PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
コピーリンクをコピー
ブックマーク記事をブックマーク

宮地尚貴氏:相談環境がある・ないというのは、定着率にも非常に密接に関係している部分ではあります。なので定着率に課題のある企業さまは、まずは相談機会を作ったり、上司・部下間の関係性の担保が着手ポイントであると考えています。
弊社でも新入社員・若手研修を毎年実施させていただいている中で、「入社後、最もうれしかったコミュニケーションの機会は何ですか?」という匿名アンケートをよくやらせていただいています。そこで挙がってくるのが、やはり「定期面談をしてくれる」なんですね。
他にもいろんなアンケートをとるのですが、「この会社で長く働き続けたいと思いますか?」という質問をさせていただきました。年間でだいたい500名ぐらいに新人研修を受けていただいていますが、毎年そのうちの7割ぐらいが「長く働きたいです」と言っていて、3割ぐらいが「長く働きたくないです」「ちょっとわからないです」と回答しています。
新入社員や若手の方は、「せっかく入ったし」ということで、けっこう長く働きたいという傾向を持たれています。じゃあ、長く働きたい理由は何なのかというと、「上司が熱心に指導してくれる」「定期的に相談機会を作ってくれる」「しっかりと目標設定してくれる」「親しみやすくて、自分の価値観に合っていると感じる」などです。
「やりがい」と「上司の関与」、だいたいこのあたりはキーワードに入ってきているんですね。なので、自分で目的意識を持って入社をしている方は、自分でやりがいを感じるようになってくるとは思います。
特に弊社のお客さまだと中小企業さまが多くて、例えば極端な話、「大手に落ちて中小企業に来ました」「家が近いから入りました」「受かったから入りました」なんていう方もいらっしゃったりします。その方に「会社でどうなりたいのか?」と問いかけても、ぜんぜん出てこないんですね。もしくは、表面上のものしか出てこない。
だとしたら、最初の段階でロイヤリティを高めるといいますか、モチベーションを高めていくためには上司側の関与がカギであるということが、すごく言えるなと思っています。
離職が問題になられている企業さまの多くでは、こういったことが言えるのかなと思っています。ゴルフが例え話になっているのですが、いわゆる成功体験を積むことができていない。弊社の代表なんかもよくゴルフへ行っていたりもするのですが、どうやらゴルフを始めてから2年7ヶ月以内にスコアが115を下回らなければ、辞めてしまうというデータがあるみたいです。
だいたいゴルフを始めたては(スコアが)130、140、150とか、場合によっては「何回打ったかわかりません」「数え切れない」ということもあります。そこから(2年7ヶ月以内に)115回だけ打って終えることができないと、「楽しくない」「ずっと走り回っている」「何がおもしろいんだ」ということで辞めてしまう。
これが仕事にも通じているんじゃないかなと思いまして、早期に成功体験を積ませることが離職を防ぐ最も効果的なマネジメントだということです。なのでゴルフもそうだと思いますし、他のスポーツでもそうだと思うんですが、早期に成功体験を積むことができないと、「自分にはこの仕事に合わないのかな?」という錯覚をしてしまうんですね。
ただ、仕事に合う・合わないをジャッジできるくらいやり切ったのかというと、恐らくやり切っていない方が多かったり、必要な行動ができていなかったり、そんな状態なのにもかかわらず「自分には合わない」と見切りをつける方が非常に多い印象があります。そうならないためには、必要な成果を出すために必要な行動量を定量的に出す必要もあります。
あとは会社の仕掛けとして、成功体験をどこで積ませるのか、どこで成長実感を味わってもらうのかというのは、ある程度こちら側で目標から逆算してプログラムを組んでいくと、定着率の向上の部分にもつながるのかなと思っています。
弊社も一時期はすごく離職が多かったです。特に、テレアポをやるいわゆる営業会社の部類ですので、4月1日に入社をする前の3月のアルバイトの時から「じゃあテレアポをやってね」と。僕も新卒2期生で入社をして10年ぐらい働いているのですが、新卒で入社をした時は急に「じゃあ1日60件な」と言われ、ガーッと(電話を)掛けるというふうに最初から進んでいきました。
やはりテレアポというと、成功体験をアポというかたちでは味わえるんですが、そこから受注までの道のりや契約をいただくまでの道のりも長かったりすると、成功体験はかなり感じづらいので、離職がバタバタとあった時期もありました。
なので、「途中、どこで成功体験を積ませよう?」というふうに、ある程度(プログラムを)会社内で決める。今までで言うと、そもそも「受注で成功体験を積んでもらおう」「成果で成功体験を積んでもらおう」というのが間違いだった。弊社の場合だと、受注を経験するまで早くて半年ぐらいかかるんですね。
成果や売上の目標を1番に掲げてもらうのではなくて、段階的にそこに行くように途中のKPI設定をして、もっと違うポイントで称賛をする文化を作っていく。そうすると定着はけっこう良くなってきた印象がありますし、直近1年以内で辞めるということはなくなってきているのかなと思っています。
じゃあどんな指標がいいのかといいますと、これは営業の事例になってしまうのですが、例えば架電数ですね。恐らく多くの営業の会社さまだと、「架電数、電話を掛ける数はこれぐらいやらないといけないぞ」「これぐらいの行動をしないといけないぞ」というものを設定されていることが非常に多いとは思います。
