは、やはり一朝一夕では本当に難しい。もうちょっと言うと、適切な商流に、適切なプロダクトを配信することそのものがすごく大きい価値なんです。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

次ページ: エンタメ投資の難しさはボラティリティ

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!