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離職防止の鍵!若手社員のレジリエンスを高める方法(全3記事)

心の回復力が高い人は“ある思考訓練”を繰り返している 思考を書き換えて、ストレスを緩和する方法

【3行要約】
・レジリエンスは困難な状況でも最善の考え方を見つけ前進する力ですが、多くのビジネスパーソンはその鍛え方を知らずに苦しんでいます。
・高野聡子氏は「レジリエンスは後天的に学習可能な能力」と説き、思考の柔軟性を高める「ATCモデル」の実践が効果的だと解説します。
・出来事に対する「考え方」を多面的に捉え直す思考訓練を継続することで、どんな状況でも前向きな行動を選択できる力を身につけることができます。

前回の記事はこちら

「レジリエンス」は後天的に学習が可能

高野聡子氏:では、さっそくレジリエンスの鍛え方についてご紹介させていただきます。まず、そもそも「レジリエンス」ってどういう意味でしょうか? いろいろな組織さまにおうかがいして、「今はレジリエンスを鍛えなきゃいけないですよね」と言うと、どこの組織さまも「そうだよね」とおっしゃいます。

ただ、「レジリエンス」ってどういう意味でしょうか? 私どもでは、このように定義しております。「いかなる状況でも、最善・最良の考え方を模索し、成果につながる行動を選択し、前に進む力」。

要は、「折れない心の育て方」なんて言い方もよくされるかと思うんですけれども、折れないわけじゃなくて、最善・最良の考え方を模索し、成果につながる行動を選択して、前に進む力なんです。折れないだけじゃなくて、「行動する」ところに焦点を置いているのがレジリンスの考え方ですね。

もう1つ、レジリエンスについてご紹介します。レジリエンスは「能力」であり、個人差がある。そして、レジリエンスは学習できます。後天的に使うことができますよと。そして、うつや不安に対する緩衝材となる。全部ガードするわけではなくて、来たものに対してフワッと受け止め方が柔らかくなる。跳ね返すわけではなくて、フワッとダメージを少なくすることができます。

そして、潜在能力を解き放ち、レジリエンス能力は誰にとっても重要であると。ここで大事なのは、レジリエンスは能力であり、個人差があると。人によって、その力って変わってくること、あと、後天的に学習が可能なんですよと。

では、もう少しレジリエンスをご紹介します。定義について、先ほどもご紹介しましたけれども、一般的には「回復力」「復元力」という意味で使われています。要は、例えばペットボトルとかをギュッと握ると、ペコッてへこみますよね。そのペコッてへこんだものから回復する力。もともとは物理学用語でした。

外圧がかかっている状態。「ストレス」。これも実は物理学用語だったんですよね。「レジリエンス」とは、物体が元に戻ろうとする力、復元力。へこんでしまった時に、どうぐっと上に上げるのか。その力をレジリエンスと言われています。

思考の柔軟性を高めるATCモデル

今回ご紹介するレジリエンスなんですけれども、2つの側面からご紹介しています。1つは、思考の柔軟性を高めること、落ちてしまった気持ちを、どうゼロのフラットな状態に戻すのか。思考の柔軟性が重要となってきます。

そしてもう1つ。人間ですから、すでに落ちたまま切り返すだけだと心が疲れてしまいます。自分自身の幸せを見つけて、その幸せに向かってがんばっていくんだよという、感情のコントロール、ポジティブ感情を育むアプローチ。

この2つの側面から、レジリエンスを鍛えてまいります。思考の柔軟性は、「ATCモデル」という考え方を使います。感情のコントロールは、ポジティブ感情。今回は「VIA」というツールをご紹介させていただきます。

では、まずは、思考の柔軟性を開発するATCモデルについてご紹介させていただきます。「思考の柔軟性を高めるATCモデル」とあるんですけれども、スライドをご覧ください。出来事の捉え方によって、感情や反応が生まれます。人は何かインパクトのある出来事に直面した時、即座に感情が高ぶり反応するように見えますが、実はそうではありません。

例えば、何かモヤッとする出来事があったとします。上司から電話がジリリリッとかかってきたとします。感情としては、「いやだなぁ。やば~い」と思うんですよ。そして、私もよくやるんですけれども、電話に出ないという反応をします。そもそも出来事があって、すぐに反応が生まれるわけではないということです。

2つ目の箇条書きのところをご覧ください。人は何かを感じたり反応したりすると、瞬間的にその原因について、自分に説明をしています。そしてこの時に「考えたこと」から「感情」が生まれ、「反応」しているのです。問題は「出来事」そのものではなくて、「どのように考えたか」です。

上司から電話が来たときの心の動きを解説

例えば先ほどの(例について)。上司から電話がかかってきまして、「いやだなぁ」と思って電話に出ないという反応をするんですけども。そもそもなんで「いやだなぁ」と思ったかと言うと、考えたことの中で、「ああ、絶対あの件で怒られるわ」とか思っているわけです。そうすると、「嫌だな」と思って、電話に出ない。

例えば出来事として、「今朝、上司にあいさつした時、私と目が合わなかったんだよね。やっぱりさ、上司は私の失敗を許してないんだよね。悲しいな。できるだけ接触しないようにしよう」。