ただ、設定するだけだと成長実感や成功体験は味わえないんですね。やはり周囲からのフィードバックがないと(成功体験を)味わえないなと思っています。
なので、例えば週間で掲げている架電量、掛けないといけない電話の数を500件を設定をしたとします。そうなった時に、1週間が終わって今週アポを取れたか・取れていないかはいったん置いておいて、「500件掛けられた。すごいじゃないですか」と、まずはここで称賛をしていくことが文化的に醸成されていかないと、「よし、成功した」という実感が味わえないです。
ただ数字を設定するだけではなくて、そこに対してしっかりとフィードバックをしてあげることがセットでないと、成功体験はなかなか味わえないかなと思っています。
架電数、アポ数、案件化数、イベント誘致数、見積もり提示数、契約数というかたちで、時期に合わせて段階で指標を設定していくことで、若手営業陣のモチベーションを担保していく取り組みをやっています。そういったことをやっていくと、「知らぬ間に結果の指標に来ていて達成できた」なんていう時も多くございますので、段階的指標を設けるのは非常におすすめかなと思っています。
ちょっと脱線してしまいましたが、定期面談の目的をお伝えしたいなと思っています。基本的には、社員のモチベーションを向上させる、社員の成長につなげていく。
面談で重要になってくるのが、「社員が今、どんな状態なのか」「部下がどんな状態なのか」をしっかりと把握して、そこに対して適切にフィードバックをしていく。状況把握が非常に重要ですので、だからこそヒアリングが重要となっています。
ここからは、定期面談の理想形みたいなものも簡単にお伝えできればなと思っています。基本的には「早期戦力化」と「離職防止」が大きな目的になってくるのですが、やってはいけない面談をやられている方々も多くいらっしゃいます。
例えば、目的意識の共有や事前準備が不足している。もう1つが、話し方に問題があり部下の育成につながらない。面談をする側が多く話してしまうとか、叱責・雑談のみで終わると、「何の面談だったんだ? 怒られて終わったぞ」ということになる。
あとは、聞き方に問題があり信頼関係を失う。相手の話を途中で遮るとか、ながら作業で聞くとか、このあたりはNGです。これは面談に限らずにはなるんですが、ゴールをしっかりと提示してくれるか・くれないかというのは、今の管理職に求められることの第1位にもなっています。
「いつまでにどんな成果を上げてほしいのか?」「いつまでにどんな知識・スキルを身につけてほしいのか?」「いつまでにどんな役割行動を担ってほしいのか?」。このあたりの設定をされていない企業さまが多くいらっしゃるなと思っています。
それも新人の時だけ(目標を)設定をして、中間層になったら設定ができていなかったりすると、せっかく戦力になった中間層がバタバタと辞めてしまうというケースもございます。なので、どこの階層に対しても、明確な目標や明確な期待は必要になってきます。
あとは失敗例としてよくありますのが、定期面談というと、部下の認識では「よし。上司に悩み相談を聞いてもらおうか」とか「自分の状況を棚卸しして、ちょっと成長につなげていこう」だとか、けっこうプラスな印象があるんですね。
上司にアドバイスをもらえると思って面談に臨んだらひたすら叱責されたとなると、やはりいい効果を得られない。本来の目的と外れてしまう部分があります。
目的を明確にしていかないと、愚痴を言って終わるだけの時間になるとか、業務の進捗確認だけで終わる、雑談だけで終わる、話が続かないということになってしまいますので、今日は面談のポイントもいくつかお伝えできればなと思っています。
あとは「話し方に問題がある」という部分になるのですが、例えば面談をやられている方なんかは、今の面談の状況を思い返していただければなと思っています。
「せっかくの機会だからいろんなことを伝えよう」と、上司がガーッとフィードバックをしてしまうと、良かれと思って話した内容でも部下が自分ごとで考えられなくなるとか、待ちや受け身になってしまう。
「いや、それを聞きたいんじゃないんだよな」と部下が悶々として終わってしまうとか、「結局、何を言っても『あれをやれ、これをやれ』って言われるしな」ということで心を閉ざしてしまうとか、そういった部分が考えられます。あくまで1on1は本人の状況把握なので、本人に話させることが重要になります。そのため、やはり「聞き方」が重要になってきます。
面談以外でも、部下に後ろから「相談があります」と言われた時に、パソコンをカタカタといじりながら「何?」と、顔も見ず聞く。これだと相談環境が損なわれておりますので、だんだん相談に来なくなったり、「今は忙しそうだからいいか。いつも雑にあしらわれるし」と、何も言ってくれなくなったり、信頼関係が破綻してしまうことがございます。なので、聞き方にはぜひ注意いただきたいなと思っています。
続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。
会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。
すでに会員の方はこちらからログイン
名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!
スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ
この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします