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5万人のリーダーを変えた!部下の本音を引き出す対話のコツ(全2記事)

“部下を行動させる対話"の4つのステップ 1on1を上手に進める「きっかけ砂時計」という考え方 [1/2]

【3行要約】
・1on1で部下の本音を引き出せず進捗確認だけで終わってしまう悩みは、多くのマネージャーが直面している課題です。
・堀井悠氏は「きっかけ砂時計」という対話モデルを通じて、過去の振り返りから未来の行動へと導く対話の構造化を提案しています。
・要約力を鍛え相手の言葉を理解する「筋トレ」から始め、部下が自ら気づきを得て行動するきっかけを作ることが上司の重要な役割です。

前回の記事はこちら

発散から収束までを導く「きっかけ砂時計」モデル

入江:先ほどお話に出た本の中にもありましたけれども「きっかけ砂時計モデル」について、詳しく教えていただいてもいいですか?

堀井:まず砂時計っていうのは、よくコーチングのプログラムでも触れられるんですけど。

話し合いの前半って、扱う話題が広いんですね。「最近はどんなことあった?」とか「今日の話し合いで、どんなことを明らかにしたいの?」といった、興味関心をざっくり聞く意味で、砂時計の頭は広いんですよね。それを我々は、き、つ、か、けの「き」。興味・関心フェーズって呼んでいるんですね。

次に「つ」は積み上げですね。ちょっと絞られてきます。これは過去の経験の中で、何が持論として積み上がったのか、成功要因や失敗要因を積み上げたものを明らかにしようという意味です。この「き」と「つ」の話題は、まだ過去の話なんですね。

それでギュッと砂時計が絞られる。これは論点。本当に明らかにしたいことという、本質ですね。「あ、ここがこうなったら良いってことだよね」って、1対1ないしはチームでも合意される、絞られる瞬間が来るんですね。それが見えたと確信したところから、もうリーダーは下のフェーズに話し合いを持っていく。

4つのステップで合意を作る

堀井:まず、下の入り口が「か」ですね。改善提案。つまり、まだ具体策じゃなくてざっくりとした状態でかまわないので、「何がどうなったらみんながハッピーなゴールなの?」という改善提案。

最後が「け」。懸念払拭と言いますけど、人は本気でやろうとなると、いろいろと「こうなったらどうしよう」っていうリスクとか不安が出てくるので、それを1つひとつ潰していくのが「け」ですね。

そうなると、また下が広がるのは、要は取りうる打ち手が広がる意味で、この砂時計を描く。そういうのがきっかけ砂時計ですね。

入江:なるほど。頭文字を取ってこういった名前になっていて、プラスで砂時計のフォルム、形に合わせて、きちんと型になっているんですね。こうやって話しながら砂時計の絵を連想すると、すごくわかりやすいですね。

堀井:そうなんですよ。対話力のトレーニングを受けた上司は、みなさん自ずと頭の中で「あ、これもしかして砂時計の真ん中に来たんじゃないか?」とか、時計と睨めっこしながら「あ、30分より前に本質にいけた。だいぶいいペースだ」とか、本当にナビゲーションが働くわけですね。

重要なのは“下半分”

入江:前半で無駄に時間を取り過ぎないことにもなりそうですし、効率も良いですよね。

堀井:そうなんです。だからよく、この砂時計モデルをやらなくて、(1on1が)うまくいかない人の特徴は、砂時計の前半だけで1時間が終わっちゃう。つまり、ずっと過去のヒアリングで、最後の5分の慌ただしい中で「やばいやばい。で、来週何やるの?」みたいな(笑)。最後がやっつけだから、目標もリニューアル感がないし。

やたらめったら何をやったのかを聞かれただけで、有意義なアドバイスがもらえなかったというのは、上(の工程が)多すぎるのが、だいたいの症状ですね。

入江:確かに。それでも話せてる分、良いのかもしれないですけど、後半がないと具体的に行動に移せなかったり、懸念もあるままなので勇気が出ないというか、一歩を踏み出せない方も多そうですよね。