要はここで申し上げたいのは、何か起こった時に、モヤッとした気持ちが出てくると思います。その気持ちは、実はその背景に考えたことがあるんです。その考えたことを、1回ちゃんと確認していきましょうというのが、ATCモデルの第一歩です。

では、ちょっといくつか例をご紹介させていただきます。上司から難しい仕事を依頼されたと。みなさま、どのような気持ちになりますか? 例えば、こんな感情があるかなと思います。「焦るなあ」「頭にきた!」「不安」とか、「うれしい!」と思ったとします。

例えば、どのように考えたか、捉えたかによって、気持ちと反応って変わってくるんですよね。例えば「焦るなあ」と思った時、「じゃあ他にできる人はいないかな?」と行動するかと思うんですけども。その背景で考えたこととしては、「私には力不足で無理だよ。でも、何とかしなきゃいけないしな」と思って、他にできる人を探す。

また、「頭にきた!」と反応としては断ると。「いや、無理です」。考えたことは、「私の今の仕事量・状況をわかってないよね。私だって忙しいのに」と頭にきて断る反応をします。また、こんな人もいらっしゃるかなと思います。「うれしい! ありがとうございます! やらせていただきます」「私の能力を認めてくれたんだ」と。そうすると、うれしい気持ちになってお礼を言います。

そして、「今どんな気持ちになったのかな?」と確認した後で、「思考を書き換える」という次のステップです。例えば、今抱えている業務で手いっぱいなのに、上司から詳しい説明もなく「これやっておいて」と、さらに仕事の指示が来た。

考えたことは、「本当に忙しいのに、やめてほしいよね。業務を丸投げしないでほしい」と。で、怒りがあって、不満を言って断る。「私ばっかり、いいかげんにしてください!」となってしまいますが、果たしてこれで生産的な結果が出るでしょうか? 「ちょっと考え方を変えてみましょうよ」というのがATCモデルです。

大事なのは多面的に捉えること

ATCモデルの「A(Activating Events)」は、心がモヤモヤとする出来事です。そして、「考えたこと(Thought)」「その結果(Consequence)」ということで、「ATC」という言い方をしているんですけれども、「考えたこと(Thought)」は、別の考え方ができないかなということです。

例えば、「私ができると思っているんじゃないかな?」「私って頼られているんじゃないかな」と思うと、誇らしい気持ち、うれしい気持ちになって、「今の業務を何とかやりくりして、期待に応える方法はないかな?」と思うこともできます。

例えば、先ほどの私の携帯電話の事例なんかもそうかなと思います。上司から電話がかかってきて、「いやだなぁ」と思った背景には、「絶対この件で怒られるよ」と思って、「いやだなぁ」と思って、電話に出ない結果にしました。結果、出てみると、なんてことはない用件の確認で、その後留守電を入れて、入れ違いになって延々続く、非常に非生産的な状況をよく繰り返しているんですけども。

電話が鳴った時に、「もしかしたら褒められるかもしれないな」と思ったらどう思いますか? 「よし」と、すぐ電話に出ますよね。意識的に「考えたことを変える」ことによって、今自分の周りに起こっているモヤモヤした出来事を、生産的な行動に変えるということです。

そして大事なポイントは、一面で捉えるわけではなくて、多面的に捉えることです。考えたことって、1つじゃないですよね。いろいろ考えることができますよね。ポジティブに考えることもできれば、逆にネガティブに考えることもできます。また、さらにネガティブに考えたり、ものすごくポジティブに考えることによって、いろいろな行動が変わってくると思います。

レジリエンスが高い人は、思考訓練を繰り返している

いろいろ考えてみることによって、「じゃあこの中で最も生産的な反応、生産的な行動につながるのは何かな?」と選択することが重要です。例えば、新入社員の方が上司から指摘をされましたと。「ああ、もうこの組織、終わったわ」と思って、どういう行動をするかと言うと、転職エージェントに相談をするかと思うんですけれども。

じゃあ、「この組織、終わったわ」と思うのはなんでかな?」「いや、直属の上司にこれだけ怒られたということは、この噂は周りに広まっているから、もうどうしようもないよな」と思って。転職を考えるという傾向になるかもしれませんが、上司から怒られた時に、「もしかしたら、私に期待をしてくれているから、こういうことを言っているかもしれない」と思うと、「言われたことを改善しよう」ですとか。

または、いろいろな考え方ができます。「そもそもあの上司は、いろんな人に文句を言う人なんだよね」と思えば、「じゃあしょうがないかな」と思って気にしない選択もできます。要は、考えたことを、あえて自分からいろいろな側面で考えることによって、その結果、生産的な反応は何かとを考えることが重要となってきます。

こちらは思考訓練になりますので、繰り返し、繰り返しやっていくことで、習慣的に身に付きます。恐らく世の中にいらっしゃるレジリエンスが高いと言われている方々は、この思考を繰り返し、繰り返しやっていらっしゃる機会があったんじゃないかなと思います。

「いや、ポジティブに考えたらどうかな?」「そもそもあの人の立場だったらどう思うかな?」とか、いろんな多面的な視点で見ることによって、新たな行動につながるきっかけを作ることができます。

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