堀井:そうなんですよ。だから上半分は上司が知りたい話かもしれないけど、メンバーからしたら「で? 来週は何やるの?」という下半分のほうが有益なんです。この下半分にどれだけのリソースを避けるかが、やはり対話の戦略になってくる。となると、やはり上司だけじゃなくて、メンバーも砂時計を知っておいたほうが良いんです。

お互いにペース配分をして「そろそろ未来の話にいこうかな?」っていう対話のベースがあったほうが良いんですよね。

部下も話を仕切っていい

入江:そうか。確かに上司だけではなく、お互いに知っていたほうがわかりやすいですよね。

堀井:そうなんですよ。それもやはりちょっと面談、1on1のアンコンシャスバイアスを解きほぐすことになるんですけど。別に上司が質問する人で、メンバーは答える側なんだというのも固定観念で。

対話はお互いに解釈の更新をするので、メンバー側が砂時計を知っていて「このタイミングで、ここを話したいんですけどいいですか?」って仕切ってもぜんぜん良いんですよね。

入江:確かに、そうやってお互いに進めていけたらバランスも取りやすそうですし、納得感がありますよね。

堀井:そうですね。それが理想ですね。

入江:実際にそちらを悩んでいる方が多いということで、堀井さんもたくさんの方に対応していらっしゃったと思うんですが。このモデルを知ると、みなさん改善していくんですか?

堀井:そうですね。ある製薬系の会社さんでやらせていただいた時は、課題としてはやはり進捗管理の1on1になっちゃって、ぎこちない。あまり1on1が楽しくないっていう会社さんがあったんです。

トレーニングして、まず真っ先にマネージャーの方が喜んでいたのは、興味・関心の「き」のところが、すごく自信がついたと。その上司の方がですね、イントロの「き」の力がつくとメンバーがベラベラしゃべってくるんですよ。今までは一問一答で(笑)。

入江:はい(笑)。

一問一答から自走する1on1へ

堀井:もう刑事と犯人の取り調べみたいなところから、メンバーが「あぁ、今、それを言われて思ったんですけど、実はこれが原因かもしれないな」とか、「実は今日、〇〇さんに聞きたかったことがあったんですよ」っていうふうに、メンバー主体で話したいこと、明らかにしたいことが出てくる。そうなると上司は楽なんですよ。

入江:確かに上司から無理やり話を引き出そうとするのではなくて、そういうきっかけを作って、自然と部下が話してくれるような。本の中にもありましたけれども、本音を話してもらったり、「実は〇〇なんだ」という発言が出てきたらいいということですよね。

堀井:究極、上司は1on1の準備がそんなにいらない。下準備とか、ヒアリング項目とかが別になくて、自然体で「あ、砂時計のここに来たな」。最後の最後で「じゃあ結局、1個やることは何?」って、本人とコミットして。本人がやる気になっていますから、別に念押しで「言ったな?」みたいな感じで言質を取る必要もなく。対話って本当は、少し後押しするだけで、すごく肩の力を抜いて楽しめるんですよね。

準備よりもナビゲーション

入江:確かに。上司側にすごく力が入っていて、「聞くぞ!」みたいな感じだと圧も感じますし、部下もその緊張感で縮こまってしまうというか。本当に思っていることを言い出す気が起きないですよね。

堀井:そうですね。だからこそ、やはり対話力を身に着けて、部下、メンバーが「あ、なんだかいい発見があった。来週にちょっと試したい」とワクワクしたら、もう上司としての役目は果たしているんでね。その状態を、あらゆる会社さんに作ってもらいたいなと思いますね。

入江:みなさんはどんな反応ですか? 悩んでいて、だんだん改善していくと、堀井さんに感謝の言葉ですとか、いろいろあるのかなと思うんですが。

堀井:まず、アンケートとか、3ヶ月後に「面談や会議が楽しい時間になった」と言われますね。

入江:おぉ。

